それでどーすんのよ





「さぁ、どうぞこちらへ…教主様は忙しい身でなかなか時間がとれないのですが…あなた方は運がいい」

見るからに怪しい男が教会へ案内してくれる、取りあえずエドは令美の事は置いておいて教会の方を片付けるよう
「わるいね、なるべく長話はしないようにするから」
「えぇ…すぐに終わらせましょう…このようにっ‼︎」

(ガンッ‼︎)
男が隠し持っていた銃がアルの右目…鎧で守られてないとこを狙って発砲、鎧の頭は吹っ飛びアルの身体は倒れる、それが合図なのかどこからか教会の者達が令美達を取り囲む
「師兄!何をなさるんですか⁉︎」
「ロゼこの者達は教主様をおとしいれようとする異教徒だ、悪なのだよ」
ロゼが止めようとするが教主の指示だと知るとロゼは何も言えなくなった
「教主様の御言葉は我らが神の御言葉…これは神の意志だ‼︎」

「へぇ…ひどい神もいたもんだ…」

神などと馬鹿な話ばかりして銃で令美達を狙う男の銃を掴んで止めたのは…身体だけで動いているアルホォンス





「ストライク‼︎」
「ボクの頭‼︎」
教会の者達がアルに驚いてる間にエド達は武力で制圧、最後にはエドがアルの鎧の頭を投げつけ終了、アルが起こりながら自分の頭をキャッチ。

「なっ…中身が無い…空っぽ…っ‼︎」
鎧の中身が無いのに動き言葉を話すアルにロゼは驚いてばかり…

「…これはね、人として侵してはならない神の領域とやらを踏み込んだ
罪というやつさ…ボクと兄さんもね…」

「エドワード…も?」

「ねぇ、それでどーすんのよ…これから」
ロゼは2人の話に理解はできないが得体の知れない怖さを感じる中令美の空気の読まない一言が部屋にこだました
「おっ…前…そいつら倒したのか?…逃げたのかと」
4〜5人が重なるように倒れた男達を踏み台にしてる令美にエドはア然
「ザコにやられるわけないじゃん自分の身は自分で守るから」
「…そーかよ」
可愛げのない令美の冷たい態度にエドは気にくわないらしい、すぐに教会の話へと変わった

「ロゼ…真実を見る勇気はあるか?」





        ◇◆◇◆◇◆




「…そーいえば驚かねーんだな、アルの中身見て」

エド達と教主のところへ向かい中エドが探るような目で令美に問う
「…そのくらいじゃあ驚かない」
「そのくらいって…普通驚くだろ中身が無いのに
動くんだぞ」
エド達の経験上、今まで驚いた奴しかいなかったのに驚かない令美の反応はめずらしい

「知ってたから…見ればわかんのよ、私はね」

「ハァ?」
ぽつり…と一言いい残し令美は先へ、エドにとっては疑問が膨れあがっていく
「…あいつ何者だ、なんで俺らに付きまとう」
「…うん、分かんないけど悪い人ではないと思うけど…」
「そーか?盗っ人だぞ」
正体はわからない令美にエドは警戒を強めたいが…今は教会の事もある、教主の居る部屋に着くころにはエドは令美のことを一旦隅にやる

「ロゼが言ってた教主の部屋ってのはこれか?」
「案外普通…(悪役の部屋っぽくない)」
扉が勝手に開き、エド達を招いた
「へぇ…“いらっしゃい”だとさ…」
部屋に入ればやはり扉は勝手に閉じ、エド達を逃さないため
「神聖なる我が教会へようこそ…教義を受けに来たのかな?ん?」
部屋は思ったより広く薄暗い…教主は高いところでエド達を見下ろしている
「あぁ…ぜひとも教えてほしいもんだ…ぜひ錬金術で信者をだます方法とかね‼︎」
安い挑発するエドに呆れる令美、こんな挑発に乗るやつは馬鹿だなとも思った
「…さて何のことやら私の“奇跡の業”を錬金術と一緒にされては困るねぇ…一度見てもらえればわかるが…」
「見せてもらったよ…で、どうも腑におちないが方則を無視した錬成がどうゆう訳か錬成させちゃってるって事なんだよ」
「だから錬金術では…」

「…そう思ったんだけど…“賢者の石”使ってんだろ?」

エドの仮説に教主は反応した
「たとえばその指輪がそうだったりして…」
「…わかりやす」
ポーカーフェイスの一つもできない教主の嘘はすぐにバレる
「ふ…流石は国家錬金術師、すべてお見通しという訳か…ご名答‼︎伝説の中だけの代物と呼ばれる幻の術法増器…我々錬金術師がこれを使えばわずかな代物で莫大な錬成を行える‼︎」

「さがしたぜぇ…‼︎」
教主が指輪を見せびらかす…エドがそれを見て嬉しそうに笑った

それはエドとアルがずっと探してるモノ、旅をする理由

「(アリスストーンに似ている…けど“賢者の石”ね…)」

“あれは…”

「なんだそのもの欲しそうな目は⁉︎この石を使って何を望む?金か?栄誉か?」
「あんたこそペテンに教祖におさまって何を望む…金ならその石を使えばいくらでも手に入るだろう…」

教主の瞳が欲望に染まる…令美の嫌いな瞳だ

「…金ではないのだよ…いや金は欲しいがそれはだまっていても私のフトコロに入って来る…信者の寄付とゆう形でな…
むしろ私のため喜んで命も捨てようとゆう柔順な信者こそが必要だ」

教主は楽しそうに自身の野望を口にした、死をも恐れぬ軍団をつくる…と
「気持ち悪っ…」
教主に嫌悪感を抱く令美は教主を見るのも嫌だ

「どうでもいい」
まったく教主の野望に興味がないエドは交換条件を持ち出した『黙ってやるから賢者の石を渡せ』と…もちろん教主はそんな事受け入れるはずなく
「貴様らがいくら騒ぎたてても奴らは耳もかさん‼︎馬鹿信者どもはこの私にだまされきっておるのだからなぁっ‼︎」

「いやぁーさすが教主様!いい話きかせてもらった…確かに信者はオレの言葉は耳もかさないだろう…けど!
彼女の言葉にはどうだろうね…」

教主の言葉は信者達にとっては残酷な言葉だろう、その言葉をきいた馬鹿信者の1人であるロゼがアルの鎧の中から出てきた
「教主様っ‼︎今おっしゃった事は本当ですか⁉︎私達をだましてらっしゃったのですか⁉︎あの人をよみがえらせてはくれないのですか⁉︎」
ロゼが真実を教主に問い詰める、教主の言葉が受け入れられないから、その後は令美からしたら茶番劇だった…
教主が慌ててロゼの願いを叶えると言い出し恋人を求めたロゼは…
「いい子だ本当に…さて、では我が教団の将来をおびやかす異教徒はすみやかに粛清することにしよう…」
甘い誘惑に囚われたロゼは結局教主側に、交換条件もこれで無効に

「…黙ってきいてれば…何、この茶番」
「オイ」
ロゼが向こう側に行ってしまい教主は口封じのため令美達の前には何種類か混じった化け物がでできた
「交渉なんかせずに奪っとけばよかったのに…もうやる気なくした、私なんもしないから後は自分達でどうにかしてよ」
「何様目線なんだよ、お前」
完全にやる気なしの令美にエドは元々戦わせる気などなかったのだが令美の態度に気持ちが揺らぐ

化け物…合成獣(キメラ)を前に令美は戦闘放棄、エドは盛大なため息をはいて武器を“作った”
「うぬ!連載陣も無しに敷石から武器を錬成するとは…国家錬金術師の名は伊達ではないとゆう事か‼︎」
令美にはまったく知識がないためエドが両手を合わせ地面から電流と強い風を吹かせ、武器が錬成した…これが錬金術

「だか甘い‼︎」

エドの左足は武器と共に合成獣によって切り裂かれた、生身の身体で合成獣に切り裂かれれば、普通は…
「…どうしたネコ野郎…しっかり味わえよ…」
合成獣が斬り裂こうが、エドの右腕に噛みつこうがエドは平気だった

合成獣にエドの右腕は噛み殺せない

「…ロゼ…よく見ておけ…これが錬成を…

 神とやらの領域を侵した咎人の姿だ‼︎」

エドは合成獣を蹴り倒し…赤いフードで隠されていた右腕を見せる

鋼の右腕と左足を…

「(これが彼らの“罪”のアカシ)」

「…鋼の義肢“機械鎧(オートメイル)”あぁ…そうか…

鋼の錬金術師‼︎」









アカシ-Tsukimi