飽くなき探究心のスピネル

「ナマエさん、お疲れさまです」
「あ、スピネルさん! 今日も遅くまでお疲れさまです」

研究棟へ続く廊下でわたしに後ろから声をかけたのはスピネルさんだった。

「遅くまで残っているのはあなたも同じでしょう」
「週末なので休み前に片づけておきたくて。でももう終わりました。そちらはそろそろ帰れそうなんですか?」
「あいにく、まだ仕事が残っていまして……」

エクシード社には研究室の事務職として入社して早数年。帳票入力や備品の発注など、いわゆる普通の事務職と変わらない点もあるのだが、職場が職場なだけに研究職の方に無理難題を押しつけられることも多少ある。専門的なことはわからないなりに調べたり質問したりしてなんとか毎日を過ごしている。でも、やりがいのある仕事だし、幸運なことに上司や同僚たちはみんないいひとたちばかり。

「わたし、手伝いますよ。簡単なことならわたしもできますし、スピネルさんはご自身でできることを進めてもらったら」
「いいんですか?」
「いつもお世話になっていますから」

数ヶ月前に知り合ったスピネルさんもそうだ。最初に見かけたときは研究棟の廊下でなにかを探しているようだったから、てっきり落とし物をしたとか、建物内は広いから迷子になっているのではと思って声をかけたけれど、“大人に迷子とは言わないものですよ”なんて窘められてしまったのだった。名前もわからない初対面のひとに対して指摘できるなんて、肝が据わっている。わたしなら思ってもストレートには言えないから羨ましい。

「ナマエさんには頭が上がりません。……私が今日も辞めずにいられるのはあなたのおかげですね」
「もう、またそんなこと言って! スピネルさんがいつも遅くまで残っているの知ってますから。あんまり無理だけはしないようにしてくださいね」

隣り合って、スピネルさんの研究室へ向かう。何度も入ったことのある彼の研究室では、聞いたところによると特別なものを深く調べているらしい。社内でも極秘事項とのことで、スピネルさんがそれを研究していることを知っているのは彼とわたしのただ二人だけ。わたしなんかが知ってしまっていいのだろうかと悩みを口に出したけれど、耳元で“私たちだけの秘密ですよ”なんて囁かれてからは彼を見かけるたび胸が締めつけられるようになった。

「今日は特別、ナマエさんに手伝ってほしいことがありまして」
「難しいことじゃなければ、なんでもやりますよ」

研究室へ続く自動ドアが機械的な音を立てて開く。モニターがいくつも並び、ブルーライトが眩しくも薄暗い部屋。いつもわたしがここで事務仕事を手伝っている。いつのまにわたしが座るためのオフィスチェアと、簡易ベッドまで用意されていて、彼の中にわたしの居場所ができたみたいで嬉しい反面、帰らずにここで寝泊まりしているのだろうかと心配な気持ちもある。

「こちらを見ていただけますか」

スピネルさんは部屋に入ってすぐ、なにやら奥のほうに仕舞い込んでいたものを持ち出してきた。埃は被っていないものの新品同様に見えるその箱は長方形で、パッケージには“あなたを癒す快適な振動”、“手軽にマッサージ”と書いてある。ご丁寧に中身の写真が見えるようになっており、スピネルさんは早々にそれを取り出した。

「それは……マッサージ機? ですか……?」
「……てっきりナマエさんほどの聡明な方ならご存知かと思いましたが」
「あいにく知識不足で……すみません」
「では実際に体験したほうが良さそうですね」
「体験?」

それはスピネルさんの話によると、いわゆる電マだった。知らないほど無知ではない。しかし、経験豊富なわけでもない。耳だけが年増で、ひとりで慰めるときだってある。実際に見たことはなかった。だから、ちょっと気になっていたスピネルさんに誘われてわたしは期待していたのだ。もしかして目の前のそれで、あんなことやこんなことをされちゃうかもしれない、と。

「あの、体験って……」
「何も知らないナマエさんに私が自ら手ほどきしましょう、という話なのですが」
「いや、手ほどきって言っても、それって……それにわたしたち、そういう関係では……」

ひとまずは、やんわりと関係性を否定しておく。スピネルさんのことは仕事には集中して取り組むのにプライベートに関しては一切話してくれない真面目なところがちょっといいな、とは思っていたけれど、まさか目の前の玩具を使おうとするなんて。しかも、職場で。

「……何か勘違いしていますね」
「勘違い?」
「私はこれを研究材料として見ています」
「ええっと……その、すみません、意図が……」

マッサージ機のパッケージを開けた彼はわたしの前で激しく振動するそれを見せてから、脱がされる暇もなく拒否の言葉すら言えず、簡易ベッドへ転がされた。スピネルさんって細身なのに意外と力あるんだなあ。って、今はそういうことじゃなくて!

「ほら、教えてください。これがどういった玩具なのか。これが今からあなたをどうするのか」
「ま、待ってください! 言います! 言いますから振動止めてください!」
「仕方ないですねえ」

もう言葉責めが始まっていたのかと疑うほどだった。まだ研究材料に関することを聞いていない。スピネルさんはわたしに跨ったまま渋々スイッチをオフにして、わたしの両脚のあいだに自身の膝を割り込ませた。近くで見ると、これまで華奢だと思っていた身体はわたしを覆い隠すくらいには異性を感じさせる。

「これにはラクリウムが使われている可能性がありまして」

振動を止めたあと、スピネルさんは真剣な表情でわたしを見つめた。いつも画面へ向かって仕事しているときの顔だ。わたしは初めて間近で見るその表情に目が離せなくなった。

「ラクリウムが……?」
「ナマエさんのご想像どおり、これは電動マッサージ機です。本来の使用目的とは異なる使い方をする場合もありますね。……ナマエさんはそれを想像しましたね?」
「……はい……」
「本来の使用目的で使うならわざわざ忙しいあなたのことを呼びつけません。困ったことに、男性には効果を発揮しないようでして。……ここまで言えば、私の言いたいことを理解できますね?」

スピネルさんは使ってみたんだ、それを。でも彼の思った結果にならなかったのだろう。

「私の調べによると、どうやら女性器から分泌される体液が必要なようです。ご協力お願いしますね」

本当だろうかと一瞬でも疑ってしまったけれど、スピネルさんは優秀な研究員である。わたしみたいな素人がとやかく言うよりも確かな情報を持っているはず。きっとどこかの誰かが書いた論文にでも載っていたか、もしくは自身の考察によるものか。

「ナマエさんに無理を要求しているのは承知の上なのですが、こんなこと他の誰にも頼めなくてですね……。嫌ですよね、私に体を許すなんて」
「こちらこそすみません! その、勝手に想像しちゃっただけなので、大丈夫です」
「そうですか?」
「多少痛くても平気ですから。嫌だと言ってもやめなくていいですからね。だって研究の一環ですし」

言い訳がましく言葉を並べたてていると、スピネルさんは安堵したように口角を上げた。ゆっくりと上がる唇の端が耽美で、そこから紡がれる彼の言葉を待っていた。

「では、早速始めましょう」

緩慢な動きで衣服を一枚、インナーを一枚、取り去られていく。いよいよ上下セットの下着姿を晒したあとは、スピネルさんが一度スイッチを切ったマッサージ機に手をかけて、再び振動させた。まずは弱から始めますね、なんて囁かれたけれど、使ったことがないそれの威力にわたしはただ緊張していた。

「ほら、足を開いて。そうです、上手じゃないですか」

言われるがまま大腿をゆっくりと開き、そのまま下着をスピネルさんの眼前に晒した。そっと触れるくらいの距離まで電動のそれを近づけると、ショーツの上からわたしの割れ目を緩慢に撫でていく。無機質な玩具が下着を滑って、たまにいいところに当たるのがもどかしい。

「んっ……」
「ここ、ですか?」

じっとりと湿気を含んだ視線に、息ができなくなりそう。普段の仕事ぶりとは違った熱のこもった視線に、勘違いしてしまいそうだ。違う。スピネルさんは、研究のためにしているのだから。

どうしよう。はやく。はやく気持ちよくしてほしい。醜い劣情がわたしの腰を揺らす。それなのに、長い指もえっちな玩具も欲しいところには触れてくれない。

「そんなに欲しいんですか」
「えっ、あ……」

もしかしてわたしの感情が顔に出ていた? スピネルさんはいまだ隠された突起を無機質越しに捉えて、下着の上から擦り上げた。

「あ、あっ!」
「ここでしたか。すみませんねえ、すぐによくなりますから我慢してください」
「あっ、ぅ、ん、あぁっ!」

いきなり強く押し当てられたそれがわたしの陰核を刺激してくる。身体は震えるし、背中は自然と反っていく。

「んぁっ……や、あっ……!」
「濡れてきたのではないですか?」

押し当てた玩具はそのままに、スピネルさんは空いた手でわたしの下着をなぞっていく。たしかに言われたとおり、そこは先ほどよりもかなり湿度が高くなっている。

「いいですよ。その調子です」
「ぁ、う……や、やだぁ……っ」

弱いところを刺激されるたびに、あげたことのない甘い声が漏れてしまう。なにこれ。知らない。気持ちいい。どこか掴んでおかないと不安で、咄嗟にスピネルさんの白衣の裾を握った。

「や、ぁ、あっ、だめいっちゃう、ぁ、あっ」
「はい、どうぞ。存分にイってください」

まだ下着越しの刺激だというのに。声も、粘着質なわたしの体液も、溢れてくる涙も、全部我慢できない。

「う、あ、あぁあっ」

あっけなく甘い絶頂を迎えてしまった。一度達したあと、わたしは荒くなった呼吸のままで、スピネルさんは相も変わらず涼しい顔をして濡れた下着を見やって満足そうに微笑んで同じところに押し当てる。

「ぅ、あ、やだっ、とめて、おねが、っあぁあ!」
「まだイけますよね? ほら、ここはこんなにも悦んでいますよ」
「ふ、ぁ!」

充血した突起にあてがわれて、また目の前がちかちかしてくる。無機質な振動がわたしを快感に誘う。

「随分と気持ちよさそうにしますね」
「や、すぴね、あ、ぁあっ!」
「こんなときでも私の名前を呼ぶなんて健気ですねえ」
「も、むりっいっちゃう、またいくからぁ!」

先ほど達したばかりだというのに、またも痺れるような快感が全身を駆けめぐった。頭が真っ白になって、スピネルさんのことしか考えられない。でも、我慢しなきゃ。彼の研究のためなんだから。

「次はこれを挿れてみましょうか」

スピネルさんは新たに男性器を模した玩具を取り出した。それは張り出した丸い先端とそこから伸びる無機質なボディに、根元には動物のモチーフだろうか、二つの耳が付いていて、陰核を挟んで同時に刺激できるよう設計されているようだ。

「スピネルさん……それは、いやです……」
「研究の手伝いをしてくださるんですよね?」

眼鏡のレンズの奥でうっすらと目を細める。わたしは彼に魅せられて視線が外せなくなった。スピネルさんはずるい聞き方をするからわたしは断れない。わたしの体液で濡れてしまった電動のそれは横に置かれ、使いものにならなくなった下着を取り去ったあとは新たな玩具を中へ埋められた。

「っ、ちょっと、くるしいです……」
「でもすぐに飲み込んでしまいましたねえ」

わたしの入り口にあてがった時間はほんの少しだけで、それからはすんなりと中へ進まれる。すっかり潤んだわたしの粘膜は、無機質相手にもやわらかく絡みつく。

「っあ、やだ、あ、あ、へんなとこあたってる、やだっ」
「変なところ? おかしいですねえ、反応と言動が一致していませんよ」

たしかにスピネルさんの言うとおり、わたしの中を無遠慮に掻き回しているそれが、お腹の裏側を何度も何度も擦っているから、また目の前が明るく白くなっていく。

「う、ぁ、あっうごかしちゃだめえ!」
「すごい音ですね」

彼が中で動かすたびにぐちゅ、ぬぢゅ、とこれまで聞いたことのない水音が溢れてくる。当然それはわたしの耳にも届く。自分が淫らに乱れていることを証明しているようで、羞恥心で満たされていく。でも、不思議と嫌ではなかった。

「あ、あ゛っ!? それいや、やだ、やめて!」

内側への刺激により、ぷっくりと膨れたクリトリスが二つの耳に挟まれる。微弱な振動によって無理やり快感を与えられ、達しそうになるあまり爪先まで力が入ってしまう。

「う、ぁ、あ゛、おかし、くなっちゃ、あぁあ」
「どうぞたくさんおかしくなってください。私はあなたのその姿が見たかったんです」

すでに弱くなったそこばかりいじめられて、もうほんとにダメになりそうだった。自分でするよりも刺激が強く、目の前がちかちかする。スピネルさんはおろそかになっていた左手でブラジャーをずらして、わたしの胸の先端を撫でた。撫でて、摘んで、二つの指で擦り合わせる。

「あ、あっ、でちゃう、っ……!」

我慢できずに吹き出したそれはスピネルさんの白衣と黒のインナーを汚した。白色はわたしのせいで水分が浸透していき、黒いハイネックには染み込んだ潮が目立たないものの、じんわりと広がっていく。わたしの中からゆっくりと引き抜かれていく玩具は、あまりにも蜜でぬらぬらと濡れており、見てしまったことを後悔した。

「……おもしろい」

こちらは全然おもしろくない。何度も迫りくる快感に身を捩っては逃げられず、絶頂させられる。

かすかな衣擦れの音がして、スピネルさんが白衣を脱いでいることに気づく。そういえば白衣を脱いだ姿は初めて見る。わたしのせいで濡れてしまった眼鏡に手をかけて、デスクへ置いた。

「さすがにもう終わりですよね……?」
「いいえ、研究に終わりなんてありませんよ」
「ほんとに、これ以上は」

嫌だと言うわたしの口をスピネルさんの薄い唇が塞いだ。口腔内へ舌が荒々しく侵入されて、逃げても追われていく。吸いあげられた舌に息苦しくなって思わず顔をそむけると、彼から甘い吐息が漏れ出した。キスなんて、するように見えなかったのに。

「ふ、ぁ……」
「嫌だとは言わせませんよ」

与えられた口づけは、理性がふわふわと浮いていくような感覚だった。いつのまにか下げられたスラックスと下着から、隠されていたスピネルさんの下半身が現れる。やばい、大きい。先ほど挿れられていた玩具とは、違う。先端から滲み出る生々しさにごくりと喉を鳴らしてしまう。

「っ、ナマエさん、もっと力を抜いたほうがいいかと」

わたしの入り口を何度か擦って、すぐには挿れてくれない。焦らしているものかと思ったが、どうやらわたしの中に対して彼の質量が有り余っているらしい。少しだけ起きあがって、スピネルさんのものを上下に扱く。そしてゆっくりと彼を押し倒すと、濡れている自分の奥へ誘いこんだ。

「いいですよ、お好きに動きなさい」

辛抱できなくなったわたしが上下すると、その動きに合わせてぐちゅぐちゅと結合部から卑猥な音が聞こえる。お腹の奥まで届くスピネルさんのそれに、ひどく酔いしれ、もっと、もっと、と欲が出る。その姿を見た彼がふるふると揺れる胸を掴み、指先で頂を摘んだ。

「あぁっ、や、っあ!」
「もっと上手にできないんですか?」

何度か浮き沈みを繰り返すも、しびれを切らしたのかスピネルさんはわたしの腰を掴んで下から突き上げた。だんだんと高ぶる劣情に、ひたすら耐える。

「ぁ、だめ、いま、わたしが動いてるのに……! っあ!」
「下手くそですね、まったく……こうやるんですよ」
「あ、あ゛ぁっや、ぁ、あ、あぁっ」

スピネルさんに官能をくすぐられ、歯止めの効かなくなったわたしの理性はいつのまにかバラバラになってしまった。彼はどこまでわたしを追い込めば気が済むのか。わたしは何度も甘く達してしまい、もはや限界を迎えていた。

「いく、いっちゃう、あ、待って、とまって……っ!」

激しく揺さぶられては奥に押し込まれていく。熱を帯びるタイミングも、どことなく湿気を含んだこの空気も、全部スピネルさんに委ねたいと思うほど押し寄せる快感に腰が揺れてしまう。でも、主体となって動いているのはあくまでも彼だ。

「私を止まれなくしたのは他の誰でもない、あなたのせいですよ」

充分にほぐされてやわらかくなってしまったナカを荒らすように抜き差しを繰り返された。こっちまで器用な人なんだなと思った。まるで、わたしの悦ぶことはなんでも知っているみたい。

「ひぃ、ん、ぁ、イく、いっちゃうぅ……!」
「先にイってはダメですよ」
「あっ、だめ、いくっ、もう、ん、ぁあぁっ!」
「ダメだと言ったはずですが」

お腹の裏側を抉られてはすぐに達してしまい、自分が自分じゃなくなってしまいそうな感覚。彼を求めてじんわりと苦しくて、でも濡れて満たされている。

「っはあ、はぁ……ごめ、なさ……っ」

呼吸が整わないまま、繋がっていた下半身を一度抜かれたあと、身体をひっくり返されて四つん這いにされる。そうしてまもなく再び奥まで一気に貫かれる。

「っああぁ!」

彼の目の前に晒されたわたしの尻はスピネルさんの平手で打たれた。きゅうきゅうと締めつけるしかなくなったわたしのナカは、彼を離さない。

「やだっ、おしり、やぁっ……!」
「どう見ても気持ちよさそうに見えますねえ」

もはやぐずぐずになってしまった下半身と、重力に逆らえないわたしの双丘が、彼に「もっと」とねだっている。深い快感がじわじわと迫ってくる。握りしめたシーツをゆっくりと解かれ、わたしの手はスピネルさんの大きなそれに絡められた。汗で湿ったお互いの手。ぽたりと背中に落ちたのは彼の汗だろうか。

「ナマエ」

やさしく名前を呼ばれると同時に、後ろから熱いものがゆっくりと出入りする。おへその下あたりがどうにも熱っぽい。後ろからスピネルさんのものを飲み込んでいる様子は、彼しか知り得ない。わたしの腰を掴んでいる両手に力が入る。

「また締まりました」

溜息と共に吐き出された言葉は、独り言のようにも聞こえた。またシーツを握りしめて耐える。

「あ、あぁっ……そこばっか……あっ!」

スピネルさんの動きに合わせて太ももが震えている。喘ぎながら、なんとか息を継いでいる状態のまま、彼は動きを止めない。

「ナマエ……」
「やっ、……あっ、ぁあ……!」

いつのまにか呼び捨てにされているなあ、と思ったら中を激しく擦られる。抉るような動きについていけず、目の前が白くなっていく。だんだん薄れていく意識のうち、スピネルさんがわたしの中で達したことだけははっきりと記憶に残っている。

「また研究のお手伝い、してくれますよね?」
「……はい」

わたしはもうスピネルさんから逃げられないでいる。身も心も。ラクリウムに関する研究が終わっても、わたしはスピネルさんの研究室へ通い詰めることとなる。