
マネっこ作戦
『素晴らしい…っっ‼︎』
(幼いながらによく覚えてるのは大きな大人に囲まれてる自分だった)
『これこそが神から授かった神に近いし力…!』
『………いいや、神 そのものだ‼︎』
(みんな笑っていて…みんな私を神だと崇める…)
『…是非ともその力を我が国のために…っっ‼︎』
『独占など、許し難い…ここは穏便に…』
『平等は無理でしょう…我が国がいくら払ってるとおおもいで…?』
『それなら我が国も…!』
(……汚い)
(笑っていても、褒められても、崇められても…
私の瞳には大人は全て醜く穢らわしいモノにしか見えない)
『…分かっただろう…これが君の力だ…
さぁ…令美こっちへ来るんだ…』
(…汚い…汚い…汚い…
でも、私もきたない…)
朝日がまだ出てない時間、薄暗い部屋の中令美は目覚め悪く、気分は最悪…隣で寝ているウィンリィはぐっすり寝ていて令美が起きてることに気づいてない
「…やっぱり読むんじゃなかった…」
アリスの中でも令美は『心読み』の力をあまり使わない、あの力は精神が強く無神経な奴が持つべきだと令美は思ってる
令美は少し影響を受けてしまう…だからあんな夢を見てしまう
[ マネっこ作戦 ]
「お困りの様ですね‼︎国家錬金術師…
エドワード・エルリック参上‼︎」
次の日、朝からエドとそのお付きのアルと令美は街中で困ってる人々をお助けするため大忙し
「…少しやりすぎなんじゃない…あと顔ヘン」
「……あはは…」
事故で破壊された店や壺や杖、柱なんかすべて無償で直してやり、エドの名を広める…ベビーカーなどを直すときセンスが悪くなるのがアレだがエドはあっという間に街の人達の人気者になった
アルと令美の役割は扇子や紙吹雪を使ってエドをアピールするだけ…令美はもう帰りたい
「ぶえっくし‼︎…ぶはははは!街中オレの噂でもちきりのようだな!」
「さすがにこれだけ派手にやればね…」
「うるさい(…イヤでもエドの話が聞こえてくる)」
噂も広がり、ただ今休憩中オープンカフェでエドは豪快なくしゃみをして気分が良い
「オレの評判は広がりスカーも釣れる一石二鳥だぜ」
「あとは早くスカーの耳に兄さんの名が届くのを待つのみだね」
「…意外と早いんじゃない?」
と、のん気にお茶してるエド達の前に一台の車が止まった
「ガラにも無い事をしてるな…鋼の」
車の後部座席から地獄耳を持った大佐が声をかけてきた、運転席にはもちろんリザが乗っている
「死に損ない…」
コソコソとエドと大佐が話し合い中、興味のない令美はケーキを食べる…退院した大佐に悪態つきながら
「レイミ‼︎行くぞ‼︎」
「はいはい…」
情報交換するために場所移動することになった、ここでは人が多いのと車の中ではアルが入るとゆっくり話せないから…のんきな令美を呼ぶエドに令美はケーキも食べ終わったし、素直に言うことをきく
「ほぉ〜随分と仲良くなったな…鋼の」
「うるさい、セクハラおやじ」
「‼︎‼︎」
大佐に対して令美の態度がキツすぎる理由はまだみんな知らない…女性に対してジェントルマンな大佐はいつもやられっぱなしだ…
『……』
エド達は同情しか出来ない
◇◆◇◆
「マルコーさんと賢者の石が行方不明⁉︎」
人気のない場所に移動して、まず大佐からマルコーの話を聞く
「おそらく奴らにさらわれたのだろう…」
「なんで…くそっ‼︎
マルコーさんはかつて軍の研究所で石を作っていた、それはイシュヴァールで利用されたと言っていた…
賢者の石、人造人間、軍の暗部、イシュヴァール…どういうつながりだ?
イシュヴァールで何があった⁉︎」
イシュヴァールの戦争を知らないエドが思考を巡らせようが答えは出ない…令美はまったく興味なし
「……!」
「イシュヴァールと言えばスカーが来ているそうだな…鋼のここ数日の奴らにみつけてくれと言わんばかりの行動はなんだ」
大佐がマルコーからスカーの話へと変えた、エドもこれ以上マルコーについて考えても仕方ないと思ったのか話にのる
「見つけてほしいんだよ…奴とはもう一度戦わなきゃならねぇ…」
「バカを言うな!イーストシティの戦いを忘れたのか⁉︎」
「アル、来るよ」
「え?」
大佐がエドを止めるがエドが言う事聞く訳なく、2人は言い争いを始めた…その隣で令美はアルに忠告、リザは銃を取り出す
「…出た…‼︎」
エド達の前にスカーが現れた
「…来てしまったではないか…鋼の…」
「どーした?雨も降ってねーのにびっしょりだぜ?」
大佐からしたらタイミングよく現れたスカーにエドに文句を言うが受け付けてはくれない
(バッ)
「ーっと待った中尉‼︎撃っちゃダメだ‼︎」
「何を言ってるの⁉︎」
スカーに銃を向け撃とうとする中尉を止めたのはエド
「大佐をマネて釣りしてみようかと思ってんだよ‼︎」
現れたスカーは容赦なくその右手で地面を砕き攻撃してくる
「すみませんね大佐」
「釣りだと?」
「兄さんをエサにホムンクルスを引っ張り出します、兄さんはホムンクルスにとって死なせてはならない人材だから…」
スカーの攻撃を避けながらもアルは大佐達に作戦内容を簡単に話す、その隣で“慌てすぎ”とエドをバカにする令美と怒るエド
「何をバカな…」
「犠牲者を出さずに‼︎進むって決めたんだ‼︎
ボクか兄さんがエサになるしかないでしょう‼︎」
反対される前にアルは兄弟で決めた身体を取り戻す方法を大佐に断言する
「…ずいぶん確率の低い賭けだな…ホムンクルスが出てくる前にスカーが憲兵に撃ち殺されたらどうする?」
「そこは、ほら大佐殿が上手くやってくれるでしょ?」
作戦内容は真っ直ぐで欠陥だらけ…だが、兄弟らしい作戦だと気に入ったのか…
「…この私をアゴで使うか…いい度胸だ‼︎」
作戦に乗ってくれた大佐は、その上で令美を見て、アルに言う
「…彼女は私達と共に来るべきじゃないか?危険すぎる…」
「え」
大佐の言葉に昔のアルなら即答で同意した…けど今回は違う
『 なら、信じて…私を…アル自身も
私は…神奈 令美は死なないって…』
『…でもあんた達がバカだから…
仕方ないじゃない…』
「…大丈夫です、レイミのこと信じてますから‼︎」
今、こうして、自信を持って大佐に大丈夫だと言えるのは令美との信頼関係があるからだとアルは思う
「…フッ…本当に仲良くなったものだな…そうだな、彼女に言ってもどうせついてこないだろう…ホムンクルスを捕らえたら分け前をよこせ!」
「「了解‼︎おおおりゃ‼︎」」
大佐の説得も完了し、エドとアルはスカーへと向かい錬成した土の拳で攻撃を開始した
「分かってるよね、作戦では私はあまりアリスが使えないから!無茶しないでよね!」
「わかってるよ‼︎」
スカーの相手をしながら令美はエドに忠告する、作戦ではエド達がスカーの相手をしながら、エドを殺させるわけにはいかないホムンクルスが出てきたところをリン達が見つけ出し捕らえる…追加で大佐が軍にニセ情報を拡散させ軍人達の行動を混乱させる…邪魔されないようにでもあるが犠牲者を出さないためでもある
とにかくエド達はリンがホムンクルスを捕まえるまでスカーと戦い続けなくてはならない…
「そこの三人‼︎退いてください‼︎」
「撃たないで‼︎兄さんに当たる‼︎」
「だから退いてって‼︎」
スカーとの交戦は激しく荒々しい、軍人が駆けつけて来て銃でスカーに狙いを定めてもエド達が邪魔で応戦出来ない…それがエド達の狙いなのだが
「あいつら邪魔!どうにかならないの」
「大佐のお陰で人数は少ねぇんだ!文句言うな‼︎」
令美が次々と何処からか短剣や銃を取り出してスカーを殺さない程度の攻撃で凌いでしるのに他人を守らないといけない事に神経を使って怒り気味だ
近距離攻撃型のスカーに近すぎすぎれば危険だが離れたすぎると軍人が手を出してくる
「あーもうめんどくさい‼︎エド離れて‼︎」
「………っとお‼︎」
エドがスカーの右手が顔ギリギリで当たりそうになりすぐさま逃げる…スカーは周囲も気にせず地面を割り瓦礫が運悪くエドの右側の額に当たる
「ぐっ…」
「兄さん‼︎」
額から流れる血によって視界が悪くなりスキが出来たエドにスカーは容赦なく襲いかかる、後方にいたアルは手助け出来ない令美も銃で威嚇するがスカーは逃げない
「あでっ‼︎」
自然に起きた突風ではない風が起きてエドはアルの近くまで飛ばされたスカーの右腕に触れたのに身体は無事のようだ
「…ふー!ラッキー‼︎」
「なにがラッキーよ、注意不足すぎ」
「分解エネルギーの相殺⁉︎無茶するなぁ‼︎」
スカーの右手がエドの顔に当たる前に錬成した鋼の手を合わせた…令美にはまったく意味が分からないが前回と違って破壊されないですんだのはエドが手を合わせる前に錬成したからだ
「(…確かに“悪運”だけはあるけど…
こんなんじゃ、いくつ命があっても…)」
錬成の相殺で出来た煙がはれてきて…やはりスカーも無事だった…
「…右腕の入れ墨…‼︎」
「野郎…まさか本当にウィンリィの…‼︎」
服が破けて顕になった左腕には…入れ墨
「…こんな時に限って…」
