咬み跡をなぞる

つつ、と指先で目の前の首筋の咬み跡をなぞると「きゅうん!?」と可愛い鳴き声が聞こえた。


「んもう鉄平、急にどうしたの?びっくりしちゃったわ。」

「……んー?俺の可愛いつがいに触っちゃいけねぇか?」

「いいえ、急だったからびっくりしただけ……なんだったらもっと触っててもいいのよ?」


俺の首筋とフランベルの首筋に目立つお互いの咬み傷の跡……ナインテールフォックスの“つがい”の証。
他のどんな動物より愛情深いナインテールフォックスは、咬み跡を付けたつがいと添い遂げ、パートナーを一生変えずに過ごすという。

フランベルの発情期の時に、初めて心が通いあって、付き合って。
それからしばらく経った初めてのセックスの時に、俺達はつがいになった。

最初はフランベルが俺の首筋に咬みついて、その後俺が咬みついた。

ナインテールフォックスは初めての交尾の際、
メスは傷跡が残りやすいよう特殊な成分の入った唾液を分泌して、オスに傷跡を残し、逆にオスに咬まれる時は傷跡を残せるよう、傷跡周りの代謝を限界まで落としたのちに特殊な成分で色素定着をさせるらしいが……

まあ、確かに俺もフランベルも甘噛みで咬みあったが傷跡はくっきり残っている。痛みもキスマークをつける程度のものだった。

そんなことを思い出しながらもう一度傷跡を指先でなぞれば、くすぐったかったのかフランベルはふるりと震える。


「……くすぐったかった?」

「ちょっとだけね。」


そう言うとフランベルはにこりと笑って
仕返しと言わんばかりに俺の首筋にある咬み跡をなぞる。


……ああ、彼女は俺のつがいで俺は彼女のつがいなんだ。

……そう、貴方はわたしのつがいで、わたしは貴方のつがいなの。


そんなことをありありと主張されているようで、ついつい頬がほころぶ。


「……なあフランベル……もう少しだけ、触れていてもいいか?」

「じゃあわたしも、鉄平に触れていようかしら」


そう言うとフランベルは俺を押し倒すように抱きついてくる。
それを受け止めてぎゅっ、とフランベルを俺の腕に閉じ込め、座っていたベッドに背中を沈めれば、お互いの体温でゆるい眠気が俺を襲う。
フランベルも同じように、うとうとと目元に眠気が現れとろんとした表情になる。


……少しだけこうして眠っていようか。


そうして俺はフランベルを撫でながら
眠気に体を預け、ふわりとした意識に溶けていった。




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いちゃつきが書きたかった。
20190208

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