一緒に旅するから
「…やはりこの人数を相手では分が悪い…」
赤い瞳を見られたせいか、スカーは戦わず逃げるようだ、ロイが部下を率いて逃げ道を塞いでいる
「あれじゃ逃げられるんじゃない?」
「ハァ?」
「私だったら“下”から逃げるけど…」
協力する気ゼロの令美はエドに忠告するが遅く、スカーは地面を破壊して下へ逃げてしまった
「あ…野郎地下水道に‼︎」
「追うなよ」
「追いませんよあんな危ない奴…」
結局スカーを取り逃がした…が死人は出なかった
取りあえず緊張感は抜け安心した空気が流れた
右腕が無くなったエドはすぐさまアルの元へ向かった
「…馬鹿兄弟」
エドが逃げなかった事に怒るアルにエドも反発してケンカになる2人だけど生きてる事に笑いあってる
「…(まぁこれで恩はちゃんと返したよね…)」
「レイミ‼︎」
最後に借りを返すだけだと、勢いのままアリスをエド達の前で使ってしまった令美は早く立ち去らねばいけなかった…あまりアリスの事を知られるのは令美にとって危険が多くなるから
けど未だにここにいるということは…
「レイミ…」
「何」
(私…)
「八つ当たりしてすまん‼︎助かった‼︎」
「ボクからもレイミさん助けてくれてありがとうございます」
「…」
真っ直ぐ令美を見て兄弟は頭を下げた…令美はエドに謝れるとは思って無かったから少し驚いていた、が
「命の恩人に対してお礼だけで済むと思ってんの」
「ハ⁉︎」
「決めた!
私これからもエドとアルと一緒に旅するから」
「なぁぁっ⁉︎」
勇気を持ってエドは謝ったのに、令美は相変わらず生意気に図々しく…だがその顔はスッキリとして笑顔だった
「……いいぜ!ついてくんなら、ついてこいよ‼︎」
「えぇ⁉︎兄さんいいの⁉︎」
令美の吹っ切れた顔を見て決心がついたのか、でも何か企んでる顔してるエドは旅の同行を許可した
「その代わり!レイミのあの力について何なのかちゃんと説明してもらうからな‼︎」
「アリスね」
「……ん?」
ポロリと令美がもらした言葉をエドは聞き逃した、聞き逃すのも仕方ないくらい令美が簡単に言ったせいでもある
そんなエドに対して令美はまた宣言する…アリスによって危険が来るかもしれないが自信に溢れた令美は覚悟を決めた
「私しか使えない…“万能のアリス”
それが私のアリスよ」
( 私は歩いてみようと思った
棗、あなたのように… )