※クリスマス関係あるのはほとんど冒頭だけ。
しんしんと降り積もる雪、街を彩るイルミネーション、そしてあちらこちらから聞こえてくるあの定番の曲。
街はすっかりクリスマスモードであった。そして、それは基地も例外ではなかった。
わいわいと賑やかな部屋の中。放しながら酒を飲む者、もくもくと料理を口に運ぶ者、酔って取っ組み合いを始めたり、脱ぎ始めたりする者等、カオスである。
オートボット司令官、オプティマスが「クリスマスパーティーをしよう」、と言い始めたことが始まりである。
オートボットたちやNEST隊員たちも面白がって参加、とそこまではいいのだが、何を思ったのか、メガトロンも参加する、と言い出したため、ディセプティコンたちも強制参加となり、このカオス空間が出来上がったわけである。
「あれ、ユウ?」
先ほどまで一緒に酒を飲んでいた、隊員の一人であるユウが急に立ち上がったため、エップスが声をあげた。
それに答えず、そのまますたすたとユウが歩き出した先でディセプティコンたちが飲んでいるのが目に入ると、エップスは顔を真っ青にして慌てて止めようとした。
が、その手をすり抜け、まっすぐとディセプティコン、否、ショックウェーブのもとまで歩いていくと…そのまま、ひしっと抱きついた。
「ねーショッキィ〜ディセプティコンとばっか飲んでないで私とも飲もうよぉ〜」
その場の空気に緊張が走る。
さて、ショックウェーブはどう対応するのか…と、半ば身構えながら人間とオートボットたちが見守る中。
「………!?」
なんと、抱きついているユウの頭を無言で撫で始めたではないか。
部屋中をエクスクラメーションマークやらクエスチョンマークが飛び交い、ディセプティコンたちでさえもショックウェーブの方を凝視する中、ショックウェーブに撫でられているユウは、ふにゃふにゃとした笑みを浮かべ、満足そうである。
ショックウェーブの方も無表情ではあったが、纏っている雰囲気がいつもより穏やかなものだ。
「あー…もしかして、お前らってそういう関係?」
恐る恐るといった様子でレノックスが問いかけてみるが、ショックウェーブは答える気がないようだし、ユウは聞こえていないのか、ショックウェーブの胸に顔を埋めたままである。
代わりに唸り声と共にため息、もとい排気をしたメガトロンが口を開いた。
「何だ、貴様らまだ言っておらんかったのか。」
“タイミングを逃しました。”
「ショックウェーブの方はともかく、ユウは報告できただろうが。」
「忘れてまひた!」
ショックウェーブの胸から顔を上げたユウがふにゃふにゃとした顔のまま言う。
そして何がおかしかったのか、突然くすくすと笑い始めた。…完全に酔っ払いと課している。
排気を一つしたショックウェーブは、スコルポノックと一緒にお菓子を食べていたドリラーに“帰るぞ”と簡潔な通信を送ると、ユウを抱き上げようとした。
が、その時。
「…あ。」
誰かがそんな声を漏らした。
理由は簡単、ユウがショックウェーブの首に手を回し、キスをしたからである。
ブラックアウトやサウンドウェーブがドローンたちの目を塞ぎ、”ヒュウ!”なんて声を出すNEST隊員’sとオートボットたちをよそに、唇を離したユウの顔は満足気だ。
ものすごい勢いでユウを抱え上げ、部屋を出て走り去るショックウェーブの耳が人間とそっくりに茹蛸のように真っ赤になっているのを見た隊員のうちの一人が言った、「おお、お楽しみタイム突入か?ごゆっくり!」という発言で、室内にどっと笑い声が沸き立った。
なお、“クリスマスパーティー”が”ショックウェーブとユウの仲を祝う会”に変わったのは二人のあずかり知らぬところである。
(なあドリラー、ショックウェーブってユウと一緒の時はどんな感じなんだ?)
(ますたー、ユウにめろめろ!)
(”ショッキィ”って…。)
(ユウだけゆるしてもらってるよびかた!)
(オォウ…。)