消さなくては










『…カンナ レイミ…あの娘は何もしなかった…

“目の前で人間が死にようが顔色一つ変えなかった…』

暗い一つの大きな部屋にキング・ブラットレイが事件の報告をする…今回の事件、グリードはもちろんもう一つ目的があった

急にエルリック兄弟の前に現れ同行する様になった謎の少女の観察

『…内心ビビってたんじゃないの〜?』

『だけど油断は出来ないわ…あの子は私達の存在を知っている…お父様に気づかれる前に…

        消さなくては…』






        ◇◆◇◆◇◆





「(…あの事…まだ言わない方がいいのかな?)」

イズミ達とご飯を食べて1人令美は寝室で窓から暗い夜を見上げる

「(…あのおやじの力…ただ目がいいってだけなのかな…透視能力とか…)」

流石に自分の事とはいえ内容が内容なだけに令美はギング・ブラッドレイの話をエドとアルに出来なかった…それに説明するとなるとアリスの話は絶対にしないといけない…


  「(…だけど…いつかアリスのことも…)」






◇◆◇◆



場所は変わって…またラッシュバレー

エド達は修行中であるウィンリィの元へと戻ってきた
「いよっ!ウィンリィさん本日も良い天気でごきげんうるわしゅう!」
「エド!アル!レイミ‼︎」
出来るだけ明るくウィンリィの前に現れたエド…急な再会にウィンリィはもちろん驚いてたが喜んだ



グリードとの戦いでボロボロになったオートメイルを見せたエドに…

「…だから言ったのに…こんな作戦じゃ無理だって」
ウィンリィによって死んだエドにアルは泣き、令美は呆れた…オートメイルが壊れてしまいウィンリィの所へ直しに行く前に怒られないために話し合った3人だったが…見事に作戦失敗した

「へー、スリやめたんだ…」
なんとかエドはウィンリィに腕を直してもらう中仕事から帰ってきたパニーニャとアルが話に花を咲かせていた…令美も隣にいるがまったく参加するつもりがない
「うん、身の軽さを活かして高所作業を請け負って生活してんだ」
パニーニャは稼いだお金を少しずつだがドミニクに返してるらしい

「そっちの調子はどう?」
「うーん…ちょっと進歩あり…かな?」
この数日で大きく変わったわけじゃ無いが兄弟の目的への前進に良くもあり、ウィンリィとしてはオートメイルがボロボロで悲しくもあり…まぁ、すぐにオートメイルに内蔵できるマシンガンなんかを進めていたが…


「それで?次はどこ行ってオートメイルを壊す気?」
「壊すの前提かよ‼︎」
エドとウィンリィの言い合いはアル達を笑わせる…令美はウィンリィがお世話になってるオカマの親父に出された紅茶を優雅に飲んでるが

「…中央軍部で調べ物しようかと思ってんだ…」
「えー⁉︎中央行くの⁉︎あたしも行きたいなぁ!」
ウィンリィにはああ言ったが本当はあやしい軍にひっつくため…考えてようやく絞り出した作戦は中央に行くというもので…なんとも単純なものになってしまった

目的地を知ったウィンリィは食いついた…どうやらヒューズ家にお礼が言いたいらしい
「そうだ…兄さん!ヒューズ中佐!」
「おぉそうだ!オレも入院の時世話になったしあいさつしとかねーと」

「(……誰だっけ?)」
働き溜めのウィンリィはすぐに休みの許可がでて中央に行くのにウィンリィも一緒になった中…令美だけがヒューズの存在を思い出せないでいた…

「よし…っとチェック終わり!部品の調達してくるからその辺でヒマつぶしてて」
「ヒマつぶすってどーやって…レイミも来るか?」
「私は…」
腕を直す前に部品が必要で待ち時間が出来た兄弟…それと令美も…観光地といっても兄弟からしたら興味のないものばかり…どうしようか令美も誘うか迷った時…

「レイミはダメ‼︎久しぶりに会ったんだから私にゆずって‼︎一緒に買い物がしたいの‼︎」
「お…おぉ…」
ウィンリィのすごい勢いに拒否権がなく、エドが返事してしまった…令美もそれに断る事が出来なかった

「…じゃあ…オレ達は行く…か…」
「…う、うん…」
なぜだか気まずくなるエドとアルはなかなか店を出ない、そんな彼らをオネェの店長が相手をすると言い出したら兄弟はすぐ様店を出て行った


「さぁ!レイミ行きましょ!部品以外にもレイミの似合う洋服とか見に行きましょ‼︎」
「(…暑いのはイヤなのに…)」
外の暑さもイヤなのに気合い十分なウィンリィ自身も熱く…もうすでに令美は疲れていた…







アカシ-Tsukimi