もう元には戻れない!催眠セックスに深入りする話

エクスプローラーズにナマエが入ってきたのは数ヶ月前のことだった。

初めは取り立てて騒ぐほどの人材ではないだろうと懐疑的だった。しかし、彼女が組織内でみるみるうちに評価を上げていくことに興味を持った。根は真面目で、遠慮がちではあるが業務上必要な主張は怠らない。そもそも寝食も忘れるほどに働くなど、誰かが指摘しなければいけないほどの愚直さなんてアメジオの性格といい勝負をしている。

スピネルはナマエが自分自身へ近づこうとしていることに気づいていた。しかし、女がモチベーション高く従順に任務をこなし、愛想もよい姿を見るたびに悪い気はしなかった。ナマエをそばに置かせたのは、わざとだった。

だから少し遊んでやろうと思い立った。彼女のことは仕事ができる暇つぶし要員としては最適だったし、何より“使える”と思ったのだった。

「お呼びですか? スピネル様」

スピネルの執務室へ招かれたは任務後のナマエだった。今朝ほど見かけた姿よりは少しばかり髪型が崩れており、幾分か疲労感を背負っているように見える。しかし、それを表には決して出そうとせず、愛嬌を貼り付けた表情をふりまく。

「今日もご苦労様でした。……お願いしていたラクリウムの研究はどうですか」
「はい、報告書としてはまだなのですが……」

ナマエにしかできない、と前置きして頼んでいたラクリウムの調査。自分が外出しているあいだに他の誰の目にも触れないよう、ナマエには目を光らせておくよう言い聞かせてある。これは二人だけで極秘に調べている、他の誰にもできない研究だと伝えてあるため、察しのいい彼女はなんとなく勘づいているはずだ。

「今はこの鉱石の成分を調べているところです。早ければ明日にでも報告書をお送りできるかと」
「ありがとうございます。相変わらずナマエの仕事は早くて助かります」
「……いえ、スピネル様のご指導のおかげです」
「また謙遜を。そんな調子では休まる暇もないでしょう」
「否定はできません……」
「正直ですねえ」

調査のこと以外は特に生産性のない会話だったが、ナマエはひとつも帰りたそうな仕草を見せずにいた。そしてまもなく室内に一匹のポケモンがあらわれたかと思えば、監視から戻ってきたオーベムだった。

「このオーベム、スピネル様の手持ちだったんですね。懐かしいです」

聞けば、どうやら彼女がガラルへ訪れたときに進化前であるリグレーを含めてキャンプをしたことがあると嬉しげに語った。そしてスピネルが触れたところをなぞるように、ナマエもオーベムに触れる。記憶操作をするとも言われているポケモンで、恐怖心からオーベムに触れることすらできない者もいるなか、彼女はまったく臆さずに三色の指部分をまるで握手するかのように触れ合っている。

「もしかするとわたしとスピネル様はガラルでお会いしていたかもしれませんね」
「この組織にいる以上、そんな叙情的な邂逅はありませんよ」
「それはそうかもしれませんけど……」

どうもオーベムのことが気になるようで、たびたび彼女は執務室へ足を運ぶようになる。決まって業務の終わりがけにスピネルへ報告に来ていたが、それ以外でも彼のもとへ顔を出していた。彼女の媚びているような素振りもなかったため、スピネルは悪い気がしなかった。

「オーベムって記憶を操作することもあるんですって」
「図鑑にはそのように載っていますね」
「あなたもそうなの?」
「聞いても答えてくれないでしょう」
「答えは返ってこないかもしれませんけど、わたしの意図は汲んでくれていると思います。だってスピネル様の手持ちですから」

しかし、そんな中スピネルは探っていた。オーベムの催眠がどれほど効くのか。リコという少女の記憶操作をするには容易かったが、それの効果時間や手順は相手の体質によっても変わるだろう。ここは彼女自身に実験台になってもらえばいい。問題はどのタイミングで催眠をかけるか、だった。




────



翌日、ナマエはスピネルの執務室を訪れた。宣言どおりに報告書を仕上げたナマエは、今後の指示を仰ごうと上官に直接持参したのだった。

「スピネル様、ラクリウムの報告書に関してこちらに目を通していただけますか」

数枚の書類をスピネルに手渡す。それを一枚、また一枚と彼の細い指先で捲られる。スピネルの視線が文字を追っていく。そのたびに濡れた花海棠のような淡い赤の瞳が揺れる。

「ナマエ、今日は帰って休みなさい」
「え、な、なんで……まだ仕事が残って……」
「あなたにしては誤字脱字が多い。こんなミス、普段はしないはずですが」

ナマエが押し黙る。彼女の無言の思いをはかることはできないが、これは自分の考えを試してみるのにちょうどいい。

「体調が思わしくないのでは? あなたらしくもない些細なミスを見つけてもしや、と思いましたが……」

スピネルは企んでいた。ナマエをうまくこちらのペースへ乗せることができれば、体調不良を理由として休ませることができる。そして彼女がひとりになったタイミングでオーベムの催眠をかければいい。その後は自らの言動でナマエのことを身も心も操ることができるだろうという自信があった。

「帰りますよ」
「え、スピネル様もまさか一緒に……」
「途中で倒れられても困りますから。……ほら、オーベムを心配させないでください」
「オーベム……ありがとう」

スピネルを信用しきっているのか、ナマエは言われたとおり帰り支度を始めた。タクシーを呼びましょうか、とスピネルが訊ねるも、近くだから大丈夫だと言う。それならば、手っ取り早く密室になれる場所がある。スピネルは愛車を思い浮かべてから、ナマエの腕を引っ張った。

「あの、スピネル様、どこへ……?」
「助手席でいいですか? 後部座席はあいにく機材を積んでいるので」
「えっ、送ってくださるんですか?」

助手席側のドアを開けて、シートへ座るよう促す。隣には誰も乗せたことのない車。スピネルはまさか初めて乗せる女が実験台のそれとは予想だにしなかった。

車内は密室、日が沈んで辺りは暗がり。人気もない。いい頃合いだ。車を彼女の自宅近くに停めたあと、こっそりとオーベムをボールから出した。肩を貸しますと言いながらナマエの部屋へ向かう。玄関先でスリッパに履きかえようと彼女が振り返ったタイミングで、オーベムから発する三色の光を見せた。すると、次の瞬間からナマエはうっとりとスピネルを見つめたかと思えば、恥ずかしそうに目を逸らした。

「ん……」
「大丈夫ですか?」
「あ、スピネル様……平気です、すみませんこんなところをお見せして……」
「どうぞ、捕まって」
「ん、ぁ、はい……」

定まらない視線とふらつく足元を見れば、どうやら少しは効いているようだった。しかし、この調子ではいつ解けるかわからない。さっさと済ませてしまおう。

「横になったほうが楽でしょう」
「そう、ですね……」

二人して寝室へ向かい、もう体温が逃げてしまったベッドへ先に彼女が横になった。スピネルが足をかけるとスプリングの音が鳴って、二人分の体重がかかっていることを物語る。

もともとスピネルのことを否定しない彼女だったが、催眠にかけられているとより従順になった気がする。何を言っても肯定する。それならば。

「随分と体が火照っていますね。服を脱いだほうがいいのでは? ……手伝いましょうか」
「はい、お願いします……」

スピネルが試しに訊ねてみると、ナマエは体を起こしてからぼんやりと視線を絡ませてそのままスピネルへ身を委ねる。背後にいる一人の男に肩を預けて、自分は衣服を脱ぐことに集中しているらしい。

「……今からどうしたいですか? ナマエの言うとおりにしますよ」
「もう……いじわる言わないでください」

ナマエは潤んだ眼差しでスピネルを振り返ると、彼の服の裾を掴んだ。そして、裾から移動した指先はスピネルの手のひらを握る。弱々しくも、離さないと言わんばかりに握られた手はスピネルの予想外だった。

「おねがい……触ってください」

驚いた。効果がここまでとは。スピネルの都合がいいようにかけられたはずの催眠は、ナマエからの隠された好意と劣情でうまく記憶が操作されている。

「いいですよ」

二つの膨らみがまだ下着で隠されている。そのあいだをスピネルの細い指が焦らすように往復する。

「スピネル様……あの、そこより、もっとこちらを……」

胸の膨らみへ手を誘導して、そのままカップの中へ。スピネルの指先で胸の頂付近を撫で回させる。

「あ、んっ……」
「知りませんでしたよ……ナマエがこんなに淫乱だなんて」
「だって、もう我慢できなくて……!」

スピネルが手持ち無沙汰なもう片方の手で背中のホックを外せば、やわらかな双丘が解放される。指の腹でまだやわらかな突起を擦っていくうちに、ナマエの呼吸がだんだんと甘くなっていく。

「あ、あっ、そこ……っ」

摘まんで、引っ掻いて、芯をほぐすようにこりこりと押しつぶす。すっかり硬くなった頂点がおねだりするようにスピネルの指を繋ぎ止める。

「スピネル様のこと、ずっとお慕いしていたから……わたしに触れてくださって、今とても……とても嬉しいんです……!」

彼女の好意には気づいていないふりをしていた。だってくだらなかったから。一人の女に翻弄されて気持ちを動かされるなど。スピネルは目の前の女に懇願されて揺れ動いている自分の心さえ、嘲笑したかった。

「あなたは本当に……」
「あぁっ!」

苛立ちを彼女へぶつけると、それすら快感に変わったようだった。両の突起を抓っても、存外甘く啼くではないか。多少の痛みはナマエに効かないらしい。

「あっ、すぴね、さまっ」
「そんな甘ったるい声で私の名を呼ばないでください」

恐怖ではない。ナマエが彼に感じているのは興味だった。淡い二色の瞳に魅せられたせいで、このひとのことをもっと知りたいという、ただの好奇心。それがまさかオーベムの催眠でここまで引き出されたなんて。

「まあ、今日は特別ですので許しましょうか」
「あ、ぁっ、うれし、……っあ!」

ナマエをシーツの上に転がすと、じっとスピネルのほうを見つめるのでどうにか平静を装った。浮かれてはいけない。視線が交わらないために彼女の左の頂を口に含んで、薄い舌で転がした。まるで円を描くようにくるくると周りを舐めたと思えば、突起を甘噛みすると恍惚を含んだため息が吐かれた。空いたもう片方をいじることも忘れず、指の腹で擦ったり、二本の指で挟んで芯をほぐしたり、ナマエにとってはとにかく刺激が多い。

「あっ、ゃ、やだ……っ」
「やめてほしくないくせによく言いますよ」
「んぁ……っ、や、あっ」

口の中で転がしたあとは、わざとらしく水音を立ててナマエの欲を煽った。静まった部屋には彼女のそれを舐める音しか聞こえない。時折聞こえる水音にナマエは羞恥と快楽を感じ、これからの自身に襲いかかる行為へ対して期待に太ももを擦り合わせた。すると、それに気づいたスピネルはすかさず右手をナマエの下半身へ持っていき、ほぼ穿いている意味をなさないショーツの上から割れ目をなぞった。スピネルの指先はいまだ隠された突起を捉えて、上から擦り上げた。

「やっ、あ、ぁあっ」
「これは……随分と濡れていますね」

スピネルによって手際よく取り去られたショーツがベッドの端へ寄せられる。まもなく蜜壺に指を挿し入れたスピネルが、無遠慮にナマエの中を掻きまわした。すると、湿度の高い音がナマエの耳に届く。垂れてきた愛液を指に絡めて、その指でまた陰核を押し潰す。粘液を擦り付けるように触られたナマエに痺れるような快感が走った。

「ごめ、ごめんなさい、あっ、や、あぁっ」
「なぜ謝るのですか? 悪いことなんて私以上にしていないでしょうに」
「だってぇスピネルさまは、あっ、こんなはしたない女は、きらい、かと思って、あっ」
「……言ったでしょう。今日は特別だと」

スピネルは熱っぽい視線をナマエにやってから、自身の衣服をすべて脱ぎ捨てた。すでに勃ち上がっている彼の下半身は、今まで見た中でもはるかに獰猛に見える。

「やめてと言ってもいいんですよ」
「え、あ、ぁ、あぁっ!」

左右に開かれた脚の間に入り込んだ彼自身が、まだほとんど慣らされていないナカへ押し進める。奥へ、そのまた奥へ。

「そのほうが興奮しますから」
「あっ、ああ……!」

ナマエが落ち着いて呼吸をしようにも、いきなりお腹の裏側を抉られている。充血したスピネルのそれは確実にナマエの弱いところを攻めていく。

「んぁ、ひ……っ、や……そこ、あんまりっ、あっ!」
「思ったより深くかかって驚きましたよ」
「あ、なんの、はなしですか、あぁっ」
「いえ、こちらの話です。あなたのその反応を見ると、まだ研究の余地はありそうですね」

スピネルを求めるもじんわりと苦しい。しかし、充分に濡れて満たされたそこは離さまいと締めつけを強くする。それに気を良くしたスピネルがナマエの中を穿って、よがらせて、絶頂の端を味わう。

「いやっはげし、あ、あぁっ」
「……いいんですか、これ以上進めば壊れてしまうかもしれませんよ」
「いいです、おねがい、わたしっスピネル様になら何されても……」

彼女の言葉が引き金となり、スピネルは再びナマエの奥を目がけて何度も何度も責め立てた。今度こそ自分が絶頂するための腰の動きだったが、ついでに彼女のいいところに当たってしまい、またびくびくと身体を震わせて蕩けさせる。ナマエのつま先がピンと伸びきって、どうにかして絶頂を逃がそうと必死であるが、その瞬間にふと気を失ってしまった。

「こんな女に必死になって……馬鹿馬鹿しい」

スピネルが吐精の余韻を感じながら滾りをゆっくりと引き抜くと、彼女の膣口から白濁が溢れ出た。こんなに余韻が気持ちいいのは久しぶりかもしれない。でも。

「起きたらまだ付き合ってもらいますからね」

スピネルは、快感のせいで涙に濡れたナマエの睫毛を指先で拭う。いつまで催眠の効果が持続するのか、それも含めて確かめないといけない。そう思いながら事後処理をして一糸纏わぬ彼女の隣で眠りについた。


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ナマエが目を覚ましたときには、すでにカーテンの隙間から朝の日差しが覗いていた。伏せた睫毛がうっすらと影になるくらいには晴れているらしい。今寝ているのは自分の部屋だというのに、今までの自分の部屋ではないような感覚があった。自分のものとは違う匂い。それもそのはず、隣にいるのは。

「ん……あれ、スピネル様……? わたし……」
「おはようございます。よく眠れたようで」
「え、あ、うそ……!? すみませんっやだ、いつのまにわたし寝ちゃってたんですか……!?」

せっかく寝起きでまどろんでいたというのに、ナマエは慌てて飛び起きた。ナマエは隣で横になるスピネルを見て、頭の中で昨晩の記憶を辿っていた。いつから寝てしまっていたのだろう。それに、なぜ二人揃ってベッドに入っているのだろう。

「その感じだとまったく覚えていないようですね」
「もしかして失礼なことを……?」

スピネルは無防備な彼女の寝顔と起きがけの今の表情を見比べて、透きとおって消えそうな顔も悪くない、むしろ好き勝手できて好都合だと内心でうっすらと笑った。

「いえ、疲労が溜まっていたみたいですよ。普段のあなたではしないようなことを何度も請うので驚きましたが……あんな姿を見るのは初めてだったのでしっかりと記憶しておきました」
「えっ、わたしなにやらかしたんですか!?」

スピネルはすべてを話さなかった。そのほうが今後、都合がいいと思ったから。ただ、都合のよさだけでナマエに隠し立てしたわけではない。ほんの少しだけ、ナマエが不意をつかれたように慌てたり、不安がる様子に興味深く惹かれるものがあったことも理由のひとつだった。しかし、それにはスピネル自身も気づいてはいなかった。

「教えてほしければこれからも私に尽くすことですね」

そして数日後に催眠がとかれてもナマエの感情は変わらず、スピネルを非常に困惑させた。