壁越しの会話
“実験体001 死亡”
“実験体020 死亡”
“実験体190 死亡”
「新しく仕入れた実験体596の調子はどうだ?」
「実験は上手く行っています。今度こそ成功するかと」
そう言って、その女性はガラス越しの詩優を見た。
詩優の足と首には頑丈な鎖がつけられていた。
そしてあちこちに傷や痣があった。
詩優を引き取ったのは違法マフィアで、
詩優を超能力開発の実験台に使っていたのだ。
「(ひろと・・・)」
詩優の深緑の瞳から、涙が零れた。
ある日、詩優がヒロトを思い出して泣いていると・・・
「・・・何泣いてるんダヨ」
詩優の後ろの壁のわずかな隙間から、男の子の声が聞こえた。
「誰?」
「あぁ、俺?・・・俺は、三月彰ってんダ。」
「どうして、僕が泣いてることがわかったの?」
「昨日の実験ダヨ。俺はあの実験で、透視能力を手に入れたのサ。」
「へぇ・・・。」
「俺の実験番号は595。だから明日はお前の番ダゼ」
「・・・僕、死んじゃうのかな・・・」
「泣くナヨ。失敗したから死ぬってワケじゃねーシ、成功して能力が手に入ったら、逃げることも可能かもしれねージャン」
「君は、逃げないの?」
「残念だけどヨー、俺の力は透視するだけなんデナ、逃げるにも逃げられないノサ」
「ふうん・・・」
「お前、実験の内容・・・知りたくネーカ?」
「・・・知りたい」
「なんか機械を頭につけてサ、電流を流すんんだヨ。痛くは無いんだが、変な感じなんだよナ」
「変な、感じ?」
「視界がぐにゃ〜ってしてサ、やばいんだヨ。」
「ぐにゃ〜っ・・・」
「俺はそこで意識を失ったんだけどヨ、気づいたら能力が手に入ってたんだヨ」
「へぇ・・・」
「お前サ、力が入ったらどうすんノ?」
「僕・・・。僕に力があったら、ここから逃げ出して・・・」
「逃げ出しテ?」
「昔、結婚を約束した子を探しに行くよ」
「惚気ってヤツかヨ。うらやましいナ!・・・で、どんな女ダ?」
「女の子じゃないんだ」
「女じゃナイ?じゃあつまり・・・男?」
「うん。」
「お前、そういう趣味だったのナ・・・・」
「そうかなぁ?」
「で、どんなヤツなんだヨ?」
「・・・僕にそっくりだったよ。赤い髪の毛、深緑の瞳。」
「ふーん」
詩優はまた泣き出した。
「会いたいよぅ・・・ヒロト・・・っ」
「おい・・・泣くナヨ。」
「・・・そうだよね・・・」
「ま、いろいろと話そうゼ。」
そして、詩優と彰は1日中話し合った。
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