「愛未お姉さん。私、プリンアラモード食べたい。」

「どうぞ。ジュースは何にする?」

「えっとねー…りんご!」

「コナン君は?何にする?」

「僕はじゃあ、メロンフロートにしようかな。」

「光彦君は決まった?」

「そうですね…僕はガトーショコラとアイスミルクティーにします!」

「じゃあ梓、私はシフォンケーキとホットコーヒーお願い。」

「はーい。皆、ちょっと待っててね。」


注文内容をキッチンで聞きながら作り出す。
今は他のお客さんも少ないので、そんなに時間はかからない。


「安室さん、注文です。お願いします。私は飲み物を先に持っていきますね。」

「はい、お願いします。」


テキパキと飲み物を準備する梓さん。
僕はカレーとカツサンドとタマゴサンドの準備を始める。


「……愛未さん、毛利先生に何か依頼されてたんですか?」

「え?」

「少年探偵団達と居てびっくりしました。」

「えーと…あ、そっか。安室さんが丁度居ない日に愛未ちゃん来てたんですよ。」


僕の質問に不思議そうに首を傾げる梓さん。
少し考えて、納得した様に頷いている。


「安室さんがストーカー退治して下さったあと、また別件のトラブルが起きちゃって…で、毛利さん達に相談するように勧めたんです。」

「え?あれからまた何かあったんですか?」

「そうなんですよ。話聞いてた時に丁度コナン君達が居て、それで手伝ってくれたみたいなんです。」


それだけ言うと、梓さんは飲み物を運んで行った。
成る程。
僕は毎日出勤してるわけではない。
たまたま僕が居ない日に来ていたのか。

もしかしたら、また僕に頼りたかったのかもしれない。
僕は唯一の理解者だったから。
意図して避けていたわけではないが、可哀想なことをした。


「カレーとカツサンドとタマゴサンド出来たので、運ぶのお願いします。デザートも順番に作りますね。」

「はい、お願いします。」


戻ってきた梓さんに料理を渡す。
梓さんは返事をしてから僕の顔をじっと見てきた。


「どうしました?」

「いえ…安室さん、なんだか嬉しそうですね。」

「そんなことないですよ。」


そんなことない。
変わらない。
僕の状況は何一つ変わってない。
変わったのは、情報だけだ。
愛未さんの情報がわかっただけ。


「料理お待たせしましたー。」

「うぉぉ!美味そう!愛未姉ちゃん、いただきまーす!!」

「どうぞ、召し上がれ。梓、お手洗い借りるね。」

「うん。奥にあるよ。」

「ありがとう。」


愛未さんは元太君の頭を軽く撫でると、椅子から立ち上がる。
そして、僕の方へ向かってきた。



- 17 -

*前次#


ページ:


トップ