万能










  「…まじ…かよ…」

            「……そんなっ…」


 驚くエドとアルの前に…

       宙に浮かぶ銀時計

          銀時計を浮かべたのは…

    「…これが“アリス”の力よ…」





「…何で宙に…」

「アリスはね特殊な能力で…誰もが手に入れれる力じゃないし、能力も選べない…だからさっき言った『天賦の才能』ってわけ…私はそんな言い方好きじゃないけどね」
令美は宙に浮いた銀時計を触る事なく持ち主であるエドに返す…
「この力は『遠隔操作のアリス』…自在に物を操ったり、人だって持ち上げることも出来る」
戻ってきた銀時計に仕掛けがないか何度も確かめるエドとアルだがいつも見てるただの銀時計

「…どうなってんだ…コレ…」
「仕掛けなんか何も無いわよ、どうせ言っても科学バカ達は信じないからアリスを見せたの」
理解出来ないありえない現象に頭が追いつかないエド、その心を盗み聞きしてる令美はすぐにシャットアウトした…難しい科学知識を頭フル回転させてるヤツの心読んでも意味分からなかったから

「エド達が言う科学の基礎関係なくアリスはどこでだって火が出せたり水が出せたり色々な超常現象って訳…理解出来た?」

「「まったく」」
理解しようにも科学脳である兄弟にとって今令美が手のひらから火が出てきた原理が理解不可能すぎて令美の確認に速攻で否定した

「何で理解出来ないのよ…

あのね傷の男と戦った時は“水のアリス”に“瞬間移動のアリス”で爪の女と戦った時は“物体テレポートのアリス”と“風のアリス”なの!
普通の人間が錬金術無しであんなヤツら相手出来るわけないじゃん、少しは疑問に思わなかったわけ?」
「そんなに使ってたんですか⁉︎全然気が付きませんでした‼︎」
「なんか…レイミなら大丈夫って思っちまってた…て


ん?…お前…ラストと戦ったのか?」

理解出来ない兄弟に呆れた令美が今までのアリス使用時を言えばアルは驚き、エドはアリスとは関係ないことに気がついた
「…あれ?言ってなかったの…アル1人で行かせたらやられると思ったから力を貸してあげたの」
「うん、あの時もレイミさんすごく強かった」
自分の知らない事で仲良く(見える)話す2人にエドは何故かひどくムカついた

「アル!何で言わなかったんだよ‼︎」
「えぇ…だってあの時まだ混乱してたし…兄さんの話で言うタイミングがなくなったし…」
「何怒ってんのよ…」
急に怒り出したエドにアルと令美はさっぱり訳が分からず不思議そうにエドを見てる

「(…なんか納得いかねぇ…)」



「…それにしてもアリスって色々な事が出来るんですね…一つ一つ科学的に解明したい…」
拗ねたエドはほっといてアルは疑うことを知らずに令美のアリスについて素直に感想まで言った
「やめて、こんだけアリスが使えるのは私が特別だから…本当は1人は一つが二つ…三つまでの人もいたかも…」
「そうなんですか?」
アルの素直な反応を見て令美はやっと本題に一歩進める、拗ねてるエドも興味が惹かれるようだ

「私のアリスはね『万能のアリス』

見たことのあるアリスを全て自分のモノにして使いこなすことができる…それが私のアリスなの」

「…万能…」

またもや思考停止した兄弟、せっかく令美のアリスを話したのに…それに滅多にお目にかかれない超プレミヤ級のアリスなのだが…ノーリアクションに令美は少し不満…

「(……あらゆることにすぐれてなんでもできる…

万能…)」

「へぇー意味ぐらいは知ってるんだ…理解は出来てないけど」
「はっ…おまっ⁉︎」
なんでリアクションがないのかエドの頭の中を覗けば先程とは違って単純な思考に笑う令美
「このアリスは『心読み』…人の考えを読める能力…いつもエドは難しい事ばっか考えてるけど今は静かね」
「はぁっ⁉︎」
心まで読まれるとは思わなかった兄弟の顔色は真っ青だった

「安心して、肉体が無いせいかアルの心は読めないの」
「え!そうなんですか⁉︎」
「おい‼︎アルだけズリぃーぞっ‼︎勝手に人の心読むな‼︎」
鎧の身体のお陰で心を読まれないと知ったアルは喜びエドがガキの様に文句を言う

「…うるさい、エドの最大の秘密を今ここで暴露してあげてもいいんだけど…」
「……」
「特に身長に関して」
「…………スミマセンでした……」
令美の脅しが嘘じゃないと“身長”の話を出されてはエドには謝る道しかなかった


「(…兄さんの最大の秘密ってなんだろう…)」
アルはあのエドが令美に謝ってでも隠しておきたい秘密が知りたくなった






アカシ-Tsukimi