ミスカルの夢
「あんたは本当に喋らない子ねぇ」
「・・・」
「愛想よく喋ったらどうなの!?」
「・・・」
バシッ!!!
思い切り頬を叩かれた。
「・・・」
「まったく・・・どうしてこんな子になったんだろうねぇ?」
「喋らない」んじゃなくて
「喋りたくない」んだよ。
「(ママには、何にも分かってない)」
いつも、他の女の子にいじめられてることも・・・
「あんたの声って、ホント最低!」
「ちょっと歌が上手いからって、調子乗らないでよね!」
「・・・・・」
「そうよ、ずっと黙って居ればいいの!」
「そうしたらあたし達もあんたを苛めないわ」
「・・・・はい」
「喋るなって言ってるでしょ!?」
「・・・・・」
「無視してんじゃないわよ!」
私に・・・どうしろと?
そして長い年月が経って
私は王牙学園に入学した。
もちろん、あの女の子達も一緒に。
「クスクス・・・」
「やっだぁ」
「アハハ・・・」
笑い声がうざったかった。
「「・・・初めまして。」」
女の子の声がした。
だけど、上を向けなかった。
「あ、無理に上を向かなくていいよ。」
「お前、名前は?」
「・・・・ミストラル。ミストラル・カルチェ。」
そう、ぽそりと呟いた。
横目で女の子たちを見ると、ものすごい顔で睨まれた。
あぁ、また放課後に呼び出されて
痛い目見るんだな。
そう思うと、涙が出た。
「泣かないで。」
「・・・え?」
「泣かなくて、いいんだよ」
ふと上を見ると、あの女の子たちの
嫌な笑顔とは違う、笑顔があった。
「これから、俺達仲良くしようぜ。」
「あなたのこと、守ってあげるよ。」
そう言われて、涙が止まらなかった。
そして、ある日。
「はい。」
「・・・・・これ、は?」
「普通に喋るの、嫌なんでしょ?」
「だから、コレで喋ったらどうだ?」
渡されたのは、腹話術の本と・・・可愛い兎のパペットだった。
「ミスカルには、腹話術の素質があると思うの。」
「だから、地声で話すのが嫌ならコレで話せ。」
「・・・ありがとう・・・」
「お礼言われるほどのことじゃないよ。」
「そうだ。」
「・・・どうして・・・私に、優しく・・・してくれるの・・・?」
「あなたも辛い思いしたんでしょ?」
「俺達も似たようなものだからな」
「だからさ・・・ね?」
「・・・・うん・・・!」
それから、暇さえあればバティスト達と腹話術の練習や、勉強や特訓をした。
そして、めきめき上達していって、
いつからか
私は地声をまったく出さなくなった。
そして、バティストとエルカバと並んで、
私達は女子の3TOPと呼ばれるようになった。
(ミ・・・)
(ミスカル・・・)
(ミスカル!)
「ぅん・・・」
「おはよう、ミスカル。」
「・・・・・・・(ぱくぱく」
私は、喋りたかったけど
ラドヴィカが居なかったから喋れなかった。
「あ、無理して話そうとしなくていいです。」
「そうだぞ、無理は禁物だ。」
「・・・・・・」
私は、そっと口パクで「ありがとう」と言った。
「昔の夢でも見たの?涙が出てます」
「・・・(コク」
「そうですかぁ。大丈夫ですよ、私達が居ますから。」
「・・・・・・・あり・・・がとう・・・」
「・・・どういたしまして!」
「おい、そろそろ起床時間だ。」
「はーい!あ、ミスカル・・・ラドヴィカだよ。」
「・・・・アリガトナ、エルバカ。」
「だからエルカバですってー。」
これが、いつもの日常だった。
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