※女の子の日のネタです。苦手な人はご注意を。
秋も深まり、しんしんと寒さが身に染み入るようになった時期。
メガトロンはヒューマノイドモードになって書類を片付けていた。内容のほとんどが自軍の愚か者たちがやらかした後始末であることにため息をつき、黙々とペンを走らせて行く。
と、そこで控えめなノックの音がした。
「失礼します。レノックス少佐からの書類を届けに参りました。」
同時に聞こえたのはつい最近恋人と云われる関係になったユウの声。
入室を許可すると静かにユウはメガトロンの執務室へ入った。
目を落としていた書類から顔を上げるとメガトロンははた、と動きを止めた。
僅かにだが、オイルのにおいを嗅覚センサーが察知したのだ。それも、目の前にいるユウから。
スキャンをすれば下腹部が常時よりすこし温度が上がっている。
もしや、内部パーツになにか損傷があるのではないか。
見つめられている当のユウは何か?とでも言うように首をかしげている。
こころなしか顔色もいつもより悪いような気がした。
「メガトロン、どうかしましたか?」
というユウの声を最後まで聞かずにいすから立ち上がると、ずいとユウに詰め寄った。
オイルのにおいが少し濃くなった。
「あの、メガ…」
「なぜさっさとリペアルームへ行かない?」
「………へ?」
ぽかんとした表情をするユウ。
対してメガトロンのブレインサーキットではかつての戦場で己が振るった力で血まみれになっているユウの姿がありありと再現されていた。
オートボットの司令官にとどめを刺そうとしたところに割り込み、吹き飛ばされ破片ともみくちゃになったせいで大怪我を追ったのだが、その光景を見たメガトロンはらしくもなくスパークが冷える感覚を味わったのだった。
今でもそのメモリーを見るとメガトロンのスパークはぎりぎりと締め付けられるような苦しさを訴える。
ぎゅっと口を引き結び、無言でユウを抱き上げるとリペアルームへ向かおうとするメガトロン。
己の優秀なブレインサーキットはここから一番近いリペアルームへの最短距離を即座に割り出す。
一番近いリペアルームであるラチェットのラボに行こうと歩き出すとぺちぺちと胸元をたたかれた。
「何だ。」
「あの、メガトロン、私は怪我などしていません。」
気まずげに目線を揺らしながら言うユウに一度足を止めた。
「オイルのにおいがするが?」
「う、えっと、とりあえず一度おろしてください。ちゃんと説明します、から…。」
やはり目線は揺らいだままである。
とりあえずユウを抱えたまま、衝撃を与えぬようゆっくりとソファに腰を下ろした。
「それで?」
「えと、…。」
「なぜ貴様からオイルのにおいがするのかと聞いている。」
「はい…。人間の女性には、子供を作るメカニズムの一環として一ヶ月に一度訪れるものがあります。腹部にある子供を作る器官に栄養分が血液と一緒に溜まるんですよ。それで、これは期限というものがありまして、胎児…まあ子供ですね、それの素になるものの片割れと一日以内に出会えないとすべて体外に排出されるんです。これを生理、または月経と呼びます。これがくるサイクルや排出されるものの量は個人や時期、環境によって大きな差があります、はい。」
「つまり貴様はその生理とやらが来ているのだな。」
「…はい。」
怪我をしているわけではない、と聞いて、ぷしゅう、という排気音がメガトロンから発せられた。
女性特有の現象についてメガトロンが知らなかったのは無理もない。
米軍の基地と言う環境下では女性はとても少ないし、メガトロンたちと接する女性などユウのほかにはほとんどいないうえに、恋人になるまでは血のにおいがわかるほど近くに接近することはなかったのだ。
そして安堵すると同時にまた、気にかかったことを問い詰めた。
「…顔色が悪いのはなぜだ?」
「個人差がある、と言いましたね。」
「ああ。」
「ちょうど、今回は少し重たくて…。量が多いとそれに比例して血液もたくさん排出されるんです。それでたまに貧血を起こすこともあるんです。」
「…。今日の仕事は休め。俺があいつらに連絡してやる。今日はここにいろ。」
インターネットで貧血について調べたのだろう、少しの間を空けたあとにメガトロンはそんなことを言った。
「そうもいきません。あのですね、生理というのはそれなりにデリケートな問題でまわりに言いふらすことではありませんし、病気じゃないんですから休むわけにはいかないんですよ…。…どこかの金属生命体たちが始末書を延々と増やしていくからと言う事もあるんですが。」
「…わかった。無理はするな。」
「わかりました。」
へらりと笑ってユウが執務室をあとにする。
その若干ふらふらとした足取りに不安げな視線を向けながらメガトロンは自軍の愚か者筆頭の某航空参謀を呼び出すために通信回路を開いた。
理由は言わずもがな、ユウと自分の仕事を増やしたお仕置きである。
それから一週間、ユウにくっついて世話を焼く破壊大帝の姿が基地の至る所で目撃されたとか。
(あ、当たり前ですが終わるまで夜の生活はナシですよ。)
(何、だと…)
(か、閣下…ぐはっ。)
(ええい煩い静かにせんか。俺とユウの仕事を増やしおって…この愚か者が。)
xxxxx
TFたちがこれを始めて知ったときってやっぱりすごく心配するんじゃないかと思うんです、もにょもにょ。