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Confect Time
▼2022/04/26/02:01



「ふぅ…こんなものか?」
「さすが兄上!素晴らしきこと、この上も
 無き仕上がりに御座います」
 

 リビングのテーブルに
 整然と並べられた

 兄上の御姿を想起させる
 見目麗しき春色の和菓子たち


「これら全て初めて作られしとは…まこと
 素晴らし過ぎて、言の葉も紡げませぬ」
「ふふっ。褒め言葉は有り難く思へども、
 味の保障はしないぞ?」

「なにを仰っしゃるのですか!兄上御手製 
 なれば、必ずや美味に御座います!」
「ん…、ありがとう、縁壱」



 今日は時透のふたごを連れて
 花見の予定

 論無く兄上は
 朝から料理に励まれ

 二人より要望の有りし和菓子を
 たくさん御作りになられた…

 それはそれは嬉しそうに
 御料理なさる御様子に

 いささか…
 否、猛烈に嫉妬せしが

 あの二人は兄上の特別ゆえ
 悔しけれどもむ方無し


 然れど

 御優しき笑みを浮かべた
 端麗なる御顔や
 
 手際よく作業を進められる
 ほそりと御美しい指先を見つめていると

 言の葉にも出来ぬ幸福感に満たされ
 自然と頬が緩んでしまう



「縁壱」
「は…はいっ、兄上!」



 御優しい御声にて
 我が名を呼ばれ

 縁壱の膝の上にお乗せした
 御可愛らしい兄上から

 口移しにて菓子を食べさせて頂く
 妄想に耽っていた私は

 はっと我に返る

 
 
「その…これ、を……」
「え…縁壱も頂いて宜しいのですか?」
「ああ」



 桜の花びらとともに
 美しく飾られし小皿に乗った

 兄上の如く上品にして愛らしき
 うぐいす餅を賜る



「食べてしまうのが惜しい程、美しい…」
「ありがとう縁壱。目で食べるのはその位
 にして、実際に食べてみておくれ」
「はい、喜んで頂戴致します!」



 よもや
 時透のふたごちびたちより先に

 兄上御手製の菓子を頂けるなど…



「どう、だ?」
「はい、美味に御座います。とても!」


 ひと息に全て平らげ
 美味しさの余韻に浸っていると



「よりいち…」
「はい?」

「………」
「!!!!!!!!」

「……きな粉に砂糖…入れ忘れたゆえ」 「は…、え…ぁ、…ああああにうえぇえ!?」
「…ッ…茶を淹れてくる」



 ぱたぱたと踵を返し

 慌ててキッチンに駆け込んでゆく
 足音…


 

 口の中に
 あまくあまく残る

 兄上からの口吸いキスの味に

 強烈な眩暈がして
 倒れそう…





 あにうえ


 砂糖を入れ忘れたのは

 本気?

 それとも
 わざとに御座いますか?










********************
 時折、大胆な行動に出て
 よりいちさんをドキドキさせる

 兄上が好きです (,,>ω<,,)♡

 そんな兄上に
 メロメロなよりいちさんも

 だいすき









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