近くて遠い



水はあっという間に伸びて日本刀のような形になる。
「女の方は能力者だ!気を付けろ!」
「…もう遅いよ」

ばしゃ、と水の刀身が伸びて海兵たちに盛大に水がかかる。

「なんだこれっ、火薬が!」

狼狽え出す兵士たちと別に今度は刀を構えた兵士たちが向かってくる。

「向かって来なきゃ良いのに」

今度は大太刀のように水を伸ばしてブン、と一振り。兵士たちの体が真っ二つになった。

「1回見たけどやっぱりエグいな、その能力!」

ペンギンはそういうけど能力なしで兵士たちをバタバタなぎ倒してる。

「ペンギンだって充分強いじゃない」
「だけどよ。リーチだって自在だし…うおっと!」

後ろからの兵士を余裕の一撃で沈めるペンギン。

「あいつ…!この前トラファルガー・ローと一緒に居た“ 水刃すいじんのミヤビ”じゃねェのか!?」
「やはりトラファルガーの仲間になったのか…至急応援を呼べ!」

「そんなことされたら面倒でたまらない」

そういうことだから、と言った声はもはや彼らには聞こえなかったかもしれない。
残ってた海兵たちも能力の餌食で体が半分に別れた。

「ふぅ…一旦片付いたな」
「とっとと船帰りたい…血もついちゃったし」

急いで私とペンギンはポーラータング号へ向かう。

「そういやさっきのって水を細くして斬ってるのか?」

ペンギンが走りながら訊いてくる。

「えーと、それもあるんだけど水を細かく振動させて切れ味を増してる」
「なるほどなぁ…」

たわいのない話をしているうちに見えてくる黄色い船体。
別方向から来たであろうキャプテン達も見える。

「キャプテーン!その大っきいの誰?」
「ミヤビ!?なんでその方向から来た?!ちゃんとマいて来たんだろうな」
「おれも一緒ですよ」

撒いて来たわよ、失礼ね。とか思ってると顔に出てたらしい。キャプテンが片手で私の顔を挟んでくる。

「文句あんのか?」
「ないから離して」

どうやら彼はジャン・バールというらしい。“人間屋”でのひと騒動の中で仲間にしたらしい。キャプテンってもしかしてどんな人でも拾っちゃうタイプ?
ベポがおれの下ね!なんて言ってる。かわいい。

「海軍が攻めてくる!今のうちに出るぞ!」

アイアイ、キャプテン!とみんな動き始める。
結局師匠に会うことは叶わなかった。




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