論外









新たに人数を増やして中央へ向かうことになった

「…たくよーこちとら先を急いでんのによぉーおめーらのせいで直るまでえらく時間くっちまったぞ…」
エドの右腕がリンのせいで破損し、直すのに時間がかかった、そのせいで出発するのが遅れたのに不満があるエドは汽車の中で目の前に座っているリンに愚痴る

「エドが壊さなければ済んだ事でしょ!」
「へーへーだいたいあの黒装束のせいだ!オートメイルの請求書叩きつけてやる‼︎」
ウィンリィに怒られるようがエドは反省などせずまだ愚痴をリンや部下2人に言っている

「あの二人にはよく言っとくから勘弁してヨ、娘の方はランファン、じぃの方がフー家に代々仕える一族サよろしくナ」
髪まで黒服で顔はお面で隠れてるリンの部下2人を見分けるのは難しいだろう、令美には関係ないが

「付き人が二人もいるなんてもしかしてリンって結構いい家の坊ちゃん?」
「は‼︎男のクセしてお付きがなくちゃ怖くて旅もできねーか」
「そうだねェ、子供の一人旅だと色々と危ないかラ…」
アルの疑問やエドの悪口にリンは気にすることなく答えた…

「子供?」
「君、いくつ?」
自分を子供だと言ったリンに令美以外のみんなが不思議に思う

「15だヨ」

『ごっ…⁉︎』


まさかのリンが年下だと知ったエドは椅子から立つように言った…そして自分も立ち身長を比べたら…リンの方が高く…

「……フケ顔‼︎」
16のエドは一つ下のリンに身長が負けている事に逃げたくてリンの見た目にケチつけた
(ズゴッ…)
「な…」
「あ…ライファン」
エドの真横スレスレに上から剣が落ちてきた…リンの悪口には地獄耳なのか剣で出来た穴から倒れたエドを睨む眼が…
「上に乗ってんの⁉︎」
「ちょっ…大丈夫⁉︎」
「つーか無賃乗車だろうが‼︎車掌さーん‼︎」
「はははあの二人がそう簡単に捕まると思ってるのかイ?」
汽車の上にリンの部下2人が乗ってるのを知り騒ぎだすエド達…座席数からしてエド達の反対側に座っていた令美としては他人のフリしたいほど関わりたくないと思っていたがライファンの攻撃で倒れたエドと目が合った

「レイミ…何で1人でそこに座ってラクしてんだよ」
「…やめてよ同類と思われたくない…席数だってないでしょ」
汽車の中は2人用長椅子が向かいあった状態で列になっている、令美はエド達とは通路を挟んだ反対側に4人席を1人で座っていた
「リン、オメーが1人で座れ」
「エーそれなら僕レイミちゃんと二人で座りたいナー」
今さら席の事でごちゃごちゃ言い出すエドとリンに令美はますます他人のフリがしたい

「…そーいえば、レイミって何歳なの?」

ケンカする二人を他所にウィンリィが改めて令美の隣に座り聞いた


「……14だけど…」

リンの時とは比べものにならないくらい驚きの声が響いて令美は頭が痛くなった




「さて!先に軍部に顔を出してくるか…ヒューズ中佐って軍法会議所だよな?」
「うん」
騒ぎながらも中央についたエド達は早速ヒューズに会いに行くことにした
「若はどこダ」
リンがいつのまにか消えていて部下二人は落ち込んでいた…常習犯らしい
「せーせーした!行くぞ!」
行方不明のリンや落ち込んでる付き人など気にせずエド達は軍部へ向かう彼らとは早い別れとなった



「あれー?ホークアイ中尉がいる!」

「あら!エドワード君アルフォンス君レイミちゃん元気だった?」
「うん相変わらずだよ」
軍部の門前に東にいるはずのホークアイがいた、見た目冷たい印象があるホークアイだが…
「(…レイミ…ちゃん?…)」
ウィンリィもホークアイと顔見知りなのかにこやかに話が弾んでいる…ホークアイに慣れてない令美にはその中に入ることも出来ないし、名前に“ちゃん”付けされた事にもむず痒さがした

「…待て!中尉がいるって事は…」

「やぁ鋼の」
「あれ大佐こんにちは」
エドの嫌な予感は的中、一台の車からロイが降りて来てエドは顔を歪めた
「なんだねその嫌そうな顔は」
「なんで大佐がここにいるんだよ‼︎」
「…論外」
嫌な顔するエドと令美に臆する事なく反対にから笑でウィンリィを口説くロイに令美はドン引き

「先日、中央勤務になったのでな今日はどうした」
ロイはゲスを見る目で見つめてくる令美を気にしないようにエドに話しかけた
「あぁ情報収集に来たんだ賢者の石とホムンクルスについて調べてたんだけどさ」

「人造人間(ホムンクルス)?無茶を言うな…

『人を作るべからず』と命令されている軍からそんな情報がホイホイでるものか…」
「そりゃそーか」
軍があやしいのはわかっているが大佐が呆れて言う通り表沙汰にそんな情報はあるはずがない、エドも少しはわかっていたのですぐに諦めた

「あ、そうだもうひとつ…ヒューズ中佐にあいさつしに行こうと思ったんだ

中佐元気?」

エドが当たり前のように中佐の事をきくとロイとホークアイの雰囲気が変わったのに令美は気づいた
「…いない」

「は?」
「…田舎に引っ込んだんだよ…近頃中央も物騒なんでな、夫人と子供を連れて田舎に帰った、家業を継ぐそうだ…

もう中央(ココ)にはいない…」

        「………」

「そっかー残念だなぁ…」
ロイの言葉にエドはもちろんアルもウィンリィも信じてヒューズに会えないことに残念がってた…

ただ1人を除いて…

「…鋼の…先走って無茶なことはするなよ…」
「…?あぁほどほどにしとくよ…」
ロイは情報が手に入ったら連絡しろとエドに約束させ…最後に一言いってホークアイと行ってしまった…


      「(…そう…あの人は…)」









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