「おかえりなさい」
リビングに入ると、ナマエさんの声が飛んできた。醤油と出汁のいい香りがする。そして、妻のエプロン姿は仕事終わりの自分の目には相変わらず眩しい。シンプルな色合いながら、彼女に似合うエプロンは、「撥水加工されてるんですよ〜」と教えてくれたもの。以前、触ってみてくださいと言われたときは、エプロンのことだとは分かっていたが無邪気な桃色をしていた肌も触ってしまった。
過去のことを思い出していると、ナマエさんにジャケットの裾を引っ張られた。
「アオキさん、またボーッとしてる」
「……すみません」
「先にお風呂入りますか? ごはんもすぐできますけど」
疲れているならと自分のことを労ってくれる。優しい彼女だ。ナマエさんを目の前にすると、どうも調子が狂う。腹が減っているのは確かだが、もう難しいことは思考できない頭になっている。ナマエさんを、どうにかしたい欲情しかない。
彼女と付き合う以前はこんなに性欲に素直な性格ではなかった。彼女を目の前にすると、どうしても平凡な自分がいなくなる。ざわざわと奥底から嫌な自分が出てきて、気付いたときにはナマエさんを抱きしめていた。こうなったら止まらないのは、自分がよくよく知っている。矢継ぎ早に口づけをすると、彼女のやわらかな唇の感触に思わず舌を追いかけてしまう。
「ぁ、アオキさ……」
呼吸もままならない様子だが、もう一度唇を重ねた。絡みあった舌が濡れた音を出している。
どうにか彼女の服を脱がせて、次はエプロンの紐をほどくだけである。どうやら下着は自分が帰ってくる前にすでに外していたらしく、彼女をいわゆる裸エプロンの状態にしてしまった。
「アオキさんのえっち……」
「かわいいですよ、ナマエさん」
エプロンの上から胸の膨らみを撫で、肉感に指を埋めて楽しんでいると、ナマエさんがぐりぐりと頭を押しつけてきた。
「焦らさないでください」
「決して焦らしているつもりはないのですが。ナマエさんの感触を味わっているだけなので」
「アオキさん、だんだん変態じみてきてませんか……?」
「気のせいです」
いや、気のせいではない。二つの膨らみの頂点を、薄手のエプロンの上から擦る。まずは人差し指でゆっくりと撫ぜる。そして二本の指で摘み、擦り合わせる。だんだんと息が上がるナマエさんの悩ましい姿に、情欲がそそられる。
「あっ、アオキさんっ、ぁ、きもちい、です」
「相変わらず感じやすいですね」
「アオキさんがぁ、そこばっか触るからです〜…」
ナマエさんの乳首が弱いのはもう知っている。触るだけでは物足りないことも、すでに下はぐしょぐしょに濡れているだろうことも、自分はもう知っているのだ。十分に熟れた乳首はエプロンの上からでもはっきりと分かり、それを見てすぐさま食べたくなった。唇で喰むように片方を舐める。
「あぁ、ぁ、だめっ……」
「イイの間違いでしょう」
延々と整わない息をしながら、自分の所作で乱れていく彼女を、愛おしく思う。空いたもう片方の乳首が寂しげであった為、指先で転がすと、よりぷっくりと先っぽが主張してきた。
……困る。
妻がエロすぎて困る。
付き合った当初、ナマエさんはセックスのとき照れに照れて行為どころではなかったのだが、いつのまにかボーダーラインを超えていたようでこんなにもすけべになってしまった。かくいう自分はもう枯れているのかと考えていたが、ナマエさんを見るたびに激しい情欲が迫り、それを受け入れてくれる彼女がいる。そのうち搾り取られてしまうのではないか。何から何まで。
そんな感情はひとまず押し込めて、ナマエさんの性器にできるだけ優しく触れた。下着はまだ穿いているものの、それの意味をなさないくらいにはしっとりと濡れている。潤んでいるのは彼女の瞳も同じで、こちらを見る目がやたらと色っぽい。
「すごいですね。これはすぐにでも挿れられる」
「あっ、アオキさん……」
「……どうしてほしいんですか?」
「も、もう! 今日のアオキさんいじわる!」
まだ焦らしてもよかったが、こちらの我慢が保たない。ナマエさんの足から下着を取れば、文字通り裸エプロン姿になった彼女。シンクに手をついてもらい、すでに蜜で溢れているそこに指を入れ込んだ。
「あぁ、アオキさ、んっ」
ナマエさんの気持ちいい部分を探し、そこを擦ると、きゅんきゅんと指が締め付けられた。……ここだな。ざらざらとしたナカを何度も何度も刺激していると、ナマエさんの喘ぎが激しくなっていく。
「あぁっだめ、イッちゃう、アオキさんっ……!」
ナマエさんはびくびくと白い柔肌を震わせてイッてしまった。日に日にペースが早くなっている気がする。だが、どうしようもない。もうお互いに止まらないのは分かっている。ナマエさんが息を整えているうちに、こちらの下着も脱いでしまおう。先走りで濡れた自分のものは、しっかりと勃起している。それを彼女の蜜がたっぷり眠っている入口へ宛てがい、挿入した。そして、腰を奥まで進める。
「はぁ、っあ、アオキさぁん、きもちい」
「知ってます。貴方が自分に攻められて、こんなに乱れているんですから」
自分のもので満たされたナマエさんのそこは、締め付けて離さないし、なんならキツすぎてすでに果てそうである。攻めれば攻めるほど、出し入れを繰り返すほど、彼女の蜜が溢れて気持ち良すぎる。
「好きです、アオキさ、好きっあぁっ」
「自分もナマエさんが好きで好きでたまりません」
重力に逆らえないナマエさんの胸が、腰を打ちつけるたびにゆらゆらと揺れる。エプロンの隙間からは硬くなった先っぽがちらりと見えて、逃がすまいと摘んでしまった。最奥までたどり着いたはいいが、何度も挿しているとこちらのリミットが近いことがわかる。
「すみません、もう我慢の限界です」
「え、あっ、アオキさ、ぁ」
まだシンクに手をついたナマエさんは息が上がり、ひくひくとさせているアソコが自分の白濁した液体を受け止めているのが目に入る。……また、やってしまった。
「また無理させてしまいましたね」
まだお互いに汗ばんだ身体を抱きしめると、ナマエさんが顔を赤らめてこちらへ囁く。
「アオキさん、ベッドでもう一回、したいです」
裸エプロンなんて嫌われたのではないかと少しだけ後悔したが、彼女の言葉に救われ、なんなら一回きりでは済まなかったし、ナマエさんとセックスをするたびに明日が休みだったらいいのに、と来ない休日に憂うのであった。