探しちゃったヨ










エド達の道には壁ができて完全に進めなくなった…何もしない日が続いて、今日も…

「よく見たらいっぱい傷ついてる…ハードな旅してるのね」
「はは…」
宿の部屋でウィンリィはアルの鎧を綺麗に拭いている、エドはやる気なさそうにベットに寝転がってる…令美はあの日からよく本を読んでいて時々グレイシアの所へ遊びに行ってるのをエド達は知らない

「ねぇ…これからどうするの?」
ウィンリィがこんな毎日にたまらずエドにきいた…今後のことを考えて
「…どうすっかな…どうしてほしい?」
ウィンリィの質問にエドは質問を質問で返した…そんなエドにウィンリィは反応に遅れた…

「なんだよ?」
「…あんた達自分の事で相談された事無かったから…」
「…そっか」
エド達が今まで自分達で何もかも決めていたのにウィンリィは驚き自分の気持ちを悩みながら話す

「んー怖かったよ…」
「?」

「ヒューズさんが殺されちゃうような危ない場所でエドもアルもずっと闘ってたんだな…って思ったら…すごく怖くなった…

だって死んじゃうかもしれないんだよ?急にあたしの目の前からいなくなっちゃうかもしれないんだよ?そう思ったらすごく怖くなった…

正直旅をやめてほしいって思った…」

ウィンリィの素直な気持ちをエドもアルも黙ってきいてる…本を読んでる令美も

「…でもアルが元の身体に戻るのをあきらめるって言い出した時…嫌だ…って思った…これも素直な気持ち…

元の身体に戻ってほしいけど危ない旅はやめてほしい…って…えーと…

ごめん、あたしもどうしたらいいかわかんないや」

「……ウィンリィはやさしいね…」
「え⁉︎ななな何言ってんのよ!」
矛盾したウィンリィの言葉はアルには優しさとして伝わった…テレたウィンリィは照れ隠しにアルをスパナで殴っていた…また傷が増えた


「…私は誰かに決められた道を素直に進むエド達に付き合う気ないから」

「はぁ?」
本を閉じて急に上から目線でエドに忠告する令美にみんなが目を丸くする

「だいたいウジウジするくらいなら見えてないモノ探しに行きなさいよ

こんなとこいても何も決められないでしょ」


「…〜っ‼︎何が見えてないってんだよ…‼︎」

令美はアドバイスしてくれてるんだろうけど相変わらずの態度と言い方で素直に受け止めれないエド、アルとウィンリィも苦笑い
「後は自分で考えてよ…それより客人が来たよ」
「…客?」

(コンコン)
解決しないまま令美の言った通り客人が来た
「(…なんで客が来たことわかったんだレイミの奴)へいへいどちら様…

  へ 」

色々と令美には疑問が残るがエドはめんどくさがりながらも部屋を開ければ目の前には拳を振り上げるアームストロングが…

(ドゴッ‼︎)
「「‼︎」」

「いきなり何すんだよ少佐!」
アームストロングが振り上げた拳はエドが右手でガードしたから怪我はしなかったがその拳は強くエドは簡単に吹き飛ばされた
「むう‼︎いかん‼︎オートメイルが壊れてしまったな!これはいかん!」
アームストロングのせいでエドの右腕は軽く凹んでしまった…するとアームストロングはリゼンブールへ行って直そうと言い出した

「やァ!いつ見ても美しいレイミちゃん!僕と婚約しませんカ?」
「い・や」
廊下でエド達が騒がしい中、部屋の窓からリンが入ってきた、それに気付いたのは令美だけで早速リンは令美を口説いていた

「よぉしすぐに汽車の手配だ!行くぞエドワード・エルリック‼︎」
リンと令美の事など気づくはずもなくウィンリィがいると拒否するもアームストロングはエドを無理やり連れて行ってしまった

「えーと…」
突然の事にアルとウィンリィは止めれず、去っていくエドを見送ることしか出来なかった…そんなアルとウィンリィの隣に…
「おでかケ?」
「「ぎゃあ‼︎」」
音もなく急に現れたリンに悲鳴をあげる2人

「リ…リン、どこから…」
「窓から、国家錬金術師なら軍のホテルを使うと思ってシラミつぶしに探しちゃったヨ」
相当驚いたのか震えてるアルにリンは相変わらずヘラヘラとしてる

「だからってなんで窓から来るかなぁ!」
「ほら一応犯罪者だかラ」
「ボク達の知らないところで何があったんだよ」
呑気なリンだが話してる内容はぶっ飛んでて、いつのまにか罪人になってるのにヘラヘラしてるリンに最後はげんなりするアル

 「…バリー・ザ・チョッパーから話は聞いタ

    君達、面白い事になっているネ」

「⁉︎」

「…騒がしくなりそう…」

リンの話を聞くことになったが令美は外を見つめた…



最初から目的はコレだったのだろう…

マリア・ロスがヒューズ殺害犯だと決められた時、ロイ・マスタングの作戦が始まった

バリー・ザ・チョッパーを使いロスを脱走させ残酷にもロイがロスを焼死させたと軍に思わせたいから…わざわざ焼死体のダミーまで作ってまでしたかった事は

ロスの焼死とバリーを軍の奴らに見せるため…

   エサでネズミを釣るために…

「(…あのおっさんが考えそうなことね…)」

「なんて事だ、兄さんはそのために少佐に連れて行かれたのか…!何で誰も教えてくれなかったんだよ‼︎」
リンの話に驚きと怒りが隠せないアル、話し通りならエドが連れていかれたのはきっと逃亡したロスに会いにいくため…他の真実も知るかもしれないが


「おッ、やばいやばイ…始まっちゃうヨ」
長話が過ぎたのか、窓から見える打ち上げられた光に気づいたリンは少し慌てる
「何?花火?」
「んー…反撃の のろし…かナ?…行くかイ?」
お目当てのネズミが出てきたのだろう、リンは今から加勢しに行くだろう…アルは…

「…ヒューズさんを殺した奴の事がわかるかもしれない…

ボク達の責任もあるとしたら…

    見届けなくちゃいけないと思う…」

「行くの?」
「うん」
突然で頭が追いついてないがアルは妙にスッキリしたように決断した…

リンと一緒に行く事にした

「ちゃんと…帰って来るよね?」
「うん!約束する!」
心配するウィンリィにアルは約束をした…そしてリンと行こうとした、が…

「待って」

一つの声がアル達を止めた…今まで静かだった令美だ


       「…私も一緒に行く」


  令美もまた…『守る』と決断したから…



アカシ-Tsukimi