第2Q
同日昼休み。男子バスケ部カントクの相田リコは同じ男子バスケ部員と共に昼食をとっていた。主将の日向に今朝の屋上での事を色々と言われたが彼女は聞く耳持たずである。そんなカントクに部員は溜め息を吐いた。
「ったく、今年もやると思ったよ」
「今朝の騒動で俺ら屋上宣言禁止になったんだけどどーすんだ?」
「その辺はまあ…部活の時の声出しで頑張って貰うわよ」
〈全校生徒の皆さん、こんにちは。放送部です〉
各々食べ終わり雑談タイムに入ろうとした頃、放送部による校内放送が流れる。いつもはもっと早い時間…昼休みが始まってすぐに流れる筈だが今日は遅い。そう言えば放送部のクラスメートが新しい企画として今年入ったばかりの新1年生を対象としたインタビューを行うと言っていたような……
〈新たな年には新たな企画を!という訳で始まります、名付けて「Pressure on a Fresher」!!〉
「タイトル酷ぇ!!」
テンションの高い司会者によるタイトルコール。その意味に男バス部員は顔を引きつらせる。よく通ったなこのタイトルで……。そんな言葉がそこら中から聞こえて来そうだ。
〈この企画は新入生に高校での意気込みを語って貰おうというものです〉
〈今回、記念すべき最初のゲストは、なんと自ら申し出てくれました!〉
「え、そんな強者がいたの?」
一応内容はまともなのだが、こんなタイトルの企画に自分から名乗り出るなんて一体どんな物好きなのか。ただ単に目立ちたがり屋なだけかもしれないが。そんな事を思いながらゲストの出番を待つ。
〈それではお願いします!!〉
その言葉を言い終えた司会者はゲストに代わるべく移動する。そういった雑音が微妙に聴こえる中、一つの低い声がマイクに少しだけ入った。確か放送部員は全員女子。だが微かに聴こえて来た声は女子にしては低い。という事はゲストは男子生徒か。そう見当を付けた時、《あの、》と今度ははっきりとマイクに声が入った。
《すげー鬼畜なタイトルだと思うの俺だけですか?》
〈音だけで選んだからねぇ〉
《いやでも「
新入生への圧力」って……まあいいか》
「……あれ、この声…」
《あー…と。今回、最初のゲストに立候補させて貰いました、》
《1年B組2番、天川冬玖です》
***
時は少し遡る。
朝礼が終わり冬玖は教室にいた。自分の席に座って窓の外を眺めながら考える。男子バスケ部カントクである相田リコにどうやったら自分の意志が伝わるかを。屋上宣言のようなインパクトも大事だろうが、何より「後に引けない」状態まで持って行く事が第一だ。有言実行は大勢の前でやってこそ。さてどうしたものか。
頭の中で様々な計画を練っては潰し練っては潰していると、廊下が少し騒がしい事に気付いた。先輩が部活の勧誘をしている。HRまでの短い休憩時間を利用して此処までやって来るとは、そんなにも部員が足りないのだろうか。少し耳をすませてみると「此方放送部でーす!」と、女子特有の高い声が聞こえる。この部活は部員募集以外にも何か呼び掛けているようだ。
「今日から昼休みの時間に新しい企画を行います!」
「只今その企画のゲストを募集中です!」
「どなたかご参加下さる方はいませんか?」
『(放送……)これだ』
冬玖はガタリと席を立つ。そして丁度教室の前を通りかかった放送部の女子生徒3人に声をかけたのだった。
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