ー名前 sideー
前の私は自分を守るのに必死で
誰もが敵に見えた
敵じゃないと思った相手は…2人が初めてだった
「…黒ネコ…?」
2人を知るきっかけになったのは棗のウワサを話してる連中の会話をたまたま聞こえたから…私は自分のクラスにはまったく行かない、授業を受けないから転校生が2人入って来たことに気づかなかった
まぁ、その時はまったく興味なかったからすぐに忘れたけど…
思い出したのはペルソナに棗を紹介された時…
棗と初めて会った時…
「次の任務には棗と一緒に行ってもらう」
「そいつが新しく入ったなら私の代わりに行かせてよ…任務はもうしたくない」
無言でペルソナの言うことを聞いてたみたいだから棗に押し付けようとした…私もあの時は任務が嫌いでどうにか逃げようと必死だったから
「…」
「名前、棗のアリスは炎だ…君には及ばない…
分かっているだろ… それとも…
『 校長 』の所へ行きたいのか…?」
それは反抗的な態度を取る私への呪いの言葉だった
「…わかった…やればいいんでしょ…」
それから棗と一緒の任務が何回か続いた…棗は口数が少なくて無茶ばっかりする奴、私は天才だったから棗の行動は理解出来なかった
「バカ、私との任務中にケガしないでよ」
「…」
「…やめてよ…ケガされたら迷惑,私の力不足だって思われるでしょ」
私は毎回無茶ばかりする棗の怪我を治してやった…でも任務が同じ時だけ、ペルソナのお気に入りである棗は私より任務に行かされて大変そうだけどそこは私とは関係ないから
なのに…
「…こいつ流架」
「……何、なんなの…」
棗が急に流架を私に紹介した…意味が分からない
流架は可愛らしい表情で棗の怪我を治してくれることにお礼をわざわざ伝えたかったらしい…
「別に私のワガママで治しただけよ、礼を言う必要ないし言われたくてやってない」
「…そっか…でも僕は苗字にお礼したいって思ったんだ…これは僕のワガママだから」
「……」
そう返されると何も言えなかった…流架は不器用な棗を相手にしてるだけあって言葉で勝てる気がしなかった…
それから3人でいる時間が増えていった
初めてこの時間が落ち着くと思えた…
そう思わせてくれたのは棗のせい
それにきづいたのはもう少し先の話だ
「…棗…流架…」
懐かしい夢を見た…2人との出会いは私にとって大切な思い出だけど…私は結局最後まで大切な2人に自分のことを話すことはなかった
「…後悔…したのかな…私」
「名カナー‼︎いつまで寝てんだー‼︎」
「兄さん!女性の部屋に勝手に入っちゃダメだよ‼︎」
騒がしい兄弟の声が部屋の外から聞こえた…ウルサイのに落ち込んでた気分が良くなった気がするのって…不思議…
「うるさい、人の部屋の前で騒がないでよ」
「すみません名カナさん…止めたんですけど…」
「名カナが遅いからだろ‼︎早く行くぞ‼︎」
「…」
『名前、いい加減教室来なよ…あの棗だって来てるんだから…』
『オイ、流架テメー…』
『行こう、名前』
『チッ!…行くぞ』
後悔してる…
棗と流架に私の事…
ちゃんと伝えてればよかった…
だから…今度は…ちゃんと…
「…行ってきます…流架… 棗 」
ー名前 side endー