狐の隠した本心
「フォンってホントにホントに……とにかく無口なんです!!!」
不定期に行われる女子会in成歩堂なんでも事務所。
今回(桜花は成歩堂と仕事の為不在)の女子会は、みぬきのこの一言から始まった。
「喋るときは喋るんですけど、喋らないときはホント無口なんですよ……」
「あー……ほらまあ、魂くんって大人しそうな子だしね」
イヨがジュースを飲みながらフォローすると、みぬきは机に突っ伏しながらこう言った。
「……フォンは無口だけど、みぬきをちゃんと好きでいてくれるのはわかってるんです……。」
「でも、なんか言葉にして聞かないと、安心できないって言うか……」
しょぼんとした声でそう言うみぬきを見て、心音は首からモニ太を外す。
「……はい!」
「えっ?」
「これ、貸してあげる。試してみたら?」
みぬきはモニ太と心音を交互に見て、覚悟を決めたようにモニ太を手に取った。
「……よーっし、魂くんにモニ太を付けるのは私に任せて!」
「期待してますよ、イヨさん!」
……そしてその数分後、九尾村から事務所にやって来た魂の姿が。
「どうモ、オ邪魔しまス。……みぬきちゃーン、居ルかイ?」
「あっ、フォン!ちょうどいいところに!」
「……ん?どウしたノ?」
「さっきイヨさんがいなり寿司買ってきたんだけど、食べない?」
「……食べル!」
「冷蔵庫にあるから持ってくるね」とイヨは席を外すふりをして、こっそりと魂の背後に回る。
そして……いなり寿司の事で頭がいっぱいな魂にバレないようにそっと首にモニ太を回し、
ぱちん、と留め具を付けた。
……魂はその音に反応するが、後の祭り。
モニ太は「喜」の感情を表すエメラルドグリーンに光り出し、
飛び切りのスマイルで、魂の胸元でぴょんぴょこと跳ねだした。
「ミヌキチャンニ キョウモ アエテ スゴク ウレシイ! ミヌキチャンハ キョウモ スッゴク カワイイ!」
「イナリズシ ナンテ ドウデモイイ! ミヌキチャンノ ホウガ ダイスキ!」
「ミヌキチャンガ ホントウニ ダイスキ! ボクノ オヨメサンニ シタイクライ ダアイスキ!」
「Σいっ、ギゃああアあああアああッ!?」
その瞬間、顔を真っ赤に染めて叫ぶ魂。
恥ずかしさのあまりか、いつも隠している狐の耳と尻尾が出てしまっている。
魂は急いでモニ太を外そうとするが、指が留め具からつるつると滑ってなかなか外れない。
…その間もモニ太は魂に遠慮なくみぬきに対する愛の言葉を言い続け、
その間、全員が魂に注目していた。
全員、「いつもの無口なイメージとは全く違う単語がモニ太から溢れたのが信じられない」という顔をしていた。
「……な、ナ、なにヲするンですカ……!」
そしてようやくモニ太を首から外し、ぜえぜえと(半分泣きそうな)真っ赤な顔でそう言う魂に、
イヨはひょうひょうとした態度でこう言った。
「君が無口すぎてみぬきちゃんを悩ますのが悪いんだい!」
「えーッ!?……超理不尽ジゃなイですカ!!」
「……でもなかなか、凄い愛のセリフだったよね!」
「ボ、ボクがみぬきちゃンに対しテ思っテるこト、全部モニ太にバラされチゃっタじゃナいですカぁあ……モ、もうボク、お婿サんに行ケませエええええン!!!」
そしてとうとう恥ずかしさのあまり泣き出した魂を、みぬきは抱きしめた。
「…ねえ、フォン。」
「う゛う゛ッ……なんだイ……?」
「騙すみたいにフォンにモニ太を付けてごめんね。実は……みぬき、心配だったんだ」
「…えッ……心配?」
「フォンっていっつも無口だから……みぬきの事、本当に好きなのかなって……」
そう言うと、みぬきはうつむく。
「みぬき、ママみたいに綺麗じゃないし、他の女の子みたいに可愛くもないし……マジックくらいしか取り柄がないしで……」
「……何を言ッているンだヨ、みぬきちゃン!」
「ボクは、みンなみたいニ感情ヲなかなカ表に出せナいかラ……みぬきちゃンに、いラなイ心配かケさせチゃっタんだヨね?」
魂は顔を赤くしたままそう言うと、みぬきの両手を自分の両手で包んで自分の胸元に当てた。
「さっキ、モニ太が盛大にバラしテくれタけど……ボク、みぬきちゃンの事、本当に大好きだシ……すッごク愛シてルんだヨ?」
そう言うと、魂は恥ずかしそうに笑った。
それを聞いたみぬきは嬉しさのあまり、魂にさらに抱き付いて人目もはばからずに熱いキスをする。
その熱いキスに、魂はすっかり恥ずかしくなったのか、
未だに持っていたモニ太を心音に手渡すと、隣の部屋に逃げるように駆け込んでしまった。
……あまりにも焦っていたのか、狐の耳と尻尾を出しっぱなしで。
本心を知ればもっと好きになる!
(……なんか、凄い恋愛映画でも見た気がしません?)
(みぬきちゃんって中学生、だったよね……?)
初みぬこん。
私の書くみぬきちゃんは6割受けで4割攻めな感じがする。
・・・あれ、みぬきちゃん逆5だと中学生で合ってたよね?
20150602
加筆修正/20150605
加筆修正2/20160402