だがこのどこまでも青い空に彼女が吸い込まれてしまいそうな気がして、俺は柄にもなく狼狽し、彼女に向かって手を伸ばした。
「どうしたの?」
「や、なんとなくおまえに触れたくなってもうて」
そう、と彼女が目を細め、せや、と俺は彼女の小さな手を握りしめる。
(この手、離しとうないな)
そう思った瞬間、ぽろりと言葉が溢れでた。
「この手、一生繋いでおいてもええやろか?」
「え?」
「俺と結婚してくれへん?」
驚いたように俺を見上げた彼女の顔は、いつものようにかわいくて。なんとなく照れ臭くなって、天を仰いだ。
「はい」
数秒遅れて届いた返事に、「ほんま?」と返すと、よろしくお願いします、と彼女がいらえた。
「おおきに」
どこまでも続く夏の青空の下、俺は彼女に小さな手の甲に、そっと、口づけを落とした。
2021.8.8
Qさんに書かせていただいたネームレスのファットガム夢
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