初対面
「こっちだ!」
戦場と離れていたこともあり、私たちが駆けつけた頃には既に何人もの怪我人が出ていた。
夜の王、ネコマムシの旦那に続く。
「海賊になってもここはおれの故郷だ!」
「「おれ達にとっては仲間の故郷!!」」
─…
*
苦しい…
吐き気が…
視界も霞む…
敵のジャックとやらは何日間か続いた闘いの中でとうとう毒ガスを撒いた。
元々闘いで負傷していた。私たちとミンク族に大して充分以上の効果があっただろう。
動ける者は少ない。
もう死ぬかも、と思っていた。
(みんな、今までありがとう)
……
……!
…ろ!
「しっかりしろ!」
声を掛けられ、鈍い感覚ではあったが肩を叩かれる。
そうは言っても体が動かない。
「う…げほっ、オエッ…」
「これ!トラ男のとこのシンボル…!」
何かが喋ってる。
まだ元気なミンク族が居たのだろうか。果たして何のミンクだったか。
そもそもトラ男って誰だ。私たちのキャプテンは、
そう思ったところで私の意識はぶつりと切れた。
*
「うぅっ…」
頭が重たい。瞼も重い。
ゆっくりと見上げると、森の中の様。それは、ゾウに生えていた植物達だ。
(助かった…のかな…)
とりあえずは天国では無さそうだ。
となると、みんなは?
そう重い体を起こした。
「あ!気が付いた!」
ぱあっと笑顔の人はオレンジのロングヘアのお姉さん。
「…?」
「どこにいたか覚えてる?」
「えっと…ゾウの都市部で…襲撃してきた奴らと闘ってた…」
「毒ガスを撒かれたのは、覚えてるかしら」
「はい…」
「それを吸って倒れていたのよ。良かった、目が覚めて!アンタトラ男のとこの─」
1箇所、
「トラ男?」
「トラファルガー・ローよ!」
「あぁ、キャプテン…あっ!!」
やっと気づいた。
「ナミ…さん…!」
「ええ、そうよ。会ったことあったかしら?」
「いや、手配書で…」
「そういうアンタも、"水刃のミヤビ"でしょ?相当強いのにやられちゃってたのね」
「毒に耐性はないので…」
「それにしても…トラ男のとこにこんな子がね…手配書よりも可愛いわね…」
ニヤニヤ、楽しそうに笑っている。
ナミさんって手配書だとひたすらいい女って感じなのに、こんなにいろんな表情するんだ。
泥棒猫かぁ…ハートまで奪われそうだ、女だけども。
「少ししたらチョッパー来るから!もうちょっと寝てて!」
「わ、分かった」
素直に大人しくなる。
麦わらの一味が来てたのか。
それにチョッパーは確か船医だったはず。
助かった。そう思った瞬間、みんなの無事も確信してぶわ、と視界が滲んだ。
「どうしたの?どこか痛い?」
「…ありがとう…!みんなのこと、助けてくれて…!」
「…辛かったわね。もう大丈夫よ」
ナミさんに抱きつくと優しく頭を撫でてくれた。
「おーい!ナミー!」
「!チョッパーの声ね」
てててて、とチョッパーが登場してくる。
「あ!気が付いたんだな!でもまだ安静にしてろよ!」
ピシッと言い放つ言葉にキャプテンを思い出す。
もうしばらく前の事だ。
「分かった…」
「横になってくれ。バイタル見ていくぞ」
声を聞いて思い出す。多分意識が落ちる前に声を掛けてくれたのはチョッパーだ。
「ありがとう、…チョッパー…」
「なんでおれのこと知ってるんだ!?」
「手配書で…」
「!!…う、嬉しくねェぞ、コンニャロがァ!」
えっへっへっと笑い出すチョッパーに、早く診てあげなさいとナミさん。
そうか、師匠はこんな人たちと冒険しているんだな。
うちとは違う暖かさがある。
チョッパーが私を診てる間に仲間たちが目を覚まし始めた。ベポは泣いてナミさんに抱きついてる。
良かった、そう思って私は再び目を瞑った。
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