できること、できないこと
シャボンディ諸島を出たその日ぐらいのニュース・クーを見て私たちは衝撃を受けた。
「“火拳のエース”公開処刑…!?」
しかも記事にはモンキー・D・ルフィと兄弟であることまで書かれている。
師匠は知っているのだろうか。この事を。
「全員聞け。今からマリンフォードに進路をとる」
「「えぇっ!?」」
面々は言葉を失って船は静まり返る。
「だって白ひげと海軍の全面戦争が…」
「黙って従え」
誰かがさすがに意見するもキャプテンはそれ以上話そうとはしなかった。
*
戦争は終結し、ハートの海賊団は麦わらのルフィを保護して女ヶ島へ到着した。
手当が済んで目を覚ました彼は暴れ回っているようだ。
「傷口がまた開いたら今度は死ぬかもな」
キャプテンの声のそれだけがハッキリと聞こえて頭から離れなかった。
「長居は無用だ。やる事はやった。船を出すぞ」
「アイアイキャプテン!」
何か出来ることはなかったのかと考えながらもポーラータング号は女ヶ島を出航した。
そもそもルフィは私の船長じゃない。
でも師匠の船長だ。
何か、出来ることは、
ふと思い立ってある部屋を訪れる。来ないと思っていた、船長室。
コンコン、とノックをすると中から開いてるぞ、と声がする。
「失礼します、キャプテン」
「…随分しおらしいじゃねェか」
少し意外そうにキャプテンが私を見据える。
「お願いがあります」
「…なんだ」
「応急処置のやり方を、教えてくれませんか」
この先大切な人や仲間の盾になり闘うことだけじゃなく、少しでも癒せるように。
大切な人たちが命を落とさないように。或いは少しでも長く生きられるように。
医術を学べる自信はない。だからせめて、と。
「…言われなくても教えるつもりだった。おれもだがシャチやペンギンもある程度の心得はあるからな」
「…!キャプテン…」
「ハッ、少しは淑やかになったみてェだな」
ニヤリと笑みを浮かべたキャプテンに緩く頭を撫でられ、どきんと心臓が跳ねた。
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