どうして









「情だぁ⁉︎阿呆か‼︎俺を誰だと思ってんだ‼︎

 強欲のグリード様だぞ‼︎金も女も部下も何もかも

 俺の所有物なんだよ、みんな俺の物なんだよ

   だから俺は俺の所有物を見捨てねぇ‼︎

     なんせ欲深いからなぁ‼︎」

「強欲‼︎‼︎ますますくだらん‼︎‼︎」

グリードはなす術なく4本の剣を胸に刺された
「しばらく寝てるがよい」
大統領の言葉通り…グリードは動かなくなった


「…アル、逃げた方がいい」
「あっ…はい」
ブラッドレイが来る前に令美は小声でアルに言う、アルも逃げようとするが
「待ちたまえ…エドワード君の弟だね…ケガはないかね?手を貸そうか?ん?」
「は…はい大丈夫です…レイミさんと帰れますから…じゃあ」
ブラッドレイはアルに優しく話しかけた…それはまるで逃がさないそうに…仲間を殺した相手が目の前にいるのはマーテルにとって拷問と一緒

「そうかい…おや、君は?」
「…私は…」
ブラッドレイがアルから令美に興味を向けた…その時

「!だっ…だめだマーテルさん‼︎」
ブラッドレイが令美を見た隙にアルの身体を使ってマーテルがブラッドレイの首を掴んだ

「やめるんだ‼︎」
アルが身体で声でマーテルを止めるが、それは届いてない
「やめなさい、冷静に…」

(ガン)

令美がブラッドレイの首を絞めているアルの腕を掴んで離そうとしたその瞬間…ブラッドレイは持っていた剣でアルの鎧の隙間からマーテルを…

「…アル‼︎」

鎧からマーテルの血が溢れ流れ出す…令美が呼びかけるがマーテルの命がなくなったと同様にアルも返事をしなくなった…
「それで君はエドワード君達とどういう関係なのかな?」
この、人が死にアルも物置のようになった状況でブラッドレイは何食わぬ顔で令美に問う

「……カンナ レイミ…

    この兄弟と一緒に旅してる…」

「ほぅ…なるほど」

令美の返事にブラッドレイは楽しそうに微笑んだ…





「…令美大丈夫だったかい?」
「…私は平気…アルが」
あの後、軍の人によってアルと令美は助けられアルとエドワードは詳しく話をするため残り、ほとんど関わりのない令美は先に帰された

エドとアルが帰ってきてアルの鎧を綺麗にしている時にはもうとっくに夜になっていた

「…」

  『…私には最強の眼があるのだよ』

外で掃除してる兄弟に令美はどう伝えるか…伝えないべきか迷っていた…信じてもらえるかも怪しい中これを言った所で何か変わるか令美には分からない…

それに…エドは…


「…レイミ!」
「っ‼︎」
イズミの呼びかけに令美は予想以上に驚いた…思いの外、考え込んでいた令美

「…あのバカ兄弟を呼んできてくれるか?」
「……わかった」
イズミは令美には甘いが今日は特別に甘く、優しい目をしていた…


兄弟は掃除が終わったようで今回の件を話していた…
石について収穫なしかと思われたが第五研究所のウロボロスの件に関わる軍内部の人間を捕らえたい軍がグリード達を皆殺しにした…生かして情報を聞くこともなく…しかも小規模なグリード達を相手に大統領まで出てきた

軍の行動に腑に落ちない事ばかりでエドとアルはしばらく軍にくっつくことを決めた

「……」


「あっ…レイミさん」
「…イズミさんから呼ばれてる」
話が終わった瞬間タイミングよく令美は2人を呼んだ

「…そういえばレイミ、なんでアルの所に来たんだよ」
その質問はただの興味本位だった、あの時グリードの所に行く前に自分を止めた令美、エドには結局令美は師匠の家に帰ったと思ってたから…

「…少し気になることがあったから…」

「?…ふーん…ま、ケガがしなくて良かったな」
「本当、ボク達いつもボロボロで…」
深く追求することなく疑うことなくエドとアルは楽しそうに兄弟でじゃれていた…令美がなにかを隠している事なんて分かってるはずなのに…

「…どうして…」

「あ?」

「…どうして何も聞かないの?

なんで地下水道からアルの所へ行けたのか…

         目的はなんなのか…

 私が何か隠してるって気付いてるくせに…


なんでっ…

     それに…


    私が何者なのかも…


なんで何も聞かないのよ」


  「…レイミさん」

        「…聞いて欲しいのか?」



 暗い夜の空…

     令美はエドとアルに向き合った

 



アカシ-Tsukimi