君が流したユメナミダ。


6月16日


「ウルァ!!起きろ一護!!朝だぞ!!モーニン!だ。モーニン!」
「・・・(ムカッ)」

一護の顔の前にはライオンのヌイグルミ

「ん〜・・・やかましいで、コンちゃん・・・」
「Σはっ!!シオンさん!?なぜ一護のベッドに!?」
「ふぁ・・・アスカの寝相が悪うて、蹴られまくったから、一護のベッドに避難してきたんや・・・あー眠い・・・」

一護は1人ギャアギャアと騒ぐコンの頭を掴み・・・

「いィだだだだだァっ!?はっ、放せコノヤロウ!!」

ブンッ

「おフッ!」

そのまま壁に投げつける

「テメーはおとなしくヌイグルミっぽくしてろっつったろコン!!」

「なんでヌイグルミが動いてるのか?今回の問題はまずそこからや。このヌイグルミは改造魂魄。こないだの一件の後、とりあえずこいつの入るカラダを見つけんとってことで色々探し回ったんやけど・・・とりあえず生きてる奴はあかんってことで・・・(※最初から人間に入れる気はサラサラないんやけど)かといって死にたての体なんて見つかるはずもなく。仕方あらへんから道端に捨てられたヌイグルミの口にためしに入れてみたらこうなってしまったつーわけや。あ、ちなみにコンって名前はうちらがつけたんで。一護にやらせたらとんでもないことになりかねへんしな。」
「お前、誰にしゃべってんだ?」
「読者や読者」


「いてーな!!丁寧に扱えって言ってんだろが!!だいたいなぁ・・・」
「朝っぱらから五月蝿いぞ!落ち着いて更衣もできんではないか!」

ルキアが押し入れから出てきた

「ぷおッ!!」
「ん?何だ?」

ルキアの足元を指差す一護

「ナ・・・ナイスアングル(グッ」
「はぁ(・・・どアホ。)」
「いででででェっ!!やめてやめて!綿が出る綿が!!」

コンをギリギリと踏み潰すルキア。

「ルキア、やめちゃり!コンちゃんがかわいそうやろ?」

そういってコンを拾い上げ、
パンパンと軽くほこりを払ってあげるシオン。

「シオンさぁーん!!」
「おっと・・・」

そしてシオンに抱きつこうとしたコンを・・・

ドカッ

「シオンに抱きつくな」

一護が地面に叩き落とした
まだキスのことを根にもっているらしい・・・(笑)
・・・と、その時

「おにーちゃーん!!シオンお姉ちゃーん!!アスカお姉ちゃーん!!」

下から遊子の声が聞こえてきた

「おうッ!?」
「やば・・・(かっ、隠れて隠れて!!)」

一護と一緒に、シオンは
ルキアとコンを再び押し入れに隠れさせた。

「あけていいー?」
「お、おう!」
「あのねー・・・って何してんの?」
「な、何でもない!何でもないぞ!!オマエこそ何だよ?こんな朝っぱらから!!」
「(ん・・・?狽っ・・・ルキアのスカートが見えてる!!爆)」
「朝っぱらからじゃないでしょ!もう!!小島くんが迎えに来てるんだよ?」
「水色が?って今何時・・・うわ!!ι」

8時半・・・ヤバイです☆


「水色!悪いっ!今起きたとこなんだ!上がって待っといてくれるか?」
「はーい」

笑顔で返事をする水色。うん、可愛い。

「うちも着替えて来んと・・・(あれ?何か忘れてるような)・・・あ、アスカ!」

急いで自分たちの部屋へ向かうシオン。

「アスカ!!朝だよ!!起きんと遅刻してまう!」
「ん〜・・・昨日の疲れが取れてないねん・・・あと5分・・・」
「ええから起き!」

バチバチッ!

「あだっ!」

シオンは寝ぼけているアスカをエレキネシスで叩き起こし、急いで用意する。

「一護!私たちは先に行くぞ!!」
「遅刻しちゃあかんで!」

そう言ってルキアとアスカは先に窓から出る

「一護、早く来てね」
「おう!すぐ行くからな」

そう言って口付けを交わす二人。
そしてシオンも先に学校へ向かった。

途中でシオンはカレンダーをみながらつぶやいた。

「今日は・・・6月16日か・・・」



「たつきぃー」

いつものメンバーで雑談していると、
みちるが声をかけてきた

「なに?」
「たつき、選択美術だったよね!?課題やった?“未来のわたし”!」
「やったけど・・・なんで?」
「見せっこしようよ!あたし自信なくてさ!!」

そう言われ課題を見せるたつき

「うわっ!うまーい!」
「「((確かに上手い・・・てか、プロ並みなんじゃ?))」」
「はふひぃー、ほんほひふはいはらははひはれはへへはーん((訳)たつきーこんなに上手いなら画家になればええやーん)」

菓子パンを頬張りながら言うアスカ。
もちろん、何を言っているのかわからない。

「あんた、何言ってるかわかんないよι」
「織姫は?どんなの描いたの?」
「えへへーVよくぞ聞いてくださった!」

そう言って織姫が出したのは・・・

「最高速度時速380キロ!!口からは2万℃の炎が、目からは特殊破壊光線が出r「違うから織姫!それ違うから!」
「?」
「アスカは何描いたの?」
「うち?うちはね・・・」

微笑みながらアスカが出したのは…

「うわっ・・・上手い!」
「えへへ、そう?パティシェになって美味しいお菓子をいっぱい作るうちVv」
「ホンマに上手いなぁ・・・」

すると、一護が入ってきた。

「あ、おはよう!黒崎くん!」
「おう!オハヨ!井上!」
「・・・(一護・・・無理に笑顔を作っとる・・・)」
「なんで黒崎くんあんなピリピリしてるんだろ・・・?」
「え?何言ってんの。あんなニコニコの黒崎くんあたし初めて見た・・・」
「織姫、やっぱアンタすごい・・・もし一護に急ぎの用があるなら今日のうちに済ませときな。あいつ明日休みだから」

そして一護宅・・・

「それではこれより明日の当番を決める会議を開きたいと思います!ていうか、ぶっちゃけ議長は父さんなので全ての決定権も父さんにあります!」
「えー!!何だよそれ!そんなの会議じゃねーよ!」
「こら!発言は挙手して行いたまえ参謀長官!!」
「さ、参謀長官・・・」
「(まんざらでもあらへんな(笑))」
「あの・・・一心はん。本当にうちらも行ってええんですか?」
「何言ってるんだシオンちゃん!!シオンちゃんたちはもう黒崎家の家族だぞ!!」
「一心はん・・・」
「嬉しいな、お姉ちゃん。」
「うん!」

一心の言葉に嬉しそうに微笑むシオンたち。

「はい!というわけでユズはいつも通りお弁当参謀!!」
「はいっ!」
「カリンは荷物持ち」
「はァ!?」
「アスカちゃんは雑用!!」
「Σ雑用!?異議あり!!」
「却下っ!!」
「早っ!!」
「そしてシオンちゃんは一護係だ!!」
「なんだよそれ!!//」
「ていうか父さん明日に合わせて髪切ったんだけど、どう?」
「変わんねーよ!!」

いつもどおりの賑やかな光景をシオンたちは優しく、そして暖かく見つめていた。


「楽しそうだったな」
「何が?」
「何がって、さっきの家族会議だ。あれか?明日は学校サボってピクニックにでも行くのか?」
「なぁルキア」
「?」
「死神の仕事・・・明日1日だけ休むってのダメかな・・・」
「な、何を言っているのだ!?そんなのダメに決まっているだろう!!貴様一体どうしたというのだ!?今朝からずっと様子が・・・」
「命日だよ」
「・・・」
「明日はおふくろが死んだ日なんだ・・・いや、違うか。正確には“死んだ日”じゃない・・・殺された日だ」


「・・・(いつからやったっけ。一護が笑わへんようにったのは・・・)」


「ふわー!やっぱりここの坂キツいねぇ・・・」
「アカン・・・うち死にそうや・・・」
「そっか?アタシは別になんともな・・・「!がんばれ遊子!まけるなアスカちゃん!父さんがついてるぞ!!ほれ!父さんなんてホラ!逆立ちして登っちゃうもんね!」
「無視しろ遊子。アスカお姉ちゃん。ああいう手合いは相手にするとつけあがる」
「はぁ・・・(さすが一護に似とるというか・・・一心はんの扱いになれとるなぁ)」

一護と手を繋いで歩くシオンは呑気にそんなことを思う

「甘いな!相手にされんでもオートでつけ上がるんだこれが!!」
「にゃあああああああああああ!!!!」
「逃げろ!!」

逆立ちのまま遊子達を追いかける一心。

(((恐っ!!)))

「そりゃあ!必殺・父さんスライディンッ!!水玉&縞々!!」
「ぎゃあっ!!」
「失せろ!地の果てまで!!」

ズドン!!

「ハットトリック!!大暴落ー!!父さん大暴落につき本日の東証は大荒れ模様ー!!」

ゴロゴロと坂道を転がり落ちていく一心

「上場からやり直せィ!!」
「「・・・」」

シオン&アスカ唖然。

「ふー・・・しっかし6月だってのに暑いなァ、今日は。同じ6月17日なのにエライ違いだよな・・・」

言いながら空を仰ぐ一護

「一護・・・」

シオンは、握っていた手を更にギュッと握りしめた。

「あれ、先客がいる」
「ホントだ。あの人もお墓まいりかな?」
「でしょ。あっこっち向いた」


「「「(なんでいるんすかー!!)」」」

そこにいたのは紛れもないルキア

「手振ってる・・・お兄ちゃん達の知り合い?」
「そうやd・・・「知らん!俺は知らんぞあんな奴!!」
「なんかあたしあの人見たことあるような・・・」
「思い出したァッ!!中学ん時のクラスメイトだ!!ヤッベェ!!懐かしすぎて即座に話がしたい気分だ!!そういうワケで俺はちょっとあの人と話をつけてくる!!オマエらは先に母さんの墓に行っててくれ!!」
「わっ、ちょ一護!?」

シオンの手を引き走っていく一護

「いってらっ・・・」

ガシッ

「お前も来るんだよ!!」
「いややー!」


そんなこんなで・・・


「なんでついて来たんだよっ!?」
「Σえぇ!?一護が連れて来たんやんけ!!」
「お前じゃねェ!!」
「たわけ!私が傍におらねば虚が出たときどうするのだ!」
「だからってあんな・・・ていうか、ついてくるならもっとコッソリついて来い!!」
「それはすまぬな。気がつかなかった」
「おまえ何怒ってんだ?」
「別に怒ってなどおらぬ。殺された・・・と言ったな。貴様の母親・・・」
「言ってねーよ」
「・・・誰に殺された?」
「言ってねっての、忘れろよ」

何も言えずただ2人の会話を聞くシオンとアスカ。

「貴様は物心ついた頃から霊が見えたと言ったな。ならば一つだけ答えてくれ。貴様の母親を殺したのは虚ではないのか?」

言ってしまった一言

「いちg「やってらんねェー!!」
「・・・ッ」
「冗談じゃねーぞ、てめーにかかったらナンでもカンでも虚の仕業になっちまうのな。虚とかじゃねーよ!予想が外れてザンネンでした!」

フと道の奥を見ると、1人の女の子がいた

「ウ、ウソだろなんでこんなトコに・・・」
「どうした?一護・・・」

ルキアの言葉も聞かずに走り出す一護

「一護!」

それを追いかけるシオン

バッと後ろを振り返るルキア

(何もいない・・・消えたのか?それとも)
「一護!」

シオンに続き一護を追うルキア。

「置いていかれた・・・か。」

1人呟き、先ほど少女がいた場所を見つめる
アスカ



一護
お母さんを殺したのはあんたやないよ。
お母さんは・・・

アスカが空を見上げた時、森の中では一護の悲痛な叫びが響いていた。






久しぶり、お母さん・・・

元気だった?って、死んでんのに元気ってのもナイか。

こっちは元気

あたしも遊子も一兄も、みんな元気でやってるよ。

シオン姉とアスカ姉っていう
2人のお姉ちゃんが増えて、毎日楽しいよ

ただ・・・
ぶっちゃっけヒゲは、元気すぎてちょっとウザイです。

「さぁさぁさぁ!!今年も恒例の“ドキッ!黒崎家だらけの墓石ドミノ大会”の時間がやってきましたよ!!みっちり2時間30分、墓石倒しまくりでポロリもアリ!!のこのゲーム!!まず一回戦は父さん対一護!!」
「うぇーい!」
「やめてお父さん!!お兄ちゃんも止めてよォ!」
「よーし行くぞー!!」
「がってんだぁ!」
「もう!!お父さんもお姉ちゃんもやったらご飯ヌキだからね!?」
「「えー!!」」

((バカ・・・))


“一護”って名前は『何か一つのものを護り通せるように』という意味でつけたんだと親父にきいた

その時、“それなら俺はおふくろを守りたい”
そう思ったのを憶えてる

いつも俺を護ってくれるおふくろを
おふくろが大好きだった

俺だけじゃない遊子も夏梨も親父だっておふくろが大好きでつまるところその頃のウチは
おふくろを中心に回ってた

その中心から俺がおふくろを奪い取ってしまったんだ。

俺が・・・


墓前で1人悔やむ一護

「・・・」

うちは辛い過去を背負う一護に何も・・・

「(何もしてあげられへん・・・)」




(シオンサイド)

うちらのお母さんは遊女やった。
何人もの男に抱かれて・・・
そのおかげでうちらも食べて行けたんやけど。
お母さんが抱かれるのを、うちらは見て育った。

お母さんはよく言ってた。

「あんたらを生んだのは間違いやった。堕ろせばよかった・・・」

その言葉を聴くたび、うちらの胸は痛んだ。

ある日、うちらは人買いに売られた。
うちらが、小学3年生位の頃や。
あのときのアスカの悲しそうな顔、今でも忘れられへん・・・。

売られた先はどこかの豪富の家やった。
“お手伝い”と言うのは名ばかりで、大体は夜の相手が普通やった。

2人とも、小学6年生くらいの頃に処女をなくした。 
始めに抱かれたのはうち・・・
あんな経験、もうしとうない・・・。
次に抱かれたのはアスカ・・・
抱かれた後、あの子は涙を我慢して言うた。


“汚れたのは、お姉ちゃんだけやあらへんで”


うちは涙をこらえ切れなかった。
アスカと抱き合って、二人とも泣いた。

そして暫くたった、新月の日・・・
うちらは、その家を逃げ出した。

広い庭を駆け抜けて、茂みを乗り越えて、やっと外へ出られる門を開けようとしたとき・・・


ズガン!ズガン!


撃たれたって気づいたのは撃たれてすぐやった。
血があふれ出して止まらなくって、激痛が体を襲った。

暫くすると、痛みで気を失った。
“あぁ、うちら死ぬんやな”って
気を失う前に思った。


「・・・そういえば、家族でええ思いでなんて1つしかあらへんな・・・」


そう、あれは売られる日の前。
お母さんがいつもより優しくて、ニコニコしてた。
それで、その日いっぱい、一日中遊んでくれた。
それで、お母さんが寝る前に言ってくれた言葉が、今も耳を離れない。


「堕ろせばよかったなんて、アレは嘘や。うちはあんたらに八つ当たりしとったんや・・・許してな。ほんまはな、うちはあんたらのことが“大好き”なんやで。」

いまさらやけど、アレはうちらが“売られて金づるになるから”言ったんか、それとも“売ってしまった後悔からか”言ったのか今となってはわからへん。

その分、一護はええやん。
昔からお母さんの愛情いっぱいもろて・・・
うちらは、暴力がお母さんにとっての“愛”やったけん。


そのうち涙が出てきたので、うちはこっそり涙を拭いた。


ピョロロロロ・・・すはぁっ・・・ピョロロロロ・・・

「一心はんの笛の音が聞こえるな。呼んでるっぽいで。」
「みたいだな。遅れるとウルセーから早く行こうぜ」
「うん・・・って、あれアスカどこや??」
「あ?あれ、さっきまでココにいたのに・・・どこ行ったんだ?」

ざわ・・・

嫌な予感がする

「(まさかっ)かんにん一護!アスカ探してくるから先行っといて!!」
「はっ!?だったら俺も・・って、オイ!!」

一護の言葉も待たずに走り出すアスカ。

「アスカッ!!!」








「アスカ姉っ!!」
「だ、大丈夫やから・・・こっちに来ちゃアカン・・・」
「アスカ!!」
「シオンお姉ちゃん!!」
「お姉ちゃん!!来ちゃアk・・・「無理!!」

ダンッ

シオンは、虚に押し潰されているアスカを助け、そのまま夏梨達の方へ・・・

ヒュパッ

テレポートさせた。

ドンッ!
「うにゃっ!?」

アスカは地面にしりもちをつく。

「よしっ!」
「いつつ・・・・(“よし”じゃねェよ!!)」
「貴様もわしが見えるのか?」
「ええ、見えるで。それがどないしたんや」
「ほう!うまそうだ・・・ならばお前から喰うとしようっ!!」
「ッ!」

虚の触角がシオンを捕らえる。
・・・が、次の瞬間


ドンッ!


シオンを捕らえていた触角が断ち切られたと思えば誰かの腕に包み込まれていた。

「一護・・・!」
「シオン、大丈夫か?」
「う、うん」
「死神!!」
「どういうことだよ?てめぇ・・・あの時川べりにいた奴だろ!?6年前だ!!それがどうしてここにいる!?」
「6年前か。そんな昔のことは憶えておらんが、成程・・・おまえはわしを見たことがあるのだな」
「そうだ!てめぇ一体何者だ!?虚の手下なのか!?それとも虚に操られてんのか!?何とか言えよ!!」
「どれも外れだ、小僧」
「!!てめえは!!」
「シオン!アスカ!無事か!?」
「ルキア!」

一護の体を抱えたルキアが現れる。

「(今思うのたぶん不謹慎だけどよく1人で担いで来れたな・・・)」
「て、てめぇ・・・一体、一体何なんだよ!?」
「わしの姿を見ても生き残っておる奴がおったとは・・・ふふ・・・おまえ運の良い奴よの」

途端、女の子の顔の皮が剥がれ中から骸骨のようなモノが出てきた。虚はどんどん変化していく。

「な、何だよそれ!?」
「だがその運もここまでよ。この姿を見せた以上、おまえの魂・喰らわずに帰すわけにはいかん」
「どういうことだよ・・・さっきのガキ、テメーの体の一部だってのか・・・」
「グランドフィッシャーや!」
「!」
「あいつの呼称や。自分は姿を隠して首から生えた疑似餌に人の形をとらせ、それが見えた人間、つまり霊的濃度の高い魂を持った人間のみを襲って食うヤツや。知名度は中の上、尸魂界のデータベースにしっかりと記録が残っているで」
「言うね餓鬼」

一護はアスカから受け取った紙を握りしめる

「それにしてもわしの姿が見える奴が多いの。大漁だわい・・・ひひっ」

 
「・・・それじゃあ、あの時俺が助けようとしたのはこいつの疑似餌で・・・それはつまり俺がこいつの罠に嵌まってたってことか・・・?」
「嬉しや、嬉しや。ひい、ふう、みい・・・」
「それはつまりおふくろはこいつに・・・」
「参ったの。こりゃ全部わしの腹におさまりきるかの」


その言葉に一護がキレた。



「あああぁあぁぁ!!」
「ばっ・・・」

大きく斬魄刀を振り下ろす一護。
だが、虚は跳び上がりそれを簡単に避けた

「迂濶だバカ者!」
「ひひっ青いの小僧!じゃアッ!!」

虚の手が伸びる。なんとか斬魄刀を使って避けた一護だが、虚は体内から大量の毛を伸ばし一護を捕らえる。

「一護!!」
「・・・ッ!自壊せよロンダニーニの黒犬!!一読し、焼き払い、自ら喉を掻き切るがいい!!」
「やめろルキアぁ!!」

ルキアの詠唱を遮り、虚の毛を斬り落とす一護

「ルキア!今回オメーは引っ込んでろ・・・俺一人でやる。オマエはシオン達と一緒にそいつらを頼む」
「ば・・・っ「わかった」

一護の言葉に頷くシオン

「シオン!何を言っておるのだ!!奴は強い!お前もさっき言ったろう!奴は50年以上も死神を退k「うるせぇ!!」
「・・・ッ」
「・・・たのむ。手ェ出さないでくれ。これは、俺の戦いだ」
 
そう言った一護の目は何かを決心したようで、
シオンには止める事ができなかった。

「一護・・・頼むけん・・・死なんといて」
「あぁ」





「い゙〜〜〜〜や゙〜〜〜〜だ〜〜〜!!」
「騒ぐな暴れるな文句を言うな!燃やすぞ!」
「(“燃やすぞ”ってιルキア・・・)」
「・・・(ヒドイなおい)」
「いや〜!燃やされるのはイヤだけど、こっちはもっとイヤ〜!!何が嬉しゅうてコイツと口づけなきゃいけねんスかぁ!!」
「口づけろとは言っとらん!もっと近づけと言っとるのだ!!」
「それでもイヤだあ〜〜!!Σああッ!臭い臭い臭い!コイツ絶対歯とかみがいてないっスよ!」
「Σマヂかよっ!?」
「んなワケあるかぁあああああ!!(怒)」

怒りに任せてコンを一護の口元にくっつけるシオン。

「(嗚呼、父上母上お許し下さい・・・我が純潔は花と散るらむ・・・)」


「いやーぎゃー!!」

ヌイグルミから一護の体へ・・・

「ボええっ!おぶっ!!げっ!!ちくしょうッ!この、この口め!!」
「そんな嫌がらなくてもええやんι」
「喚くな!見苦しいぞコン!!さあ!妹共を移動させるのだ!」
「そのためにこんなコトをーっ!?」
「ええから早よやり。」
「ふぁい・・・」

一人嘆くコン。
シオンは真っ黒な笑顔だ!


「・・・(こちらはまかせろ一護。死ぬなよ・・・)」



「・・・ん・・・」
「目ェ覚めたか夏梨」

(一兄・・・?)

「い、一兄あたし・・・」
「おっと。オマエと遊子、山の上の方で眠ってたんだぜ。きっと久々に遠出して疲れたんだ」
「そう・・・(眠ってた・・・)」
「そうやってもう少し休んでな。今、親父呼んでくる」

そう言って部屋を出る一護(仮)



「これでいいっスか?姐さん達」
「完璧や」
「上出来だ」
「ふわーっ!眉間にシワ寄せとくのって疲れるぜ!!一護のヤツよくこんなカオずっとしてられんなァ!!」
「・・・」

コンが役目を果たしたところで、何も言わず、
ネックレスに触れ、森の奥へと足を進めるシオン。

「どこへ行く」
「一護のとこや。それ以外に理由なんてない。」
「ダメだ!!手を出すなと言われたであろう!!」
「わかっとる!せやけど・・・一護が危ないかもしれへんのに、じっとなんてしてらんないんねん!!」

「体を頼むで」そう吐き捨て、どんどん走っていくシオン。

「シオン!!」

ルキアはただ、森の奥へと消えていくシオンの背を見つめていることしか出来なかった。



(一護・・・一護・・・っ)

ただひたすら走るなんてバカやな、うちは・・・
うちが行ったところで手を出してはいけないのに・・・

ザンッ

「・・・ッハァ」

一護のいる場所へたどり着く

「!!(一護!)」

見れば、一護の体はすでに怪我だらけ。
必死に飛び出そうとする自分の身体を抑えるシオン。


(手を出すな!!)

「(これは一護の誇りを守るための戦い・・・うちが手を出してはいけないんや・・・)」

手を出すな
その言葉がシオンの頭の中で何度もリピートされる。

「死なんといて!!一護ッ!!!」

一護と虚の会話が聞こえる

「ハァッ・・・ハッ・・・」
「どうした?名を呼ばれただけでもう身動きがとれんか・・・ひひ」
「てめえ、自分が今何してるかわかってんのか!?」
「んん?」
「おふくろの姿を!こんな場所にかつぎ出すんじゃねぇよ!!」

刀を振り上げる一護
しかし・・・

「だめよ一護!刀を引いて!お願い・・・母さんを斬らないで!」

母を目の前にたじろぐ一護

ドンッ

虚の腕が母の身体を貫通し、一護の体を突き刺す

「言ったろう。“怒りは刃を鈍らせる”!終わりだ小僧!そして敬意を表しよう!おまえはわしが出会った中で最も若く、最も短慮で、そして!最も弱い死神だった!!ひひひひひ・・・」

ドン

「あ・・・?」

虚の肩に斬魄刀が突き刺さる

「やっと捕まえたぜ!!終わりだフィッシャー!そして敬意を表しよう!テメーは俺が出会った中で一番年喰ってて、一番汚なくて、そして一番カンに障る虚だったぜ」

ドンッ

「うぎゃあああぁあぁあ・・・!うでが、腕がわしの体がァアア〜〜!!」

降りだした雨と共に血が流れる。

「「一護!!」」
「えっ・・・?」

振り返れば、そこにはルキアとアスカの姿が・・・

「よォ、遅かったじゃねーか。もう全部片付いた後だぞ・・・」
「たわけ。手を出すなと言ったのは・・・貴様ではないか」
「そうだっけな・・・へへ・・・」
「!」

一護の後ろでニヤリと笑った虚

「一護!後ろや!!」

ゴッ

ギリギリのところで虚の攻撃を交わした一護


「ギャアアアァアァ!!」

叫んだかと思えば、虚の身体が一護の母の姿をした疑似餌の中に吸収されていく

「な・・・!」
「ひひ・・・小僧おまえは初めてわしの姿を見た時に問うたな「この“疑似餌”は虚の“一部”か?」と。つまり「本体はおまえか?」と・・・その問いに答えよう。答えは否!!どちらも本体だ!!どちらか片方が傷つけばもう片方に逃げ込むだけのこと!そして今・・・この身体に逃げ込んだわしを・・・おまえは最早斬ることはできん!!」
「てめぇッ!」
「よ、止せ一護!無茶だ!!」
「そうや!!もう止めて一護!」
「ひひっ・・・そうだ止めておけ!視覚の発達した獣は全て視覚に支配される!!そう、おまえは中身がわしだと判っていても母親の姿をしたわしを斬ることはできんのだ!!」

そう言うと空中へ跳び上がり逃げていく虚。

「待てよッ!!!」
「一護!もう良い!もう止せ!おまえも、奴ももう戦えぬ!戦いは終わったのだ!」
「まだだ!!あいつはまだ死んでねぇ!俺はまだ戦える!まだ・・・」
「一護!」

一護のもとに駆け寄ったシオンに覆い被さるように倒れた一護

「お疲れさん・・・一護」

シオンはそのまま自分の膝の上に一護の頭を乗せ寝かせてやる。
そして、ゆっくり、ゆっくりとヒーリングをし始めた。

「シオンさん」
「大丈夫や。一護なら生きとるから。それに、ヒーリングすれば怪我なんてなかったみたいになるから・・・」

シオンの頬に一筋の涙が流れる

「生きとった・・・一護っ・・・良かった・・・!」

一護の顔に、涙が一粒落ちた。

「・・・一護生きとってくれておおきに・・・!」






「いっ・・・てえーッ!!」
「大騒ぎするな!魂魄の状態で受けた傷は肉体に戻った時にそのまま肉体に現れる!もうわかっておる筈だろう!」
「だって今までは全部キズ治してから体に戻してたじゃねぇか・・・」
「すまんな!ハラの傷に殆どの力を使ってしまったから他のところは完治させられなかったのだ!!」
「う、うちもそれに気をとられとって・・・かんにんな一護!」

そう言われて自分のお腹を見る一護

「ありがとな」
「・・・あぁ」
「一護」
「シオン・・・」

少し離れたところで、ルキアとアスカの治療の様子を座って見ていたシオンは、立ち上がり一護に近寄る。
その表情は今にも泣き出しそうで・・・

「シオン」


両手を広げシオンを待つ一護。
シオンがその腕の中に勢いよく飛び込めば、
一護はその体をしっかりと抱きとめる。

「悪ィ・・・心配させたか?」

そう言いながらシオンの頭を撫でてやる一護。
シオンは静かに軽く頷いた。

「もう無茶せんといて・・・(怖かったねん・・・一護が死なへんとわかっとっても・・・それでも、自分の側から消えてしまうんやないかと思ったら・・・)」


「怖かった・・・怖かったんや・・・」

 
震えるシオンの体をギュッと力強く抱き締める一護

「俺は負けたんだな・・・」

ポツリと呟く一護

「・・・負けてへんで、一護は。」

言えば、顔を上げ一護の目を真っ直ぐに見つめるシオン。

「シオンの言う通りだ。奴は逃げ、こちらには一人の死者もない。間違いなく貴様の勝ちだ」
「でもあいつは死んでねぇ。俺は・・・」

そこまで言えば、シオンを支えながらいきなり立ち上がる一護。

「一護・・・」
「悪い、少しだけな」

そう言うと、一護はシオンを連れそのまま雨の中に消えていった。


墓前に立つ一護とシオン。

「ゴメンな・・・俺、仇討ち損ねちゃったよ・・・母ちゃん・・・」
「・・・(一護・・・)」

シオンは、何も言わず一護の手を握った、すると一護もその手を握り返す

すると・・・

「うおーい!」

遠くで2人を呼ぶ声が聞こえてきた

「何だよ、いなくなったと思ったらこんなとこにいたのか・・・一護」
「一心はん・・・」
「・・・」
「ほれ傘!」
「いらねェよ」

ゴスッ

傘で一護の頭を殴る一心

「お前にじゃねェよ!シオンちゃんにだ!」
「ああ、そうかよ!」

お返しといわんばかりに受け取った傘で一心を殴り飛ばせば、一護は傘を開きその中にシオンと2人で入る。

「早いもんだな。母さんが死んでもう10年か・・・」
「6年だろ」
「・・・惜しいっ!!」
「惜しくねーよ!4年違うぞ!4年あったら小学生も高校生になるわ!!」
「うまいこと言うなァおまえ」
「感心してんじゃねーよ!ていうか妻の死んだ年ぐらいちゃんと憶えとけって!あーもう!!腹立つなァテメーと喋ってると!!」
「まァ、そうしてオマエが元気な姿見せてりゃ母さんもむこうで安心だろうよ」
「・・・あ・・・(そうか・・・親父は知らねぇんだ・・・)」
「ん?どした?」

「(おふくろの魂は・・・もう・・・)いや、何でもねェよ」

一護がそう言うと、
一心はそれ以上問わず煙草に火をつけ始める

「ヤメたんじゃなかったのか?煙草。遊子と夏梨が生まれた時に」
「褒められたんだよ。付き合い初めの頃にな。タバコ吸ってる時の手が“かっこいい”って・・・だから毎年この日だけ吸うことにしてんだ、あいつの前でな」

一心の言葉に目を伏せる一護

「ンな辛気臭ぇカオすんな!元気にしてろッて今言ったばっかじゃねェかよ!!」
「なんでだよ!なんで笑ってられんだよ・・・なんで誰も俺のこと責めないんだよ!俺は何もできなかった・・・おふくろが死んだ時も!今だって!どうしてだよ!」
「一・・・「何でお前を責めんのよ?」
「あ・・・?」
「真咲が死んだことでオマエを責めたりなんかしたらおれが真咲に怒られちまうわ。真咲が死んだのは誰のせいでもねぇよ、ただ・・・俺の惚れた女は、自分のガキを守って死ねる女だったってことさ」
「・・・」
「そして忘れんなよ。オメーはその俺が惚れた女が命がけで守った男なんだぜ」
「親・・・「ええい、憎いねコンチクショウ!!」


ズドン

「痛ぇっ!!」
「・・・!(今度は膝蹴りか!!)」
「しっかり生きろよ一護。しっかり生きて、しっかり年喰って、しっかりハゲて、そんで俺より後に死ね。そんで・・・できれば笑って死ね。でなきゃ、俺が真咲に合わせる顔がねぇ・・・ウジウジしてんなよ。悲しみなんてカッコいいモンを背負うにゃオメーはまだ若すぎんのよ」

それだけ言うてしまうと一心はんは手を振りながら去っていった。

「聞いてるかルキア?」
「・・・」
「死神の力は戻りそうか?戻りそうでもそうでなくてもいい。俺を、もうしばらく死神のままでいさせてくれ。俺は強くなりたい。もっともっともっと強くなって虚から守るんだ。狙われてる奴等を。強くなって!倒すんだ!あいつを!でなきゃ、おふくろに合わせるカオがねぇんだよ!」
「一護・・・!」
「一護・・・」


空に浮かぶ月が3人を照らす

「よォし!帰るよ!!皆が待ってるで!!」
「おうッ!!」
「ああ。」

あんなに降っていた雨はいつの間にか止んでいた・・・



そして・・・


「ええ話やったな」
「・・・」
「あれ?どうしたんお姉ちゃん」
「アスカ・・・あんたお母さんのこと、覚えてるか?」
「あ?うん。覚えとるで。」
「あんた、お母さんのこと恨んでへんのん?」
「何でや?」
「う、売られて・・・」
「あぁ、何やそんなことか!うちはもうお母さんのこと、恨んでへんで。」
「えっ・・・?」
「だって、いい思い出が一つでもあるんやったら、それでええやん。うちは、あの言葉を信じるで。」
「アスカ・・・・」


今でもお母さんを恨んでる自分があほらしくなった。

「そうか・・・」
「お姉ちゃん、明日も早いから、寝よ?」
「・・・うん。そうやな。」


そうやって布団の中に潜り込み、電気を消して、
うちらは眠りに着いた。


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