死神に抗った女
(超ネタバレくさい)
(花京院と桜さん)
・・・いやだ、嫌だ。
こんなの嘘だと思いたい。
・・・ねぇ、ヴェルハートの女は短命なんでしょ?
どうして短命なはずの私じゃなくて・・・“典明が先に死んでしまった”の?
流れ落ちていく水に紛れて、薄くなっていく匂い。
生きている人間特有の、甘くて切ない匂い。
どう考えても、典明が死んでいくのは確定的で。
それを理解しようとすると、脳がじわじわと狂っていく。
やめて、やめて、
まだ私は典明を愛し足りていないのに。
そう縋る私を嘲笑うように、
ふっ、と匂いが消えていった。
あぁ。
ガン、と壊れて曲がった南京錠が
重い音を立てて落ちる。
その音すらも、エコーのかかったスロー再生のようで。
「・・・のり・・あき・・・」
ようやく出せた声を紡いでも、返事など帰るわけもなく。
もう、このまま泣き崩れればいいのか失神でもすればいいのか、
わけがわからなくなってくる。
気がつけば、私は自分の髪を伸ばしていた。
ユリアおばあちゃまより弱い、私のヴェルハートの力を高めるための触媒。
・・・自分がやりたい事は、自分だからよくわかる。
「すべて、すべて終わったら」
「・・・生き返らせ、なきゃ」
「典明を、生き返らせなきゃ」
死神に抗った女
なにしたかったんだろ。
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