「りゅ、龍一……い、いや、違うの、これは……」
ぼくの目の前には、ぼくの青いスーツ(予備)をズボンまできちんと着こなしている桜花の姿。
(今はぼくに見つかったせいか、わたわたと効果音が付きそうなくらい焦っているけど)
「それ、ぼくのスーツだよね?」
「……そうよ……」
「どうして桜花が、ぼくのスーツを?」
「それはその……」
「しかもちゃんとズボンも履いてるし、ネクタイも締めてるよね」
「……」
完全に顔を赤くして黙り込んだ桜花。
いじめるのはこれくらいにするか、と口を開こうとした瞬間、桜花がぽつりと言葉を漏らした。
「……スーツが、羨ましかったの」
「えっ?」
「だから、そのー……ああもう!いいわ!この際だから正直に言うわよ!」
「いつも龍一の側に居られるスーツが羨ましくって、それで……!」
「ぷっ……あ、あっはははは!」
……ああ、ぼくがいつも着ているスーツにまで嫉妬してくれるなんて、ぼくの女神様はなんて可愛いんだろう!
そう言いたくなるのをぐっとこらえて、ぼくは桜花を抱きしめた。
「わ、笑う事ないじゃない……」
「ごめんごめん、そう言う意味じゃないんだよ。」
「桜花があんまりにも可愛くて、ついつい笑っちゃっただけで」
「まあ……スーツに嫉妬したって言うのもあるけど、もう一つ理由があるの……」
「何?」
「龍一と同じ格好をして、龍一の気分になってみたかったのよ」
……もしかしてだけど、桜花はぼくを殺す気なのかな。
勿論、死因は心臓発作で。
「あーあ、バレないうちにもとに戻してしまおうと思ってたのに、見つかったんじゃ意味がないわ」
「残念だったね。まあもしぼくに見つからなかったとしても、桜花が焚いてる香の匂いでバレたと思うけど」
「……あっ、そうだったわ!どっちにしろバレちゃうじゃない!」
あちゃー、と言わんばかりに頭を押さえる桜花。
「どうやら私、完全犯罪はできそうにないわ」
「させる気も無いけど」
「……しないわよ、私は龍一だけは絶対に敵に回したくないもの」
「女神にそこまで言われるのも、なかなかいいものだね」
「またそういう事言う!」
そんな会話をしながら、ゆっくりと過ぎていく時間。
ぼくはこの時、心から「彼女をぼくの妻に出来てよかった」と思うんだ。
死因は青い心臓発作
(愛おしすぎて心臓発作、一歩手前。)
(いつか来るその時も 君と一緒なら怖くない)
逆裁アニメ化おめでとう!
せっかくなのでナル桜の記念ss(……と言っていいかわかりませんが)を書きました!
20160402(逆裁アニメ化記念ss)