どんな気分だ
「わかるか?おまえにはその可能性がある、協力してもらおう いやだと言うなら解体してでも手に入れるぞ魂の秘密をな…」
「…くだらない…お兄さんはやっぱり悪い人だ…」
「あ?」
グリードの話アルには何も魅力を感じない、アルは石で書いた錬成陣でグリードの腹に石の拳をくらわせた
「油断したね!こんな鎖くらい錬金術で…」
「…どうするって?」
「アル!」
普通の人間なら気絶する攻撃にグリードは倒れなかった…ましてやアルの錬成した石がボロボロになりグリードは無傷だった
「まぁ落ち着けって…な?」
アルの中身に自分の仲間がいるのにグリードは動揺してるアルを地面にたたきつけた、アルを呼んだ令美も大柄な男に牽制され動けない
「がっはっは‼︎思いっ切りが良い奴は好きだ!おまえ見所があるぞ!だがこれじゃあ全然ダメだ…
俺を倒したきゃこれくらいやらねぇと…」
「え?」
令美を牽制してた大柄の男がハンマーのような物でグリードの頭を殴り飛ばした…口から上が無くなったグリードは血を大量に流しながら…死んだ…
「ちょっ…なんて事するんだ‼︎仲間で…しょ…」
平然と仲間を殺した事にアルは驚愕する…その残酷すぎることに怒鳴ろうとしたが…止まる…
死んだはずのグリードが立ち上がったからだ…
「あ゛… あ゛ーあーこれで一回死亡だ…」
無くなったはずの顔が魔法のように直っていく…そしてグリードは生き返った…
「(なにこれ…アリス…じゃない…)」
「…と、こんな具合なんでなハンパじゃダメだぜ…」
「不死身…?いやまさかそんな…‼︎」
考えられない事を前にアルはパニックになる…令美もアリスでさえも無理な力に驚いていた
「そう、こんな身体だが不死身って訳じゃないんだな…
人造人間(ホムンクルス)って知ってんだろ?
人工的に造り出された人間…人ならざる人…
今おまえの目の前にいるのが“それ”だ…」
グリードは親切に自分の正体をアルに明かした…
グリードの見た目は二十代後半だがもう二百年は生き続ける…そんな前からホムンクルスを作ることが成功したなんてもちろんアルは知らない
「世の中にはな陽の当たらない裏の世界がある…ぬくぬくと生きている表の世界の人間にゃ想像もつかねぇ事が陰の世界じゃまかり通ってんだよ…こいつら合成獣人間に知られてねぇだけでここにこうして確かに存在している…
『ありえない』なんて事はない…」
「……」
人間と動物を合成させ作り上げられた合成獣人間らと自身の欲のためならなんでもするホムンクルス…裏の世界で生きる彼らが表の世界に生きるアルにわざわざ関わる理由は…
「…おまえの存在がそれを証明してるだろ?
魂だけの存在のおまえがよ
俺の秘密は教えたぜ、さぁお前の秘密を…
魂の成り立ちを…」
「……はぁ…」
計画性がないグリードの行動にアルは負けた…これでアルが話さなければグリードに実験動物にされるか細々にされるか…令美の力を使えば簡単に逃げれるがグリードの目が令美に向くだけ…
「(…絶対無理)」
令美は呆れたようにため息を吐いた
「…無理だよ…ボクにはこの身体になった時の記憶が無いし…」
令美と同じくアルも反撃を諦め、でも相手の望む答えをもっていない
「錬成してくれたのは他の人でボクは何ひとつ知らないんだ」
「じゃあその錬成してくれた奴だそいつに訊けばいい」
「ボクの兄さんだけど…今は…いない…」
兄、エドは今ここにはいないと伝えたアルだが…グリード達には伝わらず…
「あー…ご愁傷様っつーかなんつーか…なぁ…」
「元気出せっ…なっ」
「(なんか勝手に死んだ事にされちゃってるよ…兄さん)」
「(…バっカみたい…早く帰りたい)」
エドが死んでると勘違いしたグリード達がアルに同情して慰めてた…なんだか面倒な方向に話が向いて令美は事が過ぎるのを待つだけ…
「なぁーいいじゃねーかよー金出すからさぁ…1回だけ‼︎」
「それ以上私に近づかないで」
エドが死んだことになってるためアルの記憶を取り戻す事になったグリード達は…いや部下達はアルの記憶を戻すため試行錯誤している中…グリード本人の興味はアルから令美に変わっていた
「いいねぇ〜そーゆー気の強ぇ女、俺大好物」
美人に目がないのかニヤニヤしながら令美に近づくグリードに令美の方はどんどん目つきが悪くなる
「…グリードさん思った以上に気に入ってるな…」
「まぁ、顔はそこら辺の女より数倍美人だからな…すっげー態度はデカイけど」
うんともすんともならないアルの記憶戻し…1番に飽きたのはグリードでそれからはずっと令美に話しかけてる…最初は幼い令美にちょっかい出すだけだったのに話してる内にグリードは相当令美の事を気に入ったみたいで…仲間も珍しがるほど
「あの女のどこがいいのよ…少し顔がいいからって…ただの生意気な小娘でしょ‼︎」
唯一、アルの中にいるマーテルは令美が気に食わずぐちぐちと文句を言う
「あはは…」
アルの中にいるせいか…マーテルの愚痴が小声のせいか…愚痴はアルにしかきこえてない…アルはなんて言ったらいいか分からず苦笑い
「…でも…
レイミさん…真っ直ぐな人で…
ストレートすぎてボクも驚くことがあるんですが…
すごく優しい人なんです…」
「…そーには見えないけど…」