他人なんだから











「…私、帰るから」

「…レイミちゃんは知ってたのか?」
ウィンリィーが兄弟を追いかけるのを見送りながら令美は用事がなくなったので帰ろうとしたらそれをヒューズに止められた
「アルの話にまったく驚いてなかったろ…気づいてたのか?レイミちゃんは…」
「…だったらなに?
私は“言わないと後悔する”って言っただけよ…」

令美はヒューズに責められてるように感じ真実を強気に言い返した
「…後悔…ね、他に言う事はなかったのか?」
「何で私が言わないといけないのよ…

彼女の様に言えっていうの?やめてよね…

 私とあの兄弟は所詮『他人』なんだから…」

『他人』…エルリック兄弟との関係を言い切った令美はヒューズの言い分をばっさりと切り落とした…そしてヒューズの返事も聞かず令美はどこかへぶらりと行ってしまった


「…一緒に旅してるのに『他人』…か…」




◇◆◇◆


「…でレイミが現れて…あいつに殴られて…後は気を失って覚えてない…」
「…レイミさんなんで兄さんを気絶させたの?」
「……オレが知るかよ」
エドの腕と怪我が治り…アルとの喧嘩も一件落着し、病室には今兄弟とヒューズとアームストロングを入れてあの日の研究所について話し合っていた

エドは研究所で見た事を数枚の紙に書いて説明する…だがエドは令美についてはあまり話さなかった

「魂のみの守護者…貴重な人柱…エンヴィーなる者…マルコー氏いわく東部内乱でも石が使われていた…

ウロボロスの入れ墨に…賢者の石の錬成陣…

ただの石の実験にしては…謎が多いですな…」

「これ以上調べようにしても今や研究所はガレキの山だしな…そういやレイミちゃんからは何も聞いてないのか?あの子がエドを抱えてそいつらから逃げる事って本当に出来たのか?」
謎が多い今回の研究所の事件にヒューズが少しでも情報を聞きたくてエド達に令美の事を聞くが…
「…それは…」
「……詳しい事は何も言わねー

あの後すぐに建物が崩れ出してあいつらとは何も話してないんだとさ…

それ以外は何も話さない」

4人で考えても結局謎が多すぎて何も収穫なく終わりそうな時…頭悩ませる4人の目の前に

 エドの見舞いにお客が1人、現れた…





 キング・ブラッドレイ大統領



軍の頂点に立つ人物がエドの見舞いにあらわれた

そこに令美はいなかった…それは偶然か…

それとも運命か…



「…ラッシュバレー?」
「そう!オートメイル技術師の聖地ラッシュバレー‼︎」
その日の夜、病院に行かなかった令美は汽車の切符をエドに渡しにエドのとこに行っていたウィンリィーから詳しい話を聞いていた…エドが明日、中央を出るのは知っていたが令美は場所までは知らなかった…

エド達が次に向かう場所は南部の真ん中あたりの「ダブリス」
だがウィンリィーがテンション上げ熱く話すラッシュバレーはダブリスの手前にある街
「…来るの?」
「うん‼︎一度行ってみたかったのー!エドとばっちゃんの許可はとったから…私も一緒に行ってもいい?レイミ…」
「…私の許可が必要だと思わないけど…まぁいいんじゃない?」
「〜っ‼︎やったーー‼︎」
興奮しきったウィンリィーを止められたない令美は早々に諦めたが…令美が許可したことによりさらに興奮してるウィンリィーのラッシュバレーの話が中々終わらなかった…



『…いいんじゃねーか…“他人”でも…

“他人”にしか言えねぇってもんがあるんじゃねーか?』

   『…』

       『…それになレイミちゃんー』


次の日、護衛した2人に号泣するアームストロング少佐、それにヒューズの妻と娘に見送られながら汽車に乗り込むエド達

「『ダブリス』には何しに行くの?」
今更、旅の目的を聞くウィンリィーどうらやラッシュバレーのことしか頭になかったらしい…
「うん、兄さんと色々話し合ったんだけど師匠の所に行こうかと思って」
「あ〜オレ達ぜってー殺される…」
「殺!…あんたらの師匠ってはいったい…」
目的地にいる師匠のことを考えただけで泣いてる兄弟にウィンリィーは引き、令美は我関せず

あの日、ヒューズから言われた言葉を思い出してた…

「(…おせっかいな…おっさんね…)」

結局、令美はエド達に自身の事を話すことが出来なかった…いや、したくなかった

でも…

『…それになレイミちゃん…

      レイミちゃんとエド達は

  “ 旅仲間 ”ってヤツじゃねーか 』

「(…エド達の次には言ってもいいかもね…

            いつかーー)」






      

アカシ-Tsukimi