プロローグ
……昔から私は、普通の人間とは一線を置いて生きてきた。

私の先祖は、ケルト神話の女神であるスカディ。
曾お祖母さまは雪女で、母親はウェンディゴの女王。

このご時世、どこかしらの血縁で悪魔の血を引く人間は今時珍しくもないが、
私の場合は血が濃い分、昔から散々苦労をしてきた。

まだ魔力を上手く使えない子供の頃は、一緒に遊んでいた友達を氷漬けにしかけたり、逆に自分を凍え死にさせそうになった事もあった。
お陰様で子供の頃は気味悪がられることが多く、友人は全くと言っていいほど出来なかったし、
周りの子に「雪女」「氷の化け物」と呼ばれて虐められたのも記憶に残っている。

それもまぁ、今思えば仕方の無いことなのだろう。
悪魔の存在を知らぬ一般人にとっては、私は氷の化け物でしかないのだから。

……まぁ、力の使い方をしっかり学んで身につけてからは
そうそう、そんなこともなくなった。
今はその力を使って、祓魔師として働いているわけだし。

それに、私にとって祓魔師は天職だ。
ここでは悪魔が見えることも、悪魔の血筋を引くこともさほど珍しいことじゃない。

たまに「悪魔が悪魔を殺すのか」なんて心無い謗りそしりを受けることもあるが、気になんてしちゃいない。


……だって、それが本当なのだから。


氷の悪魔の血を引く女、それが私……氷山 朱杏であって、

なおかつ、私は決して暖かい場所には出られない氷の悪魔なのだから。

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