話を聞くと、この二人はポケモンだった。
男性は私の相棒で、ガバイトで、少女は野生のコイキングだそうだ。なるほど。
人の姿をとることでポケモンとしての技などは使いづらくなるが、手足を利用して道具など人工物を使えるようになる、と。なるほどなるほど。
……なるほど?
「えっと、晴琉く、はるさんとコイキングさんは……。」
「やめてくれ、さん付けなんてむず痒い。」
「わたし、も。」
あ、はい。
「は、はるくんはなんで今まで人になれるのを内緒にしてた、の……?」
「フスベは山間で尚且つ人も少ないよな?集団意識が強いんだ。他所の人間をどこか嫌っているところがあるだろう?」
「あ、うん。なんとなく……。」
「つまり新しいもの、珍しいものが嫌いなんだ。人の姿をとるポケモンは少なくはないが認知度は低い。だからフスベではあまり人の姿をとらないんだ。」
「……えと、今、人の姿をとっているのはどうして……?」
「……。」
「……?」
「いや、その……。木の根が頭に当たって、眉を顰めていたから……。」
「ガバイト かお あかい。」
「うるさいぞ」
つまり、いつの間にか横になって寝始めた私のために人の姿になってくれた……ということらしい。
……そっか、この人は晴琉くんなんだ。どんな姿でも優しい。
……でも初顔合わせ(?)で膝枕は恥ずかしすぎる!!意識をし始めるとあっという間に耳や頬が暑くなる。
それよりも、さっきまでこの見知らぬ男性を怖がってしまっていた。彼は晴琉くんなのに。
「怖がってしまってごめんね……、晴琉くん。」
「!ああ、気にするな。」
「ガバイト、かお あかい、ひやす?」
「うるさいぞ!」
まだ少し違和感はあるけれど、晴琉くんであることが分かったからか、少女にからかわれる(?)彼がなんだかちょっぴり可愛く見えてくる。けれど、まさか晴琉くんが私よりも年上だなんて知らなかった。
「で、コイキングちゃん。あなたはなんでここに?」
「わたし、ふすべ よくいく。おかし もらった。あなた しってる。チサト、ちゃん。」
「あ、そうなの?」
「そう。ここ、ねる ところ。おきた、ふたり ねてた。なんで?ぐあい わるい かな おもった。」
コイキングちゃんはおしゃべりがあまり得意ではないみたい。プツプツと途切れてしまうけれど、内容はきちんと伝わった。つまり見知った人間(とポケモン)がこんな所に寝ていたから心配して覗き込んだら起きて騒がれたということか……。
なんか、ごめんなさい。
「騒いじゃってごめんね。心配してくれてありがとう。」
「いい。チサトちゃん、げんき…?」
「元気だよ!」
「うん。なら いい。」
少しばかりのお詫びに、と持っていたきのみを差し出すと大きな目を輝かせて食べ始めた。警戒もせずに食べてくれるから、本当私から手渡されるものを食べ慣れているらしい。お顔を覚えていなくてごめんね。
すっかり話し込んでしまった。朝日も半分ほど顔を出している。出発しなければ。
チラリと隣に目を向けると、ちょうど晴琉くんと目が合った。彼もそう思っていたのか、こちらを向いて頷いてくれた。(やっぱりなんだか見慣れなくて照れくさい!)
「じゃあコイキングちゃん、騒いじゃってごめんね。私達もう行くから。」
「しばらく撒き餌はないぞ。他所で貰った方がいい。」
「ちょ、晴琉くん!言い方が……。あ、じゃあ、バイバイ。」
別れを告げてバッグを肩にかけ直す。そして一歩踏み出し……あれ?
「おうち かえる?」
「……ううん。家には帰らないよ。」
「……。」
「コイキングちゃん?」
「いっしょ いく。」
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