泣き虫の太陽
そのあと、エリザとマリアは出会って
ディオが紹介した後に話をしたのだが、
エリザはマリアの話を、相槌もそこそこにそっけなく聞き、
会話が終わると同時に、逃げ出し避けるように別れの挨拶をして、
マリアやジョナサンに背を向けて、いそいそと屋敷から出ていった。
「(・・・私、何か気に障るようなことでもしたのかしら・・・?)」
そんなわだかまりを心に抱えつつも、
日にちが過ぎるにつれ、マリアはジョースター家に溶け込んでいった。
最初は警戒しているのかよく吠えられていたが、
ダニーにすっかれ懐かれ、仲良く遊ぶこともできるようになったし、
ジョナサンがジョースター卿に、「勉強の点数がディオより低い」と、
罰で鞭で手を叩かれて、寂しさで泣いているときにこっそり部屋を訪れ、
まるで母や姉のように優しく接し、ジョナサンを慰めたこともあった。
ジョースター卿もミサエルも、仲がいい二人のその様子を嬉しそうに見ていたが、
ディオだけはそれを、睨むように見ていた。
・・・そして、また数日後。
マリアは黒い布を頭からすっぽりと被って、
果物とチョコの入った籠を手に持ち、
明かりの蝋燭一つもついていない廊下を、足音を立てないようにこっそりと歩いていた。
マリアが向かっているのは、
マリアの部屋から少し離れたジョナサンの部屋だった。
(とはいっても屋敷が広いのでかなり歩くことになるのだが)
なぜかというと、
ジョナサンが食事中にグラスを倒してしまい、
怒ったジョースター卿に食事を抜かれてしまったからである。
「(・・・お母様に見つかるとうるさいから、静かに、静かに・・・)」
そして長い時間をかけ、ようやくジョナサンの部屋の前に着いたマリアは、
控えめにドアをノックした。
「・・・ジョナサン、居る?」
そうマリアが小さな声で言うと、ドアが開く。
顔をのぞかせたジョナサンは、目を涙で潤ませていたが、
黒い布を被るマリアを見て、不思議そうな顔をした。
「・・・マリー?」
「説明はあと!見つかると困るから部屋入っていい?」
「え、あ・・・うん」
ジョナサンがそう言うと、マリアは部屋に飛び込んだ。
「はあ、お母様に見つかるとうるさいから、明かりもつけないでこっそり来たの」
「こっそり来た?どうして・・・?」
「・・・はい、ジョナサン。これ食べて元気出して」
マリアは、大事に抱えていた籠をジョナサンに手渡す。
その籠の中身を見て、泣き顔だったジョナサンは一気にいつも通りの笑顔に戻った。
「・・・あ、ありがとうマリー!」
「お礼なんていいのよ。私がしたくてやったことだもの!」
マリアはそう言って笑うと、被っていた布を下ろす。
布を被っていて暑かったのか、マリアの顔には赤みがさしていた。
「前みたいに寂しくて泣いているんじゃないかと思ってね」
「・・・ッ!それは、その」
「恥ずかしがらなくてもいいのよ、ジョナサン。悲しいときは思い切り泣けばいいの」
そう言うと、マリアは背伸びして
まだ目尻に少し残るジョナサンの涙を指で拭う。
「・・・ねえジョナサン、泣きたい時は泣いてもいいのよ。だって、無理したって何もいいことはないもの!!」
「・・・確かに、そうかもしれない」
ジョナサンは少し頬を赤くして、にこりと笑った。
「そう、その笑顔よ!」
「・・・笑顔?」
「貴方の笑顔は太陽みたいに素敵なの。だからジョナサンは笑っていた方がいいわ」
そう言うと、マリアはジョナサンの頬に手を当てる。
「じゃあ、おやすみなさい。泣き虫な太陽さん」
そう冗談を言い、マリアはこっそりと部屋を出た。
「・・・マリーは、不思議な女の子だなあ・・・」
ジョナサンはマリアが去った後、
そう小さくつぶやいた。
- 22 -
*前次#
ページ:
ALICE+