お互いに知り合う



「改めて、ようこそ。ハートの海賊団へ」

ペンギンさんってちゃんとしてるし優しいなぁ。変な意味はないです、うん。

そういや今まで1人で旅してきたからこれだけ一緒に住む人出来るって変な感じ。
それにまさか自分が海賊になるなんて…。
師匠が知ったらなんて言うかな。お前なんかがって言われるかもしれない。

「どうした?具合でも悪いのか?」

ペンギンさんが私を覗き込んできてた。考え込んじゃってたのかも。みんな私のこと見てる。

「あっ、いや…元気…です!」
「なら良かった」

わしゃ、と頭を撫でられる。

「あー!ペンギンずるい!」
「ミヤビ髪サラッサラだな〜」
「おれはシャチってんだ!おれも触っていいか?」

キャスケット帽にサングラスをかけたシャチさんも乗り出してくる。

「えと、どうぞ?」

そこそこ背の高い男の人2人に頭をいきなり撫でられる。どうしてこうなった。

「おれはベポだ!ミヤビ小さいな、何センチだ?」

シロクマが喋った!

「よろしくベポ…150…くらいかな」
「小さい!え、いくつ?」

これはシャチさん。

「19…」
「…未成年…」

一瞬しん…と静まる。

「今更だけど本当に来て大丈夫だったのか?」
「大丈夫ですよ、親の記憶とかないので」

みんながそれぞれ複雑そうな顔をしてる。

「…生まれは?」
「分からないんです。でも"東の海"イーストブルーには居たことがあります」

師匠とはそこで出逢いました、と私は言葉を続ける。

「なるほど…」
「髪長くて綺麗だなァ」

シャチさんは私の話よりも髪に夢中らしい。

「シャチ、そのくらいにしてあげな」

女の人の声!

「私はイッカク。よろしく、ミヤビ」
「よろしくお願いします!」

女の人いたんだ…イッカクさん…素敵だなぁ。

「えーいいじゃんかよ〜。ミヤビちゃん嫌?」
「どうして良いかはわからないです…」

そこにす、と刺青だらけの大きな手が伸びてくる。

「えっと…?ロー…キャプテン?」
「…キャプテンで良い」
「なんで撫でてるの?」
「なんとなくだ」
「髪ぐちゃぐちゃになっちゃう」
「…」

はぁ、とため息をついて手を引っ込めた。そのまま船の奥に消えていった。

「キャプテンどうしたんだろうな」
「さァな…」

分からない風に返事してるけどペンギンさんの口の端には少し笑みが浮かんでるような気がした。




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