「“……さあ私の愛しい子……早くお眠りなさい……♪”」
「“……私の腕の中で、私の歌を聞きながら……♪”」
聞き慣れない言葉で紡がれた歌声で、ぼくは目を覚ました。
休日の昼下がり。
桜花の膝枕でまどろんでいたぼくの耳に入ってきた、桜花の歌声。
「ん……子守唄?」
「あら、龍一……起こしちゃったかしら?」
「うん、桜花の歌声が聞こえたから」
「……ふふ、ごめんなさいね。昔の事を思い出していたの……私、生きてた時はこうしてよく子供の面倒を見ていたのよ」
「その歌、クライン語の歌だね」
「ええ……私の生きていた時代の歌だから、もう知っている人もいないでしょうけどね。」
「その時はまさか、こんな風に素敵な旦那様を持てるなんて考えたこともなかったけど……ふふっ」
そう言うと、桜花はゆっくりとぼくの頬を触りながら笑う。
その温かさにまた眠気に襲われ、
ゆっくりと目を閉じて、ぼくはもう一度眠りについた。
おやすみ、いとしいひと
(ふわりと香った異国の香りは)
(昔の記憶か、夢の残り香か)
リハビリのつもりでした。
20180824