ストーカーの件から2週間程経過した。
愛未さんはあれから一度も、ポアロに顔を出してない。


「安室さん?なんだか最近元気がないですね。」

「そんな事ないですよ。」


梓さんが首を傾げる。
そうだ、僕は何も変わってない。
気にしてない、と言えば嘘になる。
でもそれはストーカーの再発であったり、よくある事だと言っていたのであれから何も起こってないのか、そう言うごく当たり前の意味だ。

かと言って、梓さんに聞くのも躊躇する。
何かあれば梓さんは僕に話すだろうし、そこまで深入りする必要も無いとも思う。


ーカランッ、カランッー


「いらっしゃいませ…あ、コナン君。」


梓さんの声に、僕も食材を切る手を止めて顔を上げる。
そこにはコナン君と、その同級生であろう子供たちが居た。


「こんにちは。5人なんだけど座れますか?」

「勿論よ。テーブル席に案内するね。」


コナン君は5人と言った。
しかしその場には、コナン君の他には少年探偵団の子供たちが3人しか居ない。
確か歩美ちゃん、元太君、光彦君だっただろうか。
あと1人は、あの女の子だろうか。


「やぁ。いらっしゃいませ。」

「こんにちは、安室さん。」

「「「こんにちはー!」」」

お冷やを持ってコナン君のテーブルへ運ぶ。
コナン君以外の子たちはもうメニューを見て悩んでいた。


「もう1人はもうすぐ来るのかな?」

「うん。今上で小五郎のおじさんと話してるから、終わったらすぐに来るよ。」

「毛利先生と?」


それなら、あの女の子ではないだろう。


「注文が決まったら声掛けてね。」

「うん!」


もしかしたら相談者からお礼としてご馳走してもらうのだろう。
僕はコナン君達から離れて、持ち場に戻る。
すると梓さんがコナン君達の側へ寄って行った。


「ねぇねぇコナン君。今日終わったの?」

「うん。もう大丈夫だよ。」

「あー良かったー。」


梓さんは知ってるらしい。
コナン君達がここに来た理由を。


「愛未お姉ちゃんも、もう少しで降りてくると思うよ。」

「……え?」


コナン君の言葉に、思わず声が出た。
何故、コナン君が彼女の名前を…


ーカランッ、カランッー


疑問が解決される前に、店のドアが開かれた。


「愛未ちゃん、いらっしゃい。」

「梓、お疲れさま。皆もお待たせ。もう何か注文した?」

「まだだよ。」

「そっか。遠慮せず食べてね。小五郎さん、かなり安くしてくれたから。」


愛未さんが当たり前の様にコナン君達の席に座る。
かなり親しくなったらしい。


「やったー!じゃあさ、俺カレーとサンドイッチとパフェ食う!」

「元太君、欲張りすぎですよー。」

「いいよいいよ。その代わり、ちゃんと食べ切るんだよ?」

「当たり前じゃん。余裕で食えるよ!すみませーん!カレーと、カツサンドと、タマゴサンドと、チョコバナナパフェと、コーラください!」

「おい元太。地味に増やしてんじゃねーよ。」

「ふふっ。コナン君も食べたいの選んでね。」




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