君が流したユメナミダ。


今更思い出したって


(ネタよりソ●ィーな審神者と今剣)





「・・・さて、これでおしまいにしようかねえ」


眉間を押さえながら、審神者は机の上の書類を少し乱雑にまとめた。


「・・・まったく、政府ときたら・・・ババアにこんな細かい字を読ませるかね!」
「おかげさまで、若くなった時にしか書類仕事ができないじゃないか。」


そう愚痴りながら筆を片付けていると、
かたん、と審神者の部屋の障子が小さく開く音が。


「おや、こんな時間に誰だい?・・・三日月かい?それとも岩融かい?」


そう言って審神者が振り向くと、
そこには三日月でもなく、岩融でもなく・・・今剣がちょこんと立っていた。


「あるじ、さま・・・」
「・・・おーやおや、今剣かい。寝たんじゃなかったのかい?」
「こわいゆめを、みてしまって」
「ああ、それで目が冴えちまったんだね。どんな夢だい?」

「悪夢は人に言うといいと言う。まあ、話してみておくれ」

そう優しく聞くと、今剣は目に涙をじわりと浮かべて話し出した。

「・・・あるじさまが、いなくなるゆめです」
「ぼくや、いわとおしや、みんなをおいて、とおくへいっちゃうんです」

次第に涙はぼろぼろと溢れ、
目から大きな涙が零れては落ちていく。

それを見た審神者は、今剣を自分の方へと引き寄せて抱きしめた。

「・・・そりゃあ、絶対に現実にはならないよ、今剣」
「ほんと、ですか?」
「ああ、もちろんだとも。あたしゃ審神者をやめる気はないから、お前たちを置いていったりはしないさ」

「さあさあ、もう泣くのはおやめ。それはただの悪い夢だよ」
「・・・はい、あるじさま・・・」

泣き止んでもしっかりと審神者の打掛を掴む今剣に、
審神者はため息を一つついて、こう言った。

「・・・仕方ないねェ、今日だけ一緒に寝てあげようか」
「わーい!」

そう言うと、敷いておいた布団へ今剣と一緒に入る。

「あるじさま、あったかいです」
「ふふ、早く寝ておしまい。」
「はーい」

数分ほどで、呼吸音は静かな寝息へと変わった。
審神者は今剣の寝顔を見ると、
そっと、頭を優しく撫でた。


「(・・・不思議だねぇ)」

「(気が遠くなるくらい昔、あたしが刀鍛冶達に作らせた刀達が・・・今こうして動いているのが)」







「義経、どうか気を付けて・・・」
「安心してください、審神者様。貴女からいただいたこの守り刀さえあれば・・・」








「(あんときは、あたしもまだ若かったわね・・・)」





「むにゃ・・・あるじ、さま・・・」
「・・・」


起こさない様にそっと今剣を抱き寄せて、
審神者自身も、目を閉じた。











今更思い出したって






もう帰る(変える)ことは、出来ないのに。

- 148 -

*前次#


ページ:



ALICE+