「アオキさん、大事なお話があります」
めったにない。ナマエさんが深刻な顔をして口を開くことなど。二人で食事を終えたあとの話だった。食器類を片付け終わり、ソファで横並びになってくつろいでいたところ、ナマエさんが大事な話とやらを持ち出した。
「わたし、ダイエットします」
「……はあ」
この人は突然何を言い出すんだ。ナマエさんが太っているとは思ったこともなければ言ったこともない。まあ、多少肉づきがいいなとは感じていたものの、痩せてほしいと言うまでもない。むしろ抱いたときにふっくらとした太ももあたりが自分のあれに当たるとき、それはそれは幸せに満ちているのでなんら問題はない。
「とめても無駄ですから! その証拠に、ほら!」
ナマエさんが取り出したのは、リングを持ってフィットなアドベンチャーをするゲームだ。はやっているというのは聞いたことがある。テレビに繋げば、自宅で気軽に運動ができると評判だ。それはそうと、いつのまに買いに行ったのか。
「着替えてくるから! 覗かないでね!」
彼女が寝室へ着替えに走った。
先の宣言通り、ナマエさんが着替えて現れた。肋骨のあたりまでカバーされた着丈のスポーティなブラ。バックスタイルは背中ががっつり空いており、そこから見える肩甲骨はヘルシーな魅力がある。ショートパンツで太ももは隠されているものの、見えなければより見たくなるというのが男の性か。
早速、とナマエさんがゲームを起動させた。画面にはさまざまなメニューが映し出されている。それらは敵キャラクターを倒すための攻撃となるらしい。プランクやスクワット、中には腕を鍛えるメニューまである。ナマエさんはリング型のコントローラを両手で持ち、画面を見ながら操作していく。
「あーっ、つらっ……」
始めてまもなく彼女が弱音を吐きはじめた。普段あまり運動をする機会のないナマエさんはすでに体力を削がれているようで、胸の谷間あたりにうっすらと汗じみが見られる。
「はぁ、もう、っ、きつい……」
顔を赤くして息が上がっている彼女を見て、思わず連想してしまう。だが、何も言うまい。ナマエさんがせっかくやりはじめたことを無碍にはしたくない。
「ふぅ、っ、あ〜っ!」
しかし自分の気持ちとは裏腹に、彼女は喘ぐ。まるで夜を思わせる声で。その場で上下運動をするたびにナマエさんの髪が揺れて、汗のせいでそれが肌に張りついている。それも相まって自分の想像がどんどんかき立てられていく。
「あっ、……んっ! くう〜〜!」
このあとファイト一発、と聞こえてきそうな言いようだ。ただ栄養ドリンクのコマーシャルにしては色気がありすぎる。次はうつぶせになった状態で、プランクをするらしい。
「んぅ、はぁ……んんっ、っあ」
見た目以上につらいようで、また彼女が苦しそうに呼吸している。少しだけずるい、と感じてしまった。彼女をこんな風にしていいのは自分だけなのに、と。
「お、おわった〜……!」
もやもやしているうちに本日分のメニューをこなしたようで、ナマエさんが敷かれたヨガマットの上にへたり込むように倒れた。まだ幾分か息は乱れており、額から汗が伝う。
「タオル持ってきます」
「あ、ありがと……」
洗面所にあるフェイスタオルを一枚、二枚取り、彼女のもとへ戻る。まだ横になっていると思っていたが、なんとか上体を起こして前屈のストレッチをしていた。片方はナマエさんへ渡し、もう一枚で彼女の汗を拭こうとした。
「えっ、いいよ! 自分で拭けるから!」
「背中拭きますよ」
そう言って思うままに彼女の上体を後ろから拭き始めた。細い首、見せられた肩甲骨、しなやかな腰のくびれ。タオル越しに彼女の肌を撫ぜる。背中の汗が見えなくなったところで、拒まれない為そのまま前も拭いてやろうと考えた。まず鎖骨あたりから、下着に包まれた二つの膨らみまで。
「あの、アオキさん」
「はい」
「それ、わたしのおっぱいなんですけど」
「知ってます」
汗を拭いてくれるはずでは。彼女が不満そうに、だが期待半分で呟いた。まだしっとりと濡れた肌に吸い寄せられるように、下着の隙間から汗を拭う。膨らみの谷間を一、二往復ほどタオルで撫でる。横から胸の下に直接手のひらを差し入れて、持ち上げた胸の下を拭っていく。タオルの出番は終了だ。手のひらとタオルがそこからすり抜ける。
触れたところ、どうやら彼女は薄手のスポーツウェア一枚しか纏っていないらしい。まだ触れてもいないのに主張している頂がそれを証明していた。少しだけ振り向いた彼女の唇に思わずかぶりついた。初めは触れるだけ、と思っていたが、彼女がちろちろと舌を出してきた為すかさず絡めとる。
「んぅ……はぁ」
随分と呼吸が整ったようだが、あいにくこれからそれを乱すために彼女を乱れさせるつもりだ。手のひらで膨らみを包みこむと、乳首の感触が下着越しでもよくわかった。ぷっくりと熟れた実をそこから解放して、乳輪をくるくると撫ぜる。期待でより膨らんだ実が今か今かと待ちわびている。あんまり焦らすのも可哀想かと思い、二本の指で摘んだ。そして擦り合わせる。
「あっ、ん、ぁ」
控えめに喘いで、自分を煽るところがなんとも可愛らしい。無意識で無自覚なのかと思っていたが、実は「アオキさんにいっぱいいじめてほしくて」としれっと言うほどには、したたかである。それに煽られて、まんまと乳首をいじめている自分も自分だが。
彼女には腰を上げるように促して、ショートパンツを脱がせた。
以前彼女と手のひらを合わせて「アオキさんの手、やっぱりわたしのより大きいですね」というやりとりをしたことがある。そのとき、じいっと自分の指を見つめていたナマエさんを忘れはしない。彼女の指より、太く長い自分の指。それで彼女の割れ目にそってなぞる。
「やわらかいですね」
それに、あたたかい。彼女の下着がこれ以上濡れてしまわないように、ついでに自分の衣服も取り去った。マットに座ったままの彼女をソファへ転がす。何も身につけていない彼女が誘うように足を広げている。ひくひくと入り口が欲しているのをいいことに、中指をぬかるみへ入れた。指を曲げると、くちゅくちゅと湿った音が鳴る。
「ぁ、んぅ、ゃ……」
しっかりと中まで埋め込まれた自分の指が、彼女の蜜にまみれている。これまでの行為で散々自分に教え込まれて敏感になっているナマエさんが、少しの刺激だけでこんなにも膣がうねる。
「あっ、そこっ、きもちい……」
指で何度も彼女のざらざらした部分を擦ると、ナマエさんの喘ぎが止まらない。膨らんだ肉芽を親指で弄べば、ぎゅうぎゅうと自分の指を締め付けて離さない。とろりとした淫靡な水がとめどなくそこから溢れている。絶頂が近いのだろう、彼女がびくびくと震え出した。
「っ、あ! まっ、まって、ぁっ、いく、いっ、いっちゃ、ゃ、あ、ぁあっ、あ〜〜〜!!!」
ちゅぷ、と蜜でたっぷりになったそこから、名残惜しいが指を抜いた。このまま拭うのは勿体ない。指についた彼女の愛液を丁寧に舐めとった。うっとりとした様子でそれを眺めるナマエさんが、「アオキさん、それすごくえっち……」と言うものだから見せつけるようにもう一度舐めた。
「素直なのはいいですが、自分の前だけにしてください」
「そんなの、わかってますって」
むくれて顔を逸らした彼女を横目に、性急に肉棒をねじこんだ。ソファの上で身を捩り、快感を逃がそうとしている。そうはさせるか。彼女曰く肉がついた、と言う腰を掴んで、蜜壺に欲を叩きつけた。
「逃げないでください」
「ひ、っあ! ん、あっ、は、ぅ、ぁあっ」
敏感になっている粘膜を何度も擦る。気持ちいい、と細い声で絞り出すように囁く彼女のナカは、自分を逃がすまいと締めつけてくる。
「ほら、ここですね」
「ぁ、あっ、あ、ん、アオキさんっ! もっとぉ……」
自分のモノが彼女の奥へ、奥へとねだる。ぐりぐりと行き止まりばかりを攻めていると、ナマエさんの目から涙が溢れてきた。きっと絶頂が近い。
「あんまり締めないでくださいよ、我慢できんので」
「だ、だってぇ! また、っ、あ、ぁあ、ん、ぁ、あ、いく、いく、っ、あぁぁ!」
息継ぎする暇もないくらい彼女が喘ぐ。自身の動きとともに揺れる胸に触れ、敏感になった頂を摘む。
「っあ! それ、や、いっちゃ、あっまた、きちゃうっ、からぁ!」
どちらのものかわからない液体が結合部で白く混ざる。ぐちゃぐちゃになったそこが随分といやらしくて、そうさせているのは自分なのだと思えば、ナマエさんがさらに愛おしく感じた。
「ナマエさんばかりズルいですよ」
「はあっ、や、アオキさんのが、きもちよくて……」
本気でズルいとは思っていないが、まだ達していない自分にも絶頂をむかえたいという意識はある。もう少しだけ彼女には気持ちよくなってもらうとするか。
「あ、あ、んっ、すご、きょう、なんか、おっきい、ぁ、はぁ、そんなに、つかれたらっまた、いくぅ、いっちゃう、ああぁっ!」
「っ、くっ……!」
ずこずこと下品な音ばかり鳴っているそのナカは収縮を繰り返している。まもなく二人して快感の波に攫われた。
「ねえ〜〜〜! このソファお気に入りだったのに〜!!」
どちらのものかわからない液体でまみれたソファを、二人してタオルで吸い取っている。まだ全裸で。水分は取れても行為の匂いは取れないだろうなあとぼんやり考えていると、彼女に頬を軽くはたかれた。
「ちょっと! 聞いてる!?」
「はい。次の休みにでも新しいの見に行きましょう」
「もうっ! 同じやつじゃないとだめだからね!」
本気で怒っているわけではなさそうだし、なんだかんだ彼女も自分に弱いことを知っている。彼女のダイエットにもしばらく付き合おう。薄手のスポーツウェアも、悪くなかった。そう思い、四つん這いになってソファを拭く彼女を見て思わず自身が大きくなった。