ニート矯正施設 後日談

ニートは登場しません。

「何それ聞いてない!」
「言わなかったもの」
「何で私に黙ってそういうの進めちゃうの!」
「だってなまえに言ったら絶対反対するでしょう」
「そりゃするよ!六人まとめてならまだしも一人だけってかわいそすぎるもん」
「そう、だから母さんも結局やめたわ。今のままでも、まだ何とかやっていけるからね」
「そうだよ、まだ父さんも現役だし私もいるんだから」
「ありがとう。……それでね、ここからは仮定の話なんだけど」
「ほいほい」
「もし、本当に誰か一人送らなきゃいけないってなったら……なまえならどうする?」
「本当に一人だけ?」
「本当に一人だけ」
「ううううんんんんいやあ〜……えー……うーん……一番変化がありそうなのはおそ松だけど……」
「そうね……六つ子のリーダー的存在だものね。順当にいけばそこよね」
「いやでもやっぱなし!おそ松がそんな施設行ったくらいで矯正されるわけがない、多分何もかわらない。むしろ変わったら嫌すぎる。おそ松はおそ松だからいいの」
「わかる〜母さんも同意件!じゃあ、カラ松は?私は最初、カラ松かなって思ったんだけど」
「カラ松かあ……たしかに何やかんや真面目にこなしてくれそうではあるよね。でもなあ、カラ松が万が一働くようになったら他の五人はカラ松に責任押し付けてますます働かなくなりそうだなあ。カラ松もお人好しだから多分許しちゃいそうだし……なしなし、カラ松なし。ていうかカラ松聞き分けあるいい子だし。施設だす必要ないし」
「そうなのよね〜なんやかんや根はいい子なのよね〜……じゃ、チョロ松は?」
「チョロ松はちゃんとやりそうで意外とすぐに根をあげると思うんだよね。それか、超洗脳されて帰ってくるか。洗脳されて帰ってきたら自意識ライジングがまたやばいことになるよ。下手したら死人が出るよ。ということでチョロ松も保留。誰かに預けず、うちの中でゆっくり社会常識を教えてあげましょう。ていうかこの手で手取り足取り教えてあげたい」
「んんん〜わかる〜、手がかかりそうなんだけどそれもまた愛らしいのよね……じゃ一松は?」
「絶対だめ、一番だめ。一人にしたら死んじゃう。あの子は自分一人にされることを何より嫌うから、他の兄弟が皆働けば無理矢理にでも働き口探すと思う。だからむしろ、出さない方がいい。あと出したくない。かわいい」
「そうなのよかわいいのよ〜!松代も出したくない〜!じゃ十四松はどう思う?」
「ないでしょ!施設内十四松化して帰ってくるよ!あと十四松のいない空間とか考えられない。十四松なしではもはや生きられないところまで来てる」
「そうあの子中毒性あるのよね……!じゃ、じゃあ、トド松は?」
「コミュ力あってまともなバイト経験があるし、正直安牌ではある……。でもそれゆえに、トド松に至っては環境さえ変わればやってけると思うんだよね。今って、兄弟が皆働いてないから便乗してるだけだと思うのよ。だから一松同様、他の兄弟が先陣切ればあっさり働き場所見つけてくると思うよ。……あと、案外兄弟大好きだから一人にしたらストレス負荷かかった挙げ句家族への愛情を失うと思う……もし二年後に会ってどちら様ですかとか言われたら耐えられない。無理。出すべきじゃない」
「やだ、後半こわい話じゃない!無理ね、トド松もやめましょう!」
「これ、決まんないね!」
「そうなのよ、決まんないのよ!なまえも一緒で安心したわあ、母さん甘すぎるのかと思った。今のままが一番よね!」
「うん!今のままが一番だね!」
「はーすっきりしたわ、ありがとう。じゃあ夕飯の支度しましょうか」
「おっけー、今日は何にする?」
「……いや、母さんもなまえも甘すぎだろう……」
「あれ、父さんお帰り。ゴルフどうだった?」
「ああ、聞いてくれ!今日ワシ、イーグル取っちゃった!」
「えーすごいじゃん!プロだよプロ!」
「はっはっは!だろ〜?父さんやる時はやるんだよなあ〜。あーそうだなまえ、ちなみに、あの中から三人施設に出せるとしたら、お前なら誰を選ぶ?」
「いやだから誰も出さないって。今結論でたでしょ」
「終わった話を蒸し返さないでくれるかしら」
「えええ……なんかごめんなさい」