そこのチビ
「…うるさっ…」
令美は騒がしい音で目を覚ました
完全な寝不足で状況を理解するのに少し時間がかかったが令美だったが…思い出す、アルに巻き込まれてグリードのアタックに眠れなかった令美はイズミのお陰で帰ってこれて休ませてもらっていた
まぁ、外がうるさくて数時間で起こされたのだが
「…相変わらずうるさい…帰ってきたんだ…」
寝るのに邪魔で髪留めなどをとった事を令美は後悔した、アリス制御アイテムであるこの髪留め達を外すと令美は視覚や聴覚が良くなる、無意識に良くなってるので制御が難しく令美はアイテムが手放せない
もう少し寝ていたかったがまだ騒がしいのは続きそうなのでベットから起き上がった令美は騒がしいエドでも“見て”やろうとアリスを使えば…
「ハ?」
ここにきて…いや、人生で初めて令美はマヌケな声を出してしまった、令美にとっては人生の恥…人がいなかったからよかったけど…
「………なに」
こんな恥ずかしい自分は死んでも誰にも話さない、絶対秘密、知られたら殺す、と令美は混乱する頭で別のことを考えてしまう…だが仕方ない…
令美は早々と準備してアルの元へ向かっているエドを追いかけた…“アレ”に会わないように…
「そこのチビ‼︎」
今…怒りを抑えるのに必死なエドの耳に禁句ワードが聞こえた…エドは鬼の形相で足を止め声した方へ向き…
「あぁ‼︎誰が豆粒ドチビだって‼︎‼︎」
「そこまで言ってないから」
エドの足を止めるのに効果的面だった…今にも暴れ出しそうなエドに令美の態度は変わらず
「何のようだよ…俺は今忙しいんだ‼︎」
「それより、査定行ってきただけなのに誰連れてきたの…あんなの」
エドの事情なんて全く気にしてない令美が勝手に話を進めるエドは怒りを沈めるのに必死になる
「〜っ‼︎なんだよ急に〜誰連れてきたって…」
「…軍の犬なあんたらがペコペコ頭下げてる相手よ!」
「そりゃ…なっ!おまっ⁉︎」
感情が荒ぶってるせいで令美の言葉が理解出来なかったりエドだが…時間をかけて理解した瞬間慌てだした
「“あんなの”なんて呼び方すんな‼︎
“大統領” だぞ‼︎‼︎」
「……そう」
令美は改めて思う…
(…本当にこんな力いらない…欲しくなんてなかった…
こんなの知りたくなかった…)
アリスによって令美はいつも人より真実を知る
自分の意思とは関係なく
「…わかった、もういい……それだけ聞きたかっただけだから…」
「…はぁ…ハッ⁉︎」
「アル迎えに行くんでしょ…早く行けば」
急に止めて急に質問して急に終わった令美の横暴さにエドはますます期限を悪くして行ってしまった…令美の表情もあまり見ずに…
「…なんなの…やっぱり大人は嫌い…大嫌い‼︎
…どーすればいいのよ…」
「おや、レイミもう起きてたのかい?」
令美が店へ戻るとそこにはもう大統領はいなくてイズミ達だけだった…
「……少し出てきます」
悩んで考えた結果…令美は“行く”ことにした…その判断にイズミは笑顔を消して真剣な目で見つめた
「レイミも行くのか?1人で…」
「私はあの兄弟より強いから…それに気になる事があるの…」
日中暑い日差しが照らす中令美は久々に学園の時の制服を着て店をまた出て行った
「…まったく、困った子達だ…」
(…どうすればいいのか分かんないけど…
この眼で確かめないと…)
◇◆◇◆◇◆
グリード達が拠点としていた場所は治安が悪い裏路地…人通りが少ないはずの場所に今は青服を着た軍の人達が沢山いて入り口にすら入れそうに無い…
「…此処からじゃ無理か…」
軍人のせいで一般人は立ち入り禁止にされ、瞬間移動で行っても人に見られる恐れがある…それに中には“敵”がいるからバレなくないと令美は思い…
「…下から行くしかないか…汚いの嫌なのに…」
「ぬぐぐぐぐぐ‼︎」
「逃げようとしたってそうは…大人しくしてなさいいいい〜‼︎」
「い・や・だ〜っ‼︎‼︎」
「…こんなとこで何やってんの?アル」
地下の下水道からグリードのアジトへ向かおうとした令美の前に一体の倒れている鎧を発見…逃げようとするアルを中にいるマーテルが止めてるらしいが令美の目からはアルが倒れてブルブル震えてるようにしか見えない
「えっ⁉︎レイミさんどうしてここに⁉︎」
「アルこそ何でこんな汚い場所で寝てんの?…エドは?」
帰ったはずの令美が現れ驚くアル…令美としてもアジトの中は人が多くアリスを持っても状況がよく分からなかったので疑問が多い…お互いが何も分からずのまま暗く音が反響する下水道のどこからか足音がきこえた…
「グリードさん!」
「マーテル…と鎧クンも無事か」
現れたのはグリードだった…ホムンクルスだから一応無傷なグリード、マーテルの心の中でエドと交戦してると知った令美は…まぁエドならなんとか生きてるだろう…と変な自信があった…
「おぉ‼︎レイミもいるじゃね〜か‼︎何だ〜俺に会いにきてくれたのか〜?」
「ありえないから、馬鹿じゃないの」
一夜にして呼び捨てでグイグイくるグリードには会いたくなかった令美…グリードから距離をとるニヤニヤしながら近づいてくるが
「ム…グリードさん!上がさわがしい事になって来て…ロアは私達をここに置いて戻りました…」
「…あぁちょっと面倒な事になった逃げる算段しとけ」
令美とのじゃれ合いに邪魔されたグリードは残念ながらもこの場から離れようとするが…