信じるよ‼︎










「………僕は信じるよ‼︎」

エドとアルが諦めず…バカがつくほどお人好しなのを令美は知っているのに…
「アリスや異世界の話…普通は信じてもらえないはずなのにレイミは話してくれた…きっとすごく勇気がいるはずだから…」
「…アル」
アルの言葉にエドも令美も驚かずにはいられなかった…アリスがある世界なら信じる人はいるかもしれないけどこの世界ではあり得ないと令美は思っていたから

「レイミはこんな時嘘ついたりしない…だから僕は信じる‼︎」


「わかった!俺も信じる‼︎

アルがそこまで言うなら俺だって非科学的なアリスや異世界から来たってヤツも全部信じてやる‼︎」
「兄さん僕を言い訳にしないでよ素直になればいいのに」
「なっ!なにをー‼︎」

「…」

アルに感化されたようにエドも同意すればアルから苦情が出る、そんな2人の言い争いを見ていた令美は今だに驚いていた…


「(…信じるより先に普通ならこのアリスの力を私利私欲のために使いたがると思うけど…それか怖がるか…)」

知っていた…この兄弟が今まで令美が見てきた人と同じでないことくらいは…でも少しの不安もあった、この世界にはアリスがないから…

「(…本当、この兄弟って…)」





       ◇◆◇◆◇◆




「あぁ‼︎もうあの兄弟ウルサイわね‼︎」

長い1日が終わったと思った夜…隣の部屋の騒動か、ウィンリィの怒鳴り声のせいか令美は寝ていたのに起きた
「うるさーい‼︎ガキかあんたらは‼︎」
同室である令美とウィンリィは話が終わればすぐに就寝したのに、隣のエド達に起こされてウィンリィは訳もあって機嫌が悪い
「あたし明日は早いんだから睡眠のジャマしないでよ‼︎」
「あ…そっかラッシュバレーに戻るんだっ…け…」
パジャマ姿のまま怒るウィンリィとラフな短パン姿で眠そうな令美がエド達の部屋に入ると素直にエドが謝るが…

「待て、ラッシュバレー行きはキャンセルしてもう少し中央に居ろ」
「は?」
「まぁ…その、なんだ…ほら腕壊れるかもっつーか…うん、たぶん壊れるっつーか…なぁ…」

「壊す予定あるんかい‼︎」

令美にでも分かるウィンリィが機嫌の悪い時にエドが腕を壊す予定を話せばペンチで殴られるのは容易に予想出来た


「で、結局何でそんなに騒がしかったの?」
プリプリと怒って出て行ったウィンリィの後にはついて行かず令美は血まみれの兄を介抱する弟から話をきく
「実は…」



令美とウィンリィが部屋に戻った後、エド達は身体を取り戻す方法として、多くの人々を犠牲にする賢者の石で元の身体に戻る案は論外の為…まずはホムンクルスを捕まえることにした
「ふーん、いいんじゃない?エドが『人柱』とかよく分かんないけど傷男を使ってエドをエサにすばホムンクルスは出てくると思うよ」
「…そうですか?」
根本的にホムンクルスを作り出した人や組織、軍との関わり、そしてその先の目的も何もわかってない…唯一エドのことを『貴重な人柱』と言って真実の扉を開き戻ってきた者を殺させないと分かっている…エドはそこを利用して生きていたと情報があったスカーを使う

スカーは国家錬金術師を絶対殺しにくるだろう…


「…でも彼女は大丈夫なの?傷男とは離れた場所にいた方がいいんじゃない…」
「おまっ…心、よむな…」
一つの不安要素を令美がアリスで知って忠告するが…エドは令美に弱めに注意するだけ…

「……まぁ、いいけど

私も協力する、あのバカ王子だけじゃ心配でしょ…私がいれば捕まえる確率が高くなるよ」
「えぇっ⁉︎レイミも‼︎」
エドの迷いに深く令美は追求せず、今回の作戦にも参加することにした、やはり兄弟揃って驚いている

「じゃあ私も寝るから」

「…っ!おい‼︎作戦に参加してくれるのはありがてーが何でそこまで協力してくれる…あのバカは目的があるが…レイミには何も見返りがねーだろ…

   アリスのこともなんで俺達に話した…」


本当は令美が自分達の旅についてくる理由もエドは知らない…それに加えて『アリス』と言う強すぎる力を教えてくれたわけも…こっちは無防備に心を読まれるのだ少しくらいわけをきいてもいいだろうとエドは令美を追求する

「そうね…私は別に元の世界に帰りたい訳じゃないし…自由に生きれたらそれでよかった…」

「…レイミ」

 「…でもあんた達がバカだから…

          仕方ないじゃない…


   私がいないと死にそうだから…」



相変わらずひどい言い方だが、エドとアルは言い返せなかった…

  あまり表情を変えず、笑わない令美が


      綺麗に笑ったから…



アカシ-Tsukimi