
復讐が繋ぐ運命
作戦通り、ホムンクルスが出て来たのにリン達だけでは荷が重そう…だけどエド達はスカーとの“別件”が出来た…
「(この作戦、バカ王子が死ねば意味がない…)」
分かっていた事だが令美は予定通り、リン達に手を貸す…スカーの元から離れられないエド達に言ったところでどうする事も出来ないから…
「(…あいつまで出て来たら仕方ない…か)」
[ 復讐が繋ぐ運命 ]
「(…甘くみすぎたよ…)」
リン達は決してこの作戦を甘くみたつもりはなかった…ただイレギュラーな相手がいた…グラトニーの様に『中身』が見える相手であるならリン達は人間かそうじゃないか分かるのだが…
人間だと思ってたホムンクルスにライファンがやられた…早く、鋭い、2本の剣で…
負傷したライファンを抱えたリンは今、逃げ場がない個室…捕まえるが目的だったがこの状況では逃げることさえ困難
リンが出した閃光弾でもグラトニーの目は見えなく出来たが、もう1人のホムンクルスは無理だった…そいつは片目を眼帯で隠してたから…傷で隠してた訳じゃない…ホムンクルスの入れ墨が入った瞳を隠すためだ
「(…どうする…)」
「派手にやられてんじゃないわよ…偽物風情に…」
『⁉︎』
そこに、気配も足音も無く、姿を現した令美に全員が驚く…
「いやはや…やはり君が出て来たか…
君を相手にするのは…骨が折れるよ…」
「…ひとまず逃げるよ…作戦は続いてんだから
『キング・ブラットレイ』は私が相手する」
作戦をリンも知っていたが、自分よりも年下の女の子に助けてもらうなんて想像出来ないが…だが令美を見ると安心してしまうリンがいた…
「(…惚れてしまうヨ…レイミちゃん…)」
◇◆◇◆
「はぁ…疲れる」
スカーからの攻撃は続き、エド達はまだ出てこないホムンクルスに焦ったく感じながら逃げ続ける
「でぇ⁉︎行き止まりぃぃぃぃぃ⁉︎」
細い路地裏の行き止まり、エドだけスカーに挟まれた…スカーの目的はあくまでエド
「こなくそっ‼︎」
国家錬金術師であるエドはスカーから集中的に狙われエドは行き止まりのため上へと逃げるがスカーはそれを許さない
「ぎょぇぇぇぇぇぇっ‼︎」
配管を使って登るエドにスカーはその配管を壊した、エドは掴まりどころを無くして重力に逆らうことなくスカーの元へ落ちていく
「何やってんのよ」
落ちるエドをアルが錬成した岩の手でキャッチし、令美はスカーにアリスで操った岩を投げつける
「ナイスだ弟よ‼︎」
「いいから早く逃げる‼︎」
危なっかしいエドを助け、泣いて喜ぶエドに令美は呆れた
「もう、少しは気をつけてよ私忙しいんだから」
「すっ…すまん」
路地裏といえど一般人がいる場所でスカーは気にする事なく暴れるそのおかげでこちらは逃げながら守ってるが…軍人2人が巻き込まれ気絶してしまった
「こんにゃろ!関係無い奴巻き込むなよ‼︎」
「貴様が大人しく裁きを受ければ終わる事だ鋼の錬金術師」
「ムチャ言わないでよ!」
結構な時間、スカーの相手してエドの消耗が激しくなってる…
「…レイミ…まだか…」
スカーを挟むようにエドとアルが立っていてスカーは攻撃の手を止めた…エドは隣にいる令美に今の状況をきく
「緊急事態でまだ時間がかかりそう…」
「…マジかよ」
エドとアルには伝えている“ドッペルゲンガーのアリス”で作ったもう1人の令美はリンの方に加勢しに行っていて、苦戦しているとエドに伝える
「……っ」
「…どうした?」
「…何でもない…
(…このポンコツが…もうきたっていうの)」
◇◆◇◆
「レイミちゃんって本当何者?」
「そんな事言ってるヒマあるんなら足を動かして」
逃げ場のなかったあの部屋は今、黒焦げになっていた…ホムンクルスから逃れるために令美が“いつのまにか”リン達を外へ出し、ホムンクルスをあの部屋ごと爆発させた…どうやってそんな事したのかリンには分からず驚きっぱなしだ
「…やはり一筋縄ではいかないか…カンナ レイミ…」
爆発の中から無傷の…いや無傷になったブラットレイとブラトニーが逃げていく令美達を見る
「やれやれ無茶をする子供だ…私も若い頃はあれ位の無茶を平気でしたものだったがな…まったく年は取りたくないものだ…目では追えても身体が言う事をきかん…」
ブラットレイはリンとランファンなら倒せる確信がある…だが令美は…令美が現れてから一瞬と言ってもいいほどブラットレイとグラトニーは爆発に巻き込まれ命を落とした…ブラットレイの瞳でさえもよく“見えなかった”
「(………人間とは思えんな…)」
◇◆◇◆
それは…アルが消耗しているエドのため、時間稼ぎを目的でスカーに話をふったのが始まりだった
「スカー‼︎自分も錬金術を使ってるくせになぜ錬金術師を神に逆らう者として毛嫌いする⁉︎」
「イーストシティでも言ったはずだ貴様ら作る者がいれば壊す者もいると…」
「イースト………壊す……」
スカーと初めて遭遇したイーストシティでの事をアルは思い出す…ニーナを
「…壊す事しかしない、その行為が何を生み出すって言うんだ…神の名を出して殺しを正当化したいだけじゃないのか⁉︎」
ニーナを想い、アルは怒り震えている
「ショウ・タッカーも………その娘ニーナも
神の代行者をかたって殺したのか‼︎」
「タッカー…そうか…
貴様らもあのキメラにされた娘を見たのだな」
アルの話でスカーもイーストで命を奪ったキメラの事を思い出し、そして兄弟もそのキメラと関わりあると気づいた…それにスカーは怒りしか湧かない
「『何を生み出す』…か
先日倒した錬金術師も言っていたな…『我ら作り出す者に敵うわけが無い』と…
生み出す技術だと⁉︎その自惚れがあのキメラの娘を生み出したのではないのか⁉︎
あのような悲劇を生み出す技術それが貴様らの崇拝する錬金術か⁉︎」
スカーの怒りの言葉にアルは言い返せないがエドは
「だからって…なんで殺す必要があった‼︎なんの権利があってあの娘の命を奪った‼︎スカー‼︎」
「貴様らはわかっていたのではないか?あの娘がもう元に戻れない事を、あのまま放っておけば実験動物と同じ扱いをうけ一生人間として扱われなくなるであろうと事を…」
ニーナの命を奪ったスカーへの怒りはあるが、スカーの言った通りエド達は言い返せないほどにニーナに対して何も出来なかった罪悪感があった
「…人殺しが説教しないでよ」
だけど1人だけスカーの話に嫌悪し、心底不機嫌そうにスカーを睨むのは令美
「…確かにタッカーって男もヤバい奴だったけどあんたも相当だわ…殺したからって救いにはならないってのに…
ただの人殺しが神にでもなったつもり?
どんな力を持っていても人間は神にはなれない」
錬金術師にしか目にないスカーは急に割り込んできた少女の言葉が理解できない
神と崇められてた令美と神の代行者だと言うスカー…似てる2人だがこの2人の考え方は天と地の差があるせいか
「…レイミ…
たしかに…オレ達錬金術師は間違いを犯してきた
だからと言ってあんたのやってる事を認めるわけにはいかねぇ!」
拳を強く握りしめてエドは自分達の罪も認めて、そしてスカーのやり方も認めない
「スカーひとつ訊きたい事がある、神の代理人って奴は人の為に尽くした医者の命も平気で奪うのか?」
「っ!エド‼︎」
エドがスカーに訊きたいことがあると令美はその内容まで知っていた、別にそれに対しては止めるつもりもないし、興味もない…だけど令美はエドを止めた
「アメストリス人のロックベルという医者夫婦に覚えは無いか」
「待っ…」
狭い裏路地だからエドは見えなかった、アルには見えてた…令美は視覚的には見えないがアリスのせいで見えた…走って駆けつけたウィンリィが…
「内乱のイシュヴァールに赴いて殲滅戦の命令が出た後もイシュヴァール人を助け続けた…」
「待って兄さん‼︎」
「エド‼︎」
令美にとって興味はない話だが…ウィンリィには聞かせたく無いと思っていた…彼女は知らなくていい真実
「スカー‼︎てめぇを助けて
てめぇが殺した医者の夫婦に覚えは無いか‼︎」
「兄さん‼︎」
幼い頃両親を亡くしたウィンリィ・ロックベルにとってスカーは…両親を殺した…
「 うそ… 」
復讐相手であるー
