天才なの



    生きていく…この世界で…


    また、逃げ出したくないから


エド達はイーストシティーの軍本部内に移動した、男達と一緒の部屋はイヤがった令美を説得して(男達は悲しんでる)“広い”部屋で話すことに…内容はもちろんスカーの事だ

イシュヴァールの民について

イシュヴァラを絶対唯一の創造神とする東部の一部族それがイシュヴァールの民
宗教的価値感の違いから国側とは、しばし衝突をくりかえしていた

13年前、軍将校があやまってイシュヴァールの子供を射殺、事件を機に大規模な内乱へと爆発した

暴動は暴動を呼び、いつしか内乱の火は東部全域へと広がった

7年にもおよぶ攻防の末、軍上層部から下された作戦は、国家錬金術師も投入しての

イシュヴァール殲滅戦

戦場での実用性をためす意味合いもあったのだろう多くの術師が人間兵器として駆り出されたよ…

「私もその1人だ…だからイシュヴァールの生き残りであるあの男の復讐には正当性がある…」
ロイの話はまるで学園の授業の様だと令美は思ってしまった…戦争が無い世界ではなかったけど令美にとっては遠い世界だった…

“戦争”は

「くだらねぇ…関係ない人間も巻き込む復讐に正当もくそもあるかよ…醜い復讐心を『神の代行人』ってオブラートに包んで崇高ぶってるだけだ…」
静かになった空気の中、1番に答えを出したのはエドだ…スカーの復讐を全面に否定する

「だがな錬金術を忌み嫌う者がその錬金術をもって復讐しようってんだ…なりふりかまわん人間ってのは1番やっかいで怖えぞ…」
中央所属のヒューズ中佐の忠告は令美にはサッパリ分からない…復讐なんて感情、令美には無縁だったから

「なりふりかまってられないのはこっちも同じだ我々もまだ死ぬ訳にはいかないからな…次会った時には問答無用で…… 潰す」

興味ないので令美はロイ達の心など“読む”こと無いけど…

スカーに対する決心はついたみたいだ…心を読まなくても分かりやすいほど、ロイ達の瞳は強かった

「私も手伝ってやってもいいよ…傷男嫌いだから」

真剣に話し合っていた中、可愛らしい声が空気を変えた
「…お前な」
「今回はエドに借りを返すだけだったけど、次会った時協力ぐらいはしてあげる」

なんとも自身にあふれた令美の発言に誰も何も言い出せない…ゆいつ
「…協力って…ダメだ!お前は危なっかしいんだよ‼︎」
「エドに言われたくない」
「そうだよ、兄さんもレイミさんも!危ない事しないで‼︎」
エドとアル、兄弟と令美の言い合いが始まる
「第一、“アリス”ってなんだよ‼︎力についての説明になってないぞ‼︎」
「アリスはアリスよ‼︎ちゃんと言ったじゃん!私は“アリス持ち”の中でも天才なの‼︎」
「意味わかんねーよ‼︎ちゃんと説明しろ‼︎」
「兄さん!レイミさん!落ち着いて‼︎」
キャンキャンと3人で騒ぎ出した子供達を見て大人組は一気に和む…エド達兄弟が年相応の反応をしてるのも安心する

「…話が出来なくなってしまったな…」
「……そうですね」
中々終わりそうにない3人を見ながらロイは笑った、部下達も

「…だが、彼女の言う“アリス”と言うのは…何なのだろうな…」








「聞いたぞ、エドワード・エルリック‼︎」

感動の涙を流してエドを力いっぱい抱きしめるのはアームストロング少佐だった…どうやらエド達が騒いでる間に大佐からエド達の過去話をきいたそうで…感動のあまりエドが少佐に抱き潰されてる、令美はドン引き

「口が軽いぜ…大佐…」
「いやぁ…あんな暑苦しのに詰め寄られたら君の過去を喋らざるをえなくてね」
個人情報もあの筋肉の厚さで聞き出してしまう少佐がとんでも無いことをいいだした

「と言う訳で…その義肢屋の所まで我輩が護衛を引き受けようではないか!」
「はぁ⁉︎」

エドの腕を元に戻すため整備師の所へ向かうのだが…“護衛なんか必要ない‼︎”と拒絶するエドに大人達の説得が始まった…スカーが襲ってくるかも、その腕でアルが運べないから、他の人は忙しくてスカーに対抗出来ないから…と護衛が少佐じゃないといけない理由を…

「決まりだな!」
「勝手に決めんなよ‼︎」
説得されても諦めきれないエドはアルに助けを求めるが…少佐はエドもアルも子供扱いする…アルは鎧になって初めて子供扱いされたと感動し、喜んでOKした

「っ〜‼︎レイミはどうだ‼︎嫌だよな⁉︎他の人がいいよな‼︎」
エドは最終兵器、令美に聞いた…これまでナマイキでワガママ、なのに大人達が文句言えない不思議な美少女令美を頼りに…

「…いいんじゃない?私アル運ぶのとか無理だし…人数が多いのもイヤ」

撃沈、大佐にも上司としての特権を使われて、アームストロング少佐が護衛として付き添うことに決まった









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