オヨメサンになってください
《久しぶりだねぇ》
「あ、あなたは・・・?」
《アタシを忘れちまったのかい?まぁ何年も封印されてたからねぇ。忘れちまってもしょうがない》
「誰・・・なの・・・?」
《アタシ?アタシはお前さ。お前が一番分かってるはずさ。》
「え・・・?」
すると、彼女は指をパチリと鳴らした。
すると映像が現れた。
「(これは・・・昔の私と映姫さまの・・・)」
【お前に何が分かるんだ!アタシにかまうんじゃないよ!】
【分かるわ、あなたが今までどれくらい傷ついてきたか。今までどれくらい一人だったのか。】
「映姫・・・さま・・・」
【やめろ!その目をアタシに向けるな!やめろ・・・】
【目を覚ましなさい、大悪魔空亜。あなたのすることはそんなことではありません】
映姫の手にあるのは、空亜が今つけているペンダントだった。
【まずはこれであなたの力の大部分を封じます】
【やめ・・・やめて・・・】
【大丈夫、次に目が覚めたときは・・・あなたは愛される別人格となって生まれてきますから・・・】
【嫌だああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ】
眩い光が空亜を包み込んだ。
そして光が消えると、空亜は倒れていた。
しかし、角は短くなっていたし、爪も短くなっていた。それに表情も優しく・・・つまり、かなり容姿が人間らしくなっていた。
【あなたを騙すようで心苦しいですが、封印具を付けさせていただきます】
まずは右角に一つ、リングを。
次に、耳に2つずつイヤリングを。
そして、背中の真ん中に魔力を封じるタトゥを。
そして次に、指に指輪を2つずつ。
両腕にバングルを。
尻尾の付け根にリングを。
両足に魔力を封じる聖布の包帯を。
そして最後に、ペンダントを。
【ここまでしないと封印できないなんて・・・】
「映姫・・・さま・・・」
《・・・わかったかい?》
「あなたは、昔の私だったの・・・ね?」
《そうだよ。アタシはお前さ。バングルを外してもらったおかげで、アタシも生き返れたんだよ》
「・・・」
《フフ、驚かないで。アタシと前に戻ろうじゃない》
「・・・前には戻らない」
《え?》
「あなたに私の体を渡せば、あなたはきっと私を飲み込んでしまう・・・そして元の私・・・大悪魔に戻ってしまうでしょうから」
《お前は戻りたくないのかい?》
「・・・ええ」
《そうかい。それなら今回はあきらめるとするよ。》
目が覚めると・・・
空亜は、ふわふわっとしたソファーの上だった。
「・・・?(ここはどこだろう・・・別世界に着いたのかな?)」
すると、ふわりと香る甘い香り。
「ん・・・(夢・・・じゃないな。バングルが外れてるし・・・)」
むくり、と起き上がって、あたりを見回してみると・・・
そばに居た青年と、ばっちり☆と目線が合った。
「・・・。」
「ほぇ・・・!?(煤E・・ガン見されてた!?)」
「兄上、目を覚ましました。」
「そうか。すまないなアマイモン」
「・・・へ?」
突然のことに驚きを隠せない空亜。
「驚かせてすみません。私はメフィスト=フェレスという者です☆・・・ちなみにそっちにいるのは、弟のアマイモンです。」
「・・・」
「へ・・・あ・・・始めまして・・・私は空亜です・・・(ペコ」
「紫から事情は聞きました☆あなたのことも、なぜココに来たのかもすべてです☆」
「あ、はい・・・」
「ところで空亜さん、あなたの面倒を見る代わりに、お願いしたいことがあるんですが・・・」
「はい・・・なんですか?」
「祓魔塾にいって、ある男の子を守ってやって欲しいんです☆」
「そ、そんなこと、ですか・・・。」
「嫌ですか?」
「いいえ、そんなことありません。これも修行のうちですから!!」
それに、小悪魔たちだけじゃ寂しいですし。
と、空亜は付け足した。
「小悪魔?あなたは悪魔なんですか?」
「へ?見て、分かりませんか?」
「いえ、悪魔だろうとは思ったのですが・・・眷族が居るとは思わなくて。」
「そうですか。・・・確かに私、見た目よわっちい人型の悪魔ですから。」
あ、そういえば・・・
「小悪魔を、この世界からでも呼び出せるって、紫さまが言ってた・・・」
試す価値は、あるよね。
「じゃあ、小悪魔を呼んでみますね。」
ピィーーーーーーーーッ!!!
私は、いつものように指笛を鳴らした。
すると・・・
「空亜様ーーーーっ!!」
何処からか、小悪魔3が飛び込んできた。
どうやら、成功したらしい。
「はれ!?ここはどこですか!?幻想郷じゃないですよねっ!?人里ですか!?」
「はぁ・・・落ち着いて、小悪魔3。見られてるわよ?」
「はれれ!?」
「・・・それが、小悪魔ですか?」
「えぇ、そうです。私の大切な眷属。」
そう言うと、空亜は小悪魔3を撫でた。
「ほぉ・・・。」
「小悪魔3。ちゃんと来たからご褒美。」
空亜は腰のリボンに着けられていた飴のビンから飴を取り出して、小悪魔3に与えた。
「こぁーっ♪」
「・・・」
「(飴を凄く見てる・・・欲しいのかな)」
そう思った空亜はもう一つ飴を取り出して、
アマイモンの手に乗せた。
「はい、どうぞ。」
「・・・どうも」
「どういたしまして。」
「空亜」
「はい、何でしょうか?」
「僕の、オヨメサンになってください」
「えっ!?」
「僕、空亜に一目惚れしました。だから、僕のオヨメサンになってください」
「アマイモン!急にそんなこと・・・」
「・・・わ、私でよければ。」
空亜は少し困ったような、でも嬉しそうな顔をした。
空亜の赤い髪が揺れた。
「じゃあ、今日から空亜は僕のオヨメサンです。」
そう言うと、アマイモンは空亜を抱きしめた。
きゅっ、と空亜の口から
小動物のような声が漏れた。
そして、空亜の尻尾がふるふる揺れた。
「尻尾・・・そうだ!」
「え?どうかしましたか・・・?」
「あなたの姿ですよ。」
「姿?・・・あぁ。」
確かに、今の空亜の姿は・・・お世辞にも人間らしいとは言えない。
尖った耳はまだしも、黒い尻尾、薄い黄色の角。燃えるように赤い髪の毛。
極めつけは、蝙蝠のような翼。
「どうしましょうかねぇ・・・」
「大丈夫ですよ。私、だてにあっちで「大悪魔」って呼ばれてたわけじゃないんですよ?」
そう言うと、空亜はくるりと回った。
その瞬間煙が立つ。
その煙が晴れると・・・
そこには、
とても愛らしい、どうみても人間の女の子が立っていた。
さっきの赤い髪とはちがう、美しく長い黒髪。
ちゃんと人間の形をした耳。尻尾や角は影形も残っていない。
前の空亜と似たところを言うなら、目の色とペンダントくらいだろうか。
「・・・ほぉ。」
「ふふ。どうですか?人間にしか見えないでしょう?」
「・・・」
「あれ、どうしたんですか、アマイモンさん?」
「人間のときの空亜も可愛いですが、やっぱり悪魔のときの方が可愛いです」
「そ、そんな・・・っ///」
「そこまでーっ!!」
空亜が照れていると、今まで散々ほっとかれた小悪魔3がアマイモンと空亜の間に入った。
「・・・なんですか」
「空亜様はそういうセリフ聞きなれてないの!だからあんまり言っちゃ駄目!!」
「・・・」
「そもそも空亜様は私たち子悪魔の大切な女王様なのよ!勝手に取られちゃ困るのー!」
「空亜は僕のオヨメサンです」
「喧嘩しないでください、2人とも。私はアマイモンさんも大切ですし、小悪魔も大切なんですよ。」
「空亜・・・」
「空亜様・・・」
「はい、喧嘩はそこまでですよ。」
そう言うと、空亜は変身を解いた。
そして、今まで空気扱いだったメフィストが口を開いた。
「・・・まぁ、貴方は旧男子寮で暮らしてもらいます。その男の子もそのうちそこに来ますから。」
「そうですか。よくわかりました。」
「あと、これを。」
「・・・鍵?」
「はい☆この学園は祓魔師にとって重要な拠点ですから、私の力で魔除けや結界や迷路に守られています。」
「鍵はそういう罠の類に干渉されないで学園を行き来できるんです☆」
「すごーい・・・」
そんな説明を一通り受けた後、空亜は小悪魔3を幻想郷に帰して、
部屋を後にした。
そして寮。
空亜は軽く部屋の片づけをした後、
小悪魔2に持ってきてもらった咲夜お手製ケーキを食べつつ、独り言を呟いていた。
「ふー、今日からココで暮らすのか、実感わかないなぁ」
赤の髪をふわりと靡かせ、空亜はぼーっと窓を見た。
「・・・幻想郷も、こんな天気なんでしょうか」
すると、窓に見覚えのあるトンガリが。
空亜は一瞬で分かった。
「アマイモンさん・・・!?」
「空亜、来ちゃいました」
「どうして!?」
「オヨメサンを守るのは、男の仕事だと雑誌に書いてあったので」
「(間違ってる、間違ってるよアマイモンさん・・・!)」
「というのは嘘で、空亜に会いに来ました」
「そうですか・・・ちょうどケーキを食べていたところなんです。一緒にどうですか」
「いただきます」
お茶を淹れて、ケーキとフォークを差し出す。
アマイモンはフォークにケーキを刺して、口に運ぶ。
「・・・おいしいです」
「そうですか!これは私の知り合いのお手製なんです。一応私も作れるのですが・・・」
「空亜のケーキも食べてみたいです」
「じゃあ、今度作りますね!」
そんな感じで、時間はゆっくりと進んでいった。
そして数日後。
今日の朝、
メフィストさんから「今日から祓魔塾に行ってください☆」と言われたので、行く用意をして、鍵を使った。
「(なにこれ、すごく便利なんだけど)」
人間って凄い。
鍵開けただけではい到着とか。
まぁ、それはさておき。
塾に行くと、教室の扉の前に見慣れない男の子が。
・・・と、メフィストさんの化けた犬。
え?なんでわかったかって?
・・・大悪魔だもの。このくらい分からなきゃ。
「(メフィストさんが傍にいるってことは・・・あの子かしら)」
男の子は私が近づくと、恥ずかしそうに会釈した。
「・・・はじめまして。私は、蛙隈空亜って言うんです。貴方は?」
「お、俺は奥村燐だ・・・よろしく。」
私が手を差し出して名乗ったら、男の子・・・燐君も笑って握手してくれた。
本当に普通の男の子。全然危険人物とかそういう風に見えないわ。
・・・強いて言うなら、凄い妖気って言うか・・・異様な気が流れてるってくらいかしら。
そんなことを考えていたら、チャイムが鳴ったから
私たちは急いで教室に入った。
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