05

仕事が多い。

「何で今日こんなに多いの?」
「ダメツナが仕事ほっぽって遊び呆けてるっつったら骸と雲雀が持ってきた」
「よってたかって嫌がらせかよ! つーか仕事ほっぽってないだろ! 1日のノルマはやってから出掛けてんだろうが!」
「お前に仕事のノルマはない。上限なんてねぇぞ」

鬼かよ!
ちらりと時計を見ると、もう16時を過ぎている。いつもなら14時15時過ぎには郁に会いに行っているのに、ちくしょう常連を越すチャンスが!

「大体、最近どこ行ってんだ毎日毎日」
「内緒だよ、教えるわけないだろ俺の今唯一の癒しなのに」
「女かよ」
「だったらどうだっていうんだよ」
「友人程度なら口出ししねぇが、お前縁談も来てんだからな。その辺の馬の骨に惚れ込むなよ」
「っ、そんなの! ……そんなの、わかってる」

イライラする。

「仕事ちゃんとするから、出てって」
「あ?」
「当たり散らしそうでやなんだよ。逃げないし、終わらせるから」
「……チッ、逃げたら承知しねぇからな」

そう言って出て行ったリボーン。俺信用されてなさすぎだろ。

あの夜のパーティーは一般的にはただの社交会だが、実際はマフィア同士の顔合わせだった。結構大々的だったために、おおっぴらにするにはあまり良くないとのことで一般人も招待してあったものだったから、最初郁を見てあーきっと一般人だなと分かった。温い世界で生きてるお嬢様、社交会は慣れて飽きてもう興味もないのかと。実際、興味ないのは当たりだったけど理由は全然ちがった。ご馳走より、異性より、お金より、海がいいと言ってバルコニーから下を眺めている子だった。面白い子だなという印象、そして目を引く赤髪は俺の興味も引いた。

「……会いたい」

なんて。
まるでこんなの、好きみたいじゃないか。
確かに好きだけれど、そういう好きじゃない。そういう好きになってはいけない。分かってる。リボーンの言った通り、俺にはファミリーがいてそれを守る為の責任があって、同時にマフィアのボスという顔がある。ボンゴレの顔を背負ってる。その面はきっと俺の身勝手な想いで汚していいものじゃない。分かってる。
ただ、どうもこうして、会いたくなるんだろう。
ご令嬢達のように着飾ってもいないし、特別とても綺麗なわけでもない。髪が赤いということ以外は普通で、本当に飾らなくて、そこが、そこに、惹かれているのかもしれない。
いつかこの気持ちが何か分かるんだろうか。どこかに行き着くんだろうか。今はまだ確証が持てないこの感情をただの友愛であってほしいと思いながら、俺は彼女を思い浮かべる。