数年ぶりの再会は瞬きの如く



「うちの船員だ、紹介しに来た」
「「お見知り置きをォ!麦わらァ!」」

みんなで各々ポーズを決めた直後。

「師匠ぉおおおお!!」

割と大人しい私は声を張ったのなんて久々で。

「…!」

師匠─ロロノア・ゾロの隻眼が見開かれる。

「ミヤビ!」
「会いたかったよ師匠〜!」

私は走ってそのままの勢いで抱きつく。
相変わらずゴリゴリな筋肉の師匠は私をなんなく抱き留めた。

「久しぶりだなァ、ミヤビ!とうとう海賊になったか!」
「なんか不思議なモンだよね。でもそれ言ったら師匠だって海賊狩りのまま海賊じゃない」
「変だよなァ」

豪快に笑う師匠はごつくも強くもなってるけどあの日砂浜で出会ったままの師匠だ。
匂いもあんまり変わってない気がしてすごく懐かしい。ずっと抱きついてしまう。

「ミヤビ、トラ男が怖ェ顔してるぞ」
「ん?…ん!?」

ふと振り返れば人を殺しそうな目線のキャプテン。
私は慌てて師匠の元を離れキャプテンの元へ向かった。

**

分かっていた。
ミヤビがどんなに会いたい相手か。
自分だって渇望するほど会いたい人くらい居る。
会えるかどうかは別として。
おれとの再会が淡々としてると言える程、ミヤビはロロノア屋には喜びの感情を見せている。

なんでなんだ。
抱きついて、あんなに笑顔で。
まるであの二人が再会を誓いあった恋人のようで。
しかも同い歳だという。
幼なじみみたいなモンじゃねェか。

…なんでおれは今こんなに怒りと不快感を覚えている?
大好きだった恩人の仇は13年という時を経て討った。
仲間を侮辱されたワケでもねェ。むしろ昔からの知り合いでお互い大事にし合ってんなら良いことじゃねェか。

おれがそんな事を考えている間もあの二人はくっついたままだ。
ただの同盟相手だから馴れ合うな?そんなことは言えない。ミヤビはロロノア屋に会うことが目標で元々旅を始めたんだ。
たまたまおれ達の人生が交わっただけじゃねェか。

ゼロ距離のままロロノア屋が何かをミヤビに耳打ちする。ミヤビがおれを振り返り、驚いた顔をしたかと思うと何故かこちらへ駆け寄ってきた。

「キャプテン?どうかしたの?」
「…何だ」

思ったよりぶっきらぼうな声が出て自己嫌悪した。

「師匠は怖い顔って言ってたけど、私には苦しそうな顔に見えたから」

ミヤビの手がおれの頬に添えられる。小さくて柔らかな手。

「勝手だけど、私キャプテンにはつらい顔させちゃいけないって思ってて…」

1年前のあの事だろうか。
おれはただ心配だっただけだ。

「心が痛くなる」

呟いたミヤビは泣きそうだ。
おれはうちの船員がいるとかロロノア屋が見てるとか全部忘れて、ミヤビの事を抱き寄せていた。
ただ泣き止んで欲しかった。
泣きそうだったはずなのに既に涙を零しているようだったから。



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