第2Q
冬玖はいつも通り冬璃と自転車に二人乗りして登校(彼女とは別の学校なので途中で降ろしたが)。自転車を駐輪場に停め、昇降口から校舎内に入ると丁度登校して来たバスケ部主将・日向順平と鉢合わせした。冬玖は本入部届けの事を思い出し彼に訊ねてみると、カントクである相田リコから貰えるとの事。クラスを教えて貰い礼を言うと少し驚いたような顔をされた。
『……あの、』
「あー、悪い。礼を言われるとは思ってなかったというか……」
『まあこの顔ですからね』
「え゙っ、いやその……すまん」
『しょっちゅうなんで平気です』
どうやら目つきの悪さと茶髪のおかげで不良と思われていたようだ。おまけに昨日の5対5で火神を足蹴にした上ラリアットまで喰らわせていたのを見られていた。少なくとも暴力的な生徒という印象が残っている事だろう。失敗した。第一印象が悲惨過ぎる…後の祭りだが。
その後日向と簡単な自己紹介をし、別れた。
***
冬玖が教室に入ると室内が一瞬静まり返る。それを歯牙にもかけず、冬玖は自分の席に着いた。またガヤガヤと自己紹介やら世間話やらで騒ぎ始めた教室だったが、誰一人冬玖に近付く人間は居なかった…否、一人いた。黒子だ。
「天川君」
『何か用か?黒子』
冬玖が入って来た直後の沈黙の後、何事もなかったかのように雑談に戻っていた周りの生徒だったが、実はその殆どは冬玖をチラチラと様子見していた。かなりの高身長なので目立つ上、外見が外見な為誰しもが彼と関わる事を敬遠しているのだ。そうやって冬玖の事を注視していたクラスメートは黒子が彼に近付いて話し掛けた事に驚きが隠せなかった。主に存在を認識出来なかったという点で。
「本入部届けって誰から貰えるか知ってますか?」
『ああ、日向先輩に訊いたらカントクに申し出ればいいんだと。クラスは2−A』
「ありがとうございます。天川君はもう?」
『いやまだ。移動教室が重なってるから昼休み辺りに行くつもりだ。一緒に行くか?』
「あ、是非」
何やら部活の話をしている様子だが、正直言って彼ら二人が同じ部活をやっている姿が想像出来ない。片や長身で悪目立ちする不良のような外見の男子、片や一度視線を外してしまえば見失いそうな文学系(見た目)の男子。前者に至っては部活に入って青春!なんていうのとは程遠いように見える。「カントク」という事は運動部なのだろうか。
クラスメートは悶々とするが、担任が来てしまったので一旦中断して各々席に着く事にした。
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