過去に何があった







“…みんなに祝福されて…”

        「…そんなのウソ…」

( 祝福されずに生まれてくる子はいる )


 『…君は神に愛され…神になれる‼︎』


   『…化け物はやはり化け物だ‼︎

人間に受け入れられるはずがないだろう‼︎』


『…あんたなんか…産まなきゃ良かったのよ…』



          「………バカみたい…」





空が茜色に染まる頃…エドとアルは師匠を前に…今、覚悟を決めなければいけない…

事の始まりは令美が出て行った後、実力披露の場でエドが錬成陣なしで錬成したからだ…
錬成陣なしで錬成出来る訳をよく知っているイズミはすぐに気づいた…

「アルその鎧の中…空っぽだな…エドもオートメイルだろう」

アルを投げ飛ばしエドの足音でエド達の身体の変化に気づいたイズミはもう確信していた

「…何があった…すべてを話せ…」

それでもイズミは兄弟から直接、話を聞くことを選択した

「それから…カンナ‼︎…出ておいで

       カンナも話をきくんだよ…」

「…レイミさん?」


         「………」


               「…レイミ」

強い夕日で出来た木の影から令美は3人の前に姿を現れた…無言は肯定と見たイズミ

そして…エドとアルは自身達の過去を話した…




いないお父さんの影響で兄弟は錬金術に興味をもち


      兄弟には優しいお母さんがいたー


   流行り病だった…母は亡くなった


偶然出会った師匠に出会い…弟子になり、1ヶ月の無人島での修行…


そして…兄弟はまたお母さんに会いたくて…


      人体錬成に手を出した…


結果的にエドは左足、アルは消えてしまった…

 エドは消えたアルを魂だけ取り戻すため右腕を持ってかれた…

エドが言うには真実(あちら)に持っていかれた…と



エドは、12 アルは、11 の時

 エドは国家錬金術になり…

        二つ名は『鋼の錬金術師』

兄弟は元の身体に戻るため旅にでる…その時に家を焼いた…




「…三丁目の通りに…カンオケ屋があるから自分のサイズ合ったのを作って来い‼︎」

エド達の話を聞いたイズミの最初の一言は怒りに満ち死の宣告をする…兄弟は悲鳴をあげた
「…冗談はさて置いて…あれほど人体錬成はやるなと言ったのに

師匠そろってしょーもない…」

「やっぱり師匠も…」
エドは真理とらやを見て、イズミのように錬成陣いらずに錬成できるようになった…それゆえにエドは若干気づいていた
「…内臓(なか)をね…あちこち持って行かれた…」

「(…身体の中が気持ち悪い理由ってエドと同じなんだ…)」
アリスで違和感を感じていた令美、人の体内など見る趣味はないがイズミのは特に気をつけようと令美は思った

「大馬鹿者だよ…ほんとに…」
「「すみません…」」
師匠に怒られエドとアルは素直にあやまった…次々と言われる暴言にも禁句の『チビ』にも我慢して耐えた…

「…つらかったね…」

怒られると想定していたから暴言には耐えてた兄弟はその後にでた師匠の言葉に目を丸くする…
「…いや…自業自得ですし…つらいとかそういう気持ちは…」
「ね…」

「うん…」

「このばかたれが…無理はしなくていい…」

イズミは2人を抱きしめた…母のように…エドとアルは幼い子供のように謝り続けた…そんな2人にイズミは笑っていた

「……」



「しかし12歳で国家資格を取ってしまうとはね…天才ってやつかねぇ…」
「そんな!天才なんかじゃありません〜オレはアレを見たから…」
話が落ち着いたころ外はもう夜だった

「いや、あれをみて生き返って来れただけでも十分に天才と呼べるだろう、わが弟子ながらたいしたものだね…でもケジメはつけなきゃならないんだよ…

破門だ…」


外の街頭に照らされた暗い室内の中イズミは兄弟に告げた
「…私はねおまえ達をそんな身体にするために錬金術を教えたんだよ…もう弟子とは思わない…」
「師…」
「アル」
破門を告げられ、アルは納得いかないがエドが止めた
「…まだ汽車は出てる…帰りなさい…」

「…お世話になりました…」


イズミに頭を下げた兄弟はイズミの破門を受け入れた…話を聞いてただけの令美も反対することなく出て行くつもりだった

「…カンナは待て…2人で話したい事がある」

準備なんてすぐ終わり出て行こうとした時令美を止めたイズミ
「…で…でも汽車が…」

「…わかった…先に行ってて…汽車が出る前には行くから」





兄弟と見送りの旦那が出ていき沈黙が少しあった

「…カンナは私が嫌いか?」

令美が話やすいようイズミは柔らかく声をかける…そんなイズミから令美は目線を外す

「…大人は汚い…だから嫌い」


「…なぜ大人が嫌いなんだ?」

令美は外してた目線をイズミに向け、真っ直ぐ見つめた

「…大人は平気で子供を利用して捨てる…弱いからって…抵抗出来ないからって…」

令美の瞳は光なく…子供とは思えない目だった



「カンナ…過去に何があった…」



「それをきいてどうするの?…世の中には祝福されずに産まれてくる子だっている…

そんな子供を大人は救えない…」





アカシ-Tsukimi