「治」
名前を呼ぶと、気だるそうな瞳が私のことを捉え、少し驚いた表情で「名前?」と私の名前を呼んだ。
「帰ったんやなかったん?」
「買い物しとったん」
「わざわざ戻ってきたん?」
「そ。プレゼント渡したくて」
他の女の子たちの視線なんか気にする余裕はなくて、さっきからずっと自分の心臓の音が身体中に響いている。
「いらんて言うたのに。…とりあえず一緒帰るか」
「うん」
「ツ…うおっ、ちょ、なにすんねん」
頷いた途端、後ろを振り向いて侑を呼ぼうとした治を力一杯引っ張った。
ここで呼ばれては何もかもが無に帰る。
侑がいたんじゃ話にならないし、なにより面倒くさい。
「今年は侑とは同じもん買うてないから別々で渡したいんや」
値段に差があるから侑と同じとこで渡したら絶対うるさくなるのが目に見えている。
それに告白くらい侑のいないところでしたい。
「…ツムに先帰るわって言うてくる」
案の定体育館の中から侑の「なんで同じ家に帰んのに別々なんや!」という叫び声が聞こえ、本日の主役は侑もなのにごめんと心の中で三回くらい謝った。
けれど、体育館から出てきた治の後ろには怒りの形相でついてくる侑が見えた。
あ、これ二人で帰れへんやつや。
天を仰いだけれど、走ってくる侑を撒くしか二人きりになれないのは明確で。
→それでも撒く
→諦めて3人で帰る
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