君が流したユメナミダ。


お隣さんになりました


そして話が終わった後、
私はナルトにこう聞いた。

「ナルト、ちょっと一緒に空飛ばない?」
「え!?空!?」
「うん、空。里を上空から見てみたいんだって」
「いいけど・・・どうやって行くんだよ?」
「・・・えっとね、私が鳥になるの。ナルトを乗せて飛んであげるんだって」
「と・・・鳥ィ!?」
「うん。」
「ホントにできるのかよ!?」
「うん、できるよ。何ならリクエスト受け付けるけど?」
「・・・じゃ、じゃあ鷹!1回鷹に乗ってみたかったんだってばよ!」
「うん、いいよー。」

そう言うと、ヨウは髪を巻いていた布を取り、髪をまとめていた髪飾りを外した。
ぱさり、と音を立てて、ナルトと同じ金色の、
長い髪がふわふわと揺れる。

すると、ヨウの髪がぶわっ、と浮き、
ヨウの体に獣の毛のような物質が
じわじわと集まってくる。

「(・・・初音ちゃんと同じ能力持ってるのよね、私)」

キィイーッ、と本物のような鷹の鳴き声で一鳴きすると、
目の前のヨウは、ナルトくらい簡単に乗せられそうな大きな鷹に変身していた。

「どう?」
「す、すげえ!ヨウってば、すごすぎだってばよ!」
「えへへ、褒められるとうれしいな」

・・・で、それから。

現在鷹に化けた私は、ナルトを背にのせて空を悠々と飛び回ってる。

「私、鳥になるの好きなんだよねー、空飛べるしもふもふだしさ」
「確かに超もふもふで気持ちいいってば」

私の背中をもふもふするナルトの手がくすぐったくてしかたないけど、
なんだか気持ちよくてうれしいからそのまま。

「あ、あれ顔岩じゃん!意外と大きいのね」
「・・・俺さ、いつかあそこに俺の顔の顔岩作ってもらうんだってばよ!」
「そういや、ナルトって火影になりたいんだよね。」
「そうだってばよ!んで、里のみんなに俺の凄さを見せつけてやるんだ!」
「・・・うん、ナルトなら絶対できるよ!私、そう思う!」

私がそう言ったその時、私の背中を触っていたナルトの手が、
わずかに熱くなった気がした。


で、散々飛び回ってあちこち見てきたら、
いつの間にか夕方になっていた。

目に映る夕焼けがきれいだなー・・・

「あ、そこ!そこが俺んちだってばよ!」
「・・・あー、あそこね。降りるからしっかりつかまっててね」
「わかった!」

ナルトの手にぐっ、と力がこめられたのを確認し、
私はスーッ、とちょうど家の前の地面に降り立つ。

「ヨウ、ありがとうってばよ」
「・・・いやいや、お礼なんかいらないんだって!むしろ買い物にまで付き合ってくれてうれしいんだって。」

ナルトがぴょん、と私の背から降りると
変身とヒュプノを解いて人間に戻る。

咥えていた袋を手に持ち替えて、空いた片手で額の汗を拭いた。

「・・・ふうーっ」
「そういえばさ、ヨウって鷹以外にも化けられるのか?」
「あー・・・うん、鳥ならハチドリとか雀にもなれるよ。大きさは問わなくて、象とか狼とか、あとペガサスとか」
「ぺがさす?」

ヨウが発した聞きなれない言葉に、
ナルトは首をかしげる。
それを見たヨウは、ナルトが分かりやすいように言葉を言い換えた。

「・・・んー、簡単に言えば羽の生えた馬、かな」
「羽の生えた馬!?」
「ペガサスは本当にはいないんだけど、私の脳内で思い浮かべられる動物ならなんにでもなれるんだって。」
「へぇー・・・」
「あと、動物だけじゃなくて、物とか他人とか。つまり変化の術みたいなものだって」
「・・・なぁなぁ!今度その「ペガサス」を見せてくれってばよ!」
「いいよー、今日は疲れたから見せてあげらんないけど、今度絶対見せてあげるって」

私がそう言うと、「やったー!」と嬉しそうに笑うナルトに
胸が不思議ときゅん、と痛んだ。


部屋に入って何気なしにポケットをまさぐると、
カサリ、と紙のようなものが手に当たる。

「ん・・・?」

気になって取り出してみると、それは皆本が書いた、小さなメモだった。
たぶん、前もらったものをパーカーのポケットに入れっぱなしにしていたんだろう。

「(・・・気づかずに洗濯しなくてよかった・・・)」

そう考えながらメモを開くと、
皆本の字で皆本らしいことが書いてあった。


―ザ・チルドレンの約束事―

1.任務では僕の指示に従うこと

2.学校ではESPはできる限り使わないこと

3.僕の心を勝手に読まないこと

5.他人に手を出さないこと

そのほかにも、いろいろと書かれていた。


「・・・久しぶりに見たなー、皆本の字」


そう呟いて、私は布団に寝っ転がった。


「・・・あー、今頃みんなどうしてるのかな」


・・・私を探してる?

それとも・・・よくある
「もといた世界から存在が消える」とかそういう感じ?


・・・もうわかんないや。



「玉藻ぉ、なんで私の中にいるんだってー・・・」


そう呟いて、私はふかふかの布団にくるまって寝た。


「来るな化け物!」

「汚らわしいエスパーめ!!」

「殺される!」


いつも私は一人ぼっちだった。
エスパーのせいで誰からも必要とされなくて、誰からも愛されなくて。

いつも一人で泣いていた。


「・・・う・・・ひっ、ひっく・・・」


愛して、愛して、愛して


あい、して。



「・・・お前、何で泣いてんだよ?」

真っ赤な髪の女の子

「あなたも、高レベルエスパーなんでしょ?」

真っ白な髪の女の子

「泣かんで、うちらのとこに来ぃや!」

真っ黒な髪の女の子


その3色に、心を奪われた。


昔、数秒足らずの予知で見た3色の光。
将来、エスパーの女王になる子達。


その光に、私は身を任せた。




「・・・君、名前は?」
「名前は、陽妃。・・・それだけ。」
「えっ、苗字はどないしたん?」
「苗字なんかない。私が捨てられてた時、「陽妃」って名前だけ書かれた紙が添えられてただけだったらしいから」
「そうなのか・・・」
「苗字がないと困るんちゃうん?」
「そうよね」
「じゃあ、僕が苗字を付けてあげるよ」
「・・・おっ、皆本優しいな!」
「それには賛成だけど、センスのある苗字にしてあげてよね、皆本さん」
「もちろん分かってるよ。」

「・・・“空乃”なんてどうだい?」

「君の目の色は、雲一つない“空の”色だから」

「・・・空乃・・・」







「ひっく・・・嫌だよぉ・・・人なんか殺したくないよぅ・・・」
「いいからさっさとテロリストを殺して大人しくさせろ、この『化け物』!」
「ひっく・・・うぇ・・・」

「ぎゃああああああああ!!!!」








・・・どうして、私なの・・・?



「ん・・・む」

・・・なんだ、夢か。

起きたばかりで回らない頭を揺らし、
スポブラとショートパンツ一枚の格好を何とかしようと
着替えに手を伸ばす。

「今日は忍術を教えてくれるんだよね。・・・あ!じゃあESPに頼らないよう、大量にリミッターつけていかないとダメじゃん。」

ヨウは黒のシンプルなノースリーブを着た後、
いつも着ているパーカーに、ちまちまと沢山リミッターを付け始めた。

ジャラッ、と金属特有の音を立てて、
少し重くなったパーカーを着て、試しに
少し向こうにあった枕のほうに手を向けた。

いつもよりは持ちあがる速度が遅いが、
普通にふわりと浮かんだ枕を見て、ヨウはため息を一つついた。

「はぁ、こんだけつけてもレベル4の力くらい余裕で出せるとか、辛いんだって」

これ以上つけると重さで私が潰れちゃうし、
どうしようかな・・・

そう考えていたその時、くうぅと可愛い音を立てて
ヨウのお腹が鳴った。

「うぅ・・・昨日、疲れてても買い出し出といてよかった・・・」

ヨウはそう呟きながら、
昨日、ナルトと出かけた時に野菜などと一緒に買った、パンと牛乳に手を伸ばした。

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